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いろいろ伏線回収とかしたかったのに書いてるうちにどんどん軌道が…
全然わからないお話です。バックストーリー書くか悩むくらい。
いつかリベンジします…。
ちなみに、須田景凪さんの「パメラ」という楽曲の歌詞パロ(のつもり)です。
歌詞だけなのでMVがちらほら浮かぶとか全然ないと思いますが。
聴いたことない人は是非ご視聴してみてください。
貴方が来る夏頃。
湿った空気がつき纏う長い夜は、貴方のことばかり考えて時を過ごす。
「もう春も終わっちゃうね。」
ふわりと風が靡き、桜の花びらが貴方の周りを舞う。
ところどころ若葉を生やしたその木が、近付いた夏の気配を際立たせる。
いつか、茹だるその声で触れてほしい。
涼ちゃんは、夏が近づくと、俺の前に現れる。
誰だか知らない。涼ちゃんのこと、何も知らない。
もしかしたら、人間じゃないかも?
多分、というか、絶対違うけど。
でも俺は、涼ちゃん以上に綺麗な人を見たことなかったから。
喋っているときに、よく鼻を触るところも。
ふわふわしてるのに、結構物知りなところも。
「涼ちゃんって何者?」
一回そう聞いたことがあったけど。
また無意識みたいに鼻を触って、遮った話をまた喋り続けた。
涼ちゃんは、朝が来ると消えていく。
「――、早く忘れてね。」
と言って。
目眩がするその仕草も、その言葉選びすら理解出来ずに。
そんな瞬きのような毎日が、無常にも過ぎていく。
夢を見てしまう。
熱を持つ呼吸の音。
割れた花瓶と、朱い液。
いずれ全て、何気なくなくなっていく。
一つ、また一つと。知らないうちに、忘れた頃に。
雲隠れする水色。
涼ちゃんは綺麗で、美しくて、艷やかで。
貴方を想う気持ちは、好きじゃない気がする。
多分、もっと深くて、もっと濃くて、もっと黒いもの。
貴方を見るたびに感じる。
言葉で片付くものなんて、一つも要らないと思う。
知らないうちになくなった、熱を持った呼吸。
忘れた頃に消えた、割れた花瓶と朱い液。
独りぼっちの教室。
だんだん独りが染み付いて、寂しさの感度も忘れていく。
ああ、また思い出してしまった。
貴方だけは、ずっと忘れられない。
貴方を考える夜がある限り、ずっと貴方は俺の中に居続ける。
忘れるために。
最低な夜は切り裂いて。
この夢が覚める前に。
「――、好きだよ。」
覚えのある愛の言葉。
貴方から聞きたかった愛の言葉。
笑わない目と、上げただけの口角。
偽物な貴方によく似合う。
また夜が近づいて、黄昏が街を包む。
ふわりと吹いた風は、いつかの春の終わりを思い出す。
風穴の空いた心に、冷たさを残して吹きぬいた。
夢を見てしまう。
朝の貴方という、有り余る理想。
夜の貴方という、欠けた虚像。
いずれ全て、何気なくなくなっていく。
一つ、また一つと。知らないうちに、忘れた頃に。
うつつは未だ灰色。
涼ちゃんは不思議で、淡くて、解らなくて。
貴方という存在はきっと、何者かなんかじゃないのだろう。
きっと、もっと複雑で、もっと細かくて、そしてもっと、単純なもの。
貴方と合うたびに感じる。
言葉で片付くものなんて、一つも要らないと思う。
知らないうちになくなった、有り余る理想。
忘れた頃に消えた、欠けた虚像。
二人ぽっちだった教室。
がんがん鼓膜をつんざいた、迷えるあの雷火も鳴いている。
ほら、また思い出してしまった。
あの夜たちだけは、ずっと忘れられない。
朝の貴方を見れない限り、ずっと貴方は俺の中に居続ける。
忘れるために。
最低な夜は出し抜いて。
遠い朝に逃げるために。
俺は、貴方のことを何も知らない。
なのに、貴方のことを忘れられない。
夜の貴方しか知らない。
なのに、朝の貴方を求めてる。
熱を持つ呼吸の音。
割れた花瓶と朱い液。
雲隠れする水色。
ずっと、二人ぽっちだった教室。
あの日、独りぼっちになった教室。
「わかってたんでしょ。」
そうだよ。
俺、ずっとわかってた。
貴方が何者なのかも。空っぽになった教室のことも。
でもわからない。
なにをわかってたことがわからない。
ずっと、俺は泣いている。
ずっと、迷えるあの雷火も鳴いているんだ。
俺がなくした、熱を持った呼吸。
俺がけした、割れた花瓶と朱い液。
独りぼっちになった教室。
だんだん独りが染み付いて、寂しさの感度も忘れていく。
ずっと、思い出したまんま。
貴方だけは、ずっと忘れられないんだろう。
貴方を考える夜がある限り、ずっと貴方は俺の中に居続けるんだろう。
だから、これからも忘れないために。
最低な夜は切り裂いて、その手を差し伸べておくれ。
朝になる。貴方が消える。
だんだん独りが染み付いて、寂しさの感度も忘れてく。
「若井、早く忘れてね。」
名前、俺の、なまえ。
頭がぐちゃぐちゃになっていく。
こんな夜は、貴方を思い出す。
やっぱり、言葉で片付くものなんて、一つも要らないと思う。
忘れるために。
最低な夜は切り裂いて。
この夢が覚める前に。
この歌が終わる前に。