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変装した『補佐・ローズ』の姿であっても、丸い眼鏡の奥にある瞳は変わらず輝くピンクサファイアだった。
爛々と意志の強さをたたえた真っ直ぐなその瞳から逃れ、過去に戻るためにアダムは静かに瞼を下ろした。
暗いまな裏に、頭を抱えて項垂れていた先代ブラット公爵――父親の姿がはっきりと浮かんでくる。
「なんて私は不甲斐ない当主なんだ……」
アダムが幼少の頃に母親が流行り病で亡くなり、唯一の肉親となった父親。
その父親がとある子爵家当主の策略により罪を着せられ、ベラルダート村一帯の領地を奪われたのは、アダムが後継者になるための勉強に励んでいた十五歳の頃だった。
子供心に、公爵家には強く優秀な騎士がいるのだから、奪われたものは力づくで奪い返せばいい、とアダムは思った。
しかし争いを好まない父親は、無実の証明と子爵＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
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