テラーノベル
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少し時を戻し、とあるビルの屋上。
海と真澄は四季と神門の戦いの行方を見守っていた。
話を聞いてほしい四季と言い訳はいらないと言い切る神門。二人の論戦は平行線だった。
四季は一度殺されかけ、炎鬼の力でなんとか神門と渡り合っている。
「一ノ瀬…神門さん…」
海は目を閉じ胸の前で手を握り締め、友達の名前を呟く。
真澄が隣で海の背中を擦る。
少し擦ると、不自然にその手は止まった。
「真澄兄さん…?」
真澄の視線の先に目を向けると、四季は暴走していた。
血触解放で作られた銃と己の身体で神門を蹂躙していく四季。
二人の声は聞こえない。ただ二人が織り成す戦いの音が聞こえるだけだ。
へたりと座り込んでしまった海に真澄は 「海」と呼び掛けた。
「俺は一ノ瀬を回収しに行く。来るかは自分で決めろ」
その言葉と共に真澄は姿を消し、フェンスを飛び越えて四季の方へ向かった。
海はまだ動けない。
(神門さんが、一ノ瀬が…死んでしまう)
脳裏に甦ったのは母の最期の姿。
海達に予言のようなものを言い遺すと、「生きていたかった」と瞳から光を失くし、絶命した。
「あんな事になるのは…もう御免なんだ」
母の様に、友達まで失いたくない。
海はフェンスを高く飛び越え、ビルへと着地する。
真澄は四季から逃げ回っていた。
神門は海の姿を見て目を丸くしている。
「ミオさん…いや、神示海…?」
「問答は後です!神門さん!」
海は親指の腹を噛み千切り、背丈ほどの大太刀を作り出す。
「今は、一ノ瀬を!」
銃弾を凪ぎ払うように刀を振り、四季の方へ向かっていく。
近付くと、四季は譫言の様に「逃げて」と言っていたことに気付いた。
(暴走しても、優しいのは変わらない)
太刀に持ち替え、四季の背後から触手のように伸びた銃を両断する。
四季は振り返ると海の顔を掴み、地面に叩きつけた。
「が、は…っ」
血の混じった咳を繰り返す。
四季はまだ暴走が解けていない。
真澄はまだ一人で逃げ回っている。
「ま、すみ…にいさん…」
何もできないことが、こんなに歯痒い。
姉も、兄と慕う人達も、こんな歯痒さを抱えて生きてきたのか。
(私も、助けになりたいのに)
どこか骨でも折ったのか、痛みで動けない身体をよろけながら動かす。
今の海を動かしていたのは、『悔しさ』だった。
(すまない、一ノ瀬。八つ当たりさせてくれ)
瓦礫の上に登り、暴走した四季の目を引くように立つ。
「今はもう、戦えるんだ」
短い漆黒の髪が先から群青色に染まっていく。
海は四季を見据え、ある武器を作り出した。
「【素戔嗚尊_國産沼矛】」
真澄が息を飲んだ。
「あいつは…」
海の手にあるのは、在りし日の海達の父が使った武器。
片や槍、片や薙刀のその沼矛は扱いが難しい事で有名だった。
父から娘へ。武器が受け継がれたのか。
海は水を纏い沼矛を地面に突き刺した。
「私の全力を持って、一ノ瀬を…いや、四季を!止める!」
水の鬼神_【水鬼】の覚醒の瞬間だった。
沼矛を構え、勢い良く凪ぎ払うように振る。
水が波のように四季を押し流した。
「ガぁ、ウ」
四季は流されても尚立ち上がり、近くにいた真澄に銃口を向けた。
真澄は避けようとしたが、足が撃ち抜かれ、吹き飛ばされた。
「真澄兄さんっ!」
走ると、真澄は意識ははっきりしていた。
海は息を吐くと四季を瓦礫に縫い付けるように、肩に沼矛を刺し、呼び掛ける。
「戻ってきてくれ、四季! 」
沼矛を支えながら、馬乗りになるように四季の上へ跨がりながら呼び掛ける。
右のこめかみから垂れる他より長い髪が四季に垂れた。
爪で深く傷つけられようが、撃たれようが、動く気はない。
「待ってるよ」と呼び続ける。
その時だった。
海の頭に照準を合わせて血液のライフルから銃弾が発射される。
(避けられない)
海は即座に察した。
動いたら四季を逃がしてしまう。動かなければ死ぬ。
迫る銃弾を見ながら、ぐるぐると思考が止まらない。
「海」
声と共に視界が塞がれた。心地いい圧迫感は、どうやら抱き締められてるらしい。
海にはそれが誰なのかすぐに分かった。
「真澄兄さん…?」
「海、一ノ瀬ェ」
真澄は二人に順番に視線を向け、いつもより少しだけ、優しい顔で言った。
「俺の死を、背負うんじゃねーぞ」
銃弾が、何かにぶつかった。
こんにちは。作者です。もう少しで練馬も終わり!第二期の華厳の滝へ行けます!ひゃっほう!
いつもいいね、ブックマーク、ありがとうございます。いつも励みになっております。これからもぐだぐだ亀更新で行きますが、付いてきてくだされば幸いです。
#夢小説
ミツヒサ
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ちゃあはん
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コメント
7件
待ってください、めっちゃ好きです!もっと早く知りたかったです...!
うわー、ここで来ましたか…という感じです。四季の暴走を止めようとする海の「待ってるよ」という呼びかけ、すごく響きました。それと真澄兄さんが「俺の死を背負うんじゃねーぞ」って、あのクールな人が…。もう胸が詰まりますね。水鬼覚醒の流れも、父親から受け継いだ武器の設定も美しくて、世界観にどんどん引き込まれました。続きが待ち遠しいです!