余の国は滅びた。
理由は余の星で小さな争いが起きたことが理由だった。
余は王であり王妃の息子であった。余の母は優しいようで違った気がする。
あの時ああしていればあの時やめておけばなんて今更すぎることであり後悔にやけおちて沈む。
母は世界平和のためなのか自分自身のためなのかそれはどうでもいいが辛いのは何もかもなくしたことだ。
新しい研究をしたのか、なんなのか新しいこの星の世界を生み出そうとした。それに余は反対した。世界平和のためだと戯言を言う母を信じ賛成する者も現れた。
余は仲間を集め反対した。そんなつまらない物を編み出すくらいなら平和を望まない、平和という仮面をかぶせたただの絶望だからだ。
そのせいか反対する者と賛成する者で争いが生まれた。
王と王の母であるものが争いを起こすなど周りからすればそれほど面白いことは他になかったであろう。
父は幼き時に亡くし余は王になることが決まっていた。味方は少ししかいない、それでも仲間は余と同じく全力を尽くしてくれた。
『待てっ!』
そう叫んだ記憶と周りを焼き尽くす炎、それはまるで祭りのように星が見える夜空を明るく照らしあげたもの。
『な、ぁ王』
『……なんだ』
『…………最後まで、貫いてくれ、その思いを』
次々に倒れゆく仲間を見て最後まで貫いたその心の奥の想いは熱くて痛かった。
涙を流し進むこの重い足はズルズルと引きずってその想いと共に前へと向かった。
焼けて赤黒くなった壁はボロボロと焦げをだしまだほんのりとチリチリ音を鳴らして焼けてゆく。
少しそこで休もう。そう思い壁に腰掛けた。
『ふぅ』
疲れた、それが正直な想いだろう。
父も母も亡くし今の今までずっと甘えてきたのでは?そう思う時だってある。
それでも奇跡の到来を信じ、前を向いた。
(ずるい手を使いやがって)
死に至る猛毒、とあるひとりの研究者が作り上げたとされる物。
なぜそんなものを母が持っていたかは知らない、だが確実に余を殺しにかかって来ていた。
(休もうとしたのに考えすぎだな)
なんの音か分からないが少し心地良いようでそうでも無いそんなよく分からないものに今は縋っているのかもしれない。
すると瞼が重くなりチカチカと視界がぼやけ始めた。
(今までの疲れがどっと来たな、少し……寝よう)
『すぅすぅ』
そう寝息を立てながら1人の王様は眠りについた。
『…………帝統』
ぱちっ
ゆっくりと瞼をあげる。
目の前にいるのは紛れもない……
母だ
『母様』
よく見れば今の自分はありえないくらい体が小さい、幼い頃のものだ。きっと夢なのであろう。
だが暖かい春の風はとてもじゃないが覚めたくない夢だった。
『ほら、来なさい』
ああ、母とはこんなに優しいものだっただろうか……思い出せなくていい、思い出したくない。
一つ欲張るならば……
『あなたは本当の母様?』
『……は?』
本物の母様と会って厳しい母様と話したい、現実の後悔を無くしたい。
『貴方は余の母ではない』
いつも余を1人にしていたくせに、いつも余に自由をくれなかったくせに、
今更変わられても……なんとも思いませんよ
王になることが決定していた身柄剣道やらなんやら厳しく育てられてきた。この星という名の国を守るために。
余……俺は俺らしく自分を貫き通すのが約束なのだ。
『母様、せめてあの世で笑っていてくれ』
これがたった一つの願だ。
花々が綺麗に咲き誇る花園に突き刺さるかのようにある剣。
そっと手にし、前に振り向けた。
目の前のガラスを壊すようにその剣を振った。音は大きく鳴り響きガラスは割れる。
『夢なのに余計に疲れるな』
だが決意を固められた。我ながら嫌な夢を見た気もするがいつかあの世に行った時は母様に一言謝り認めてもらいたい。