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部屋の明かりもつけずにBroooockはただ座っていた。椅子に沈むように、崩れるように。
──Nakamuが来ない。
いつもなら来る時間なのに。
LINEも既読にならない。
電話もつながらない。
数時間前まで隣で笑っていたのに。
「なんでなんでなんで……
今さら離れようとするの……」
机の上のグラスを手で払う。
バシャッという音とともに、床に水が広がる。
彼にとってNakamuは、
ただの相方じゃない。
唯一の理解者であり、
唯一の依存先。
それが突然、無視された。
「僕さ、何のためにここまで頑張ったと思ってんだよ……っ」
拳を握る。
涙が止まらない。
喉の奥が、焼けるように苦しい。
そのとき。
──インターホンの音。
「……っ」
飛び起きてドアを開けると、そこには目を腫らしたNakamuが立っていた。
「ごめん……俺……無理だった」
「なんで来たの……
今さら、 なんなんだよ……!」
「離れようとした。でも… やっぱ、
できなかった。 お前のいない世界
想像したら、息できなくなって……
怖くて、震えて、
気づいたらここに来てた……」
Broooockは、唇を噛んでいた。
泣きそうで、怒りたくて、でも何より、
「戻ってきてくれてよかった」と叫びたくて。
「なぁ……
もう、僕たち……普通じゃないよね……?」
「うん、でも……壊れててもいいよ。
お前と一緒に壊れるなら、それでいい」
その言葉で、すべてが崩れた。
BroooockはNakamuを強く、強く抱きしめた。
首に爪が食い込みそうなほどの力で。
言葉じゃなく、痛みでつながるように。
「一生、お前だけでいい。他なんていらない」
「うん。俺も。壊れるまで、
ずっと一緒にいよう」
その夜、ふたりはもう「帰れる場所」には戻らなかった。
共依存の果て。
それは「終わり」じゃなく、彼らにとっての「完成」だった。