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その日は突然にやってきた。彗星の如く現れた彼女。私の次に転生してきたであろう少女。
私の全てを狂わせた要因、ウイルス。
最初は私だって仲良くしようとしたわ。
でも、彼女が転生してすぐ、それは無理なのだと悟ることになる。
私の白い髪とはまるで違う、綺麗な水色の髪、
空よりも透き通った瞳。
そして、彼女のそれよりも彼女の魅力を引き立てているのは美しい彼女の心。
驚くほどの自己犠牲、優しさ、困っている人を見過ごせない性分。
さながら彼女は、物語の主人公だった。主人公になるために、生まれてきたような子。
転生してわずか半月で居場所を確保し、次々と街の人々の信頼を勝ち取る。
程よい距離感でクルクルといとも簡単に、踊るようにして人々の心を掴んでいったのだ。
そんな彼女はとうとう、こんなことを言い出したのだ。彼女はとんでもないことを言い出した。
「私…魔王を倒しに行こうと思うの」
絶句。
それを聞いた他の人たちも、空いた口が塞がらないご様子。
「だって、魔王ってみんなに酷いことしてきたでしょ…?だから倒さないと…」
そんなことは無理、危険だ と誰かが咎めれば
「倒せなくても…どうにか話し合えないかな…
きっと、あの人にもあの人なりの考えが…」
と綺麗な言葉を並べるし始末。
こいつは駄目だ。
誰がなんと言おうと引き下がらない。
あれはきっと、ただの綺麗事じゃない。
彼女自身が、心から思っている言葉だ。
生まれながらの主人公気質
私がこの人生で、最も嫌って、最も憧れだったはずの性格。
「それなら、僕がついて行く。一緒に行くよ」
初めにこう名乗り出たのは、ハルカ。
ハルカがそう言い出した途端、それに合わせて「旅に着いていく」と言い出すものがぞろぞろと現れた。
信じられない。
今まで自分の命を惜しんでいたもの達が、彼女の言葉で、ついて行くことを選ぶだなんて。
「…トウカちゃんは…?どうする…?」
こちらを優しく微笑み、そう尋ねたヒスイ。
皆の視線が、期待を込めた視線が、私に降り注ぐ。
答えはたった一つ。
「…行かない。死にたくないもの。」
この時の選択は間違っていたんだろうか。