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奇病と呼ばれる、謎の病が流行り始めた。
最初は誰も気にしなかった。
けれど原因もわからないまま、発症者は増える。もちろん不安は渦巻く。
それを解消するべく、専門の病棟が設立された。
それが、この奇病専門病棟203号室の物語である。
奇病は若くして発症し、30歳になる前に亡くなることが多い。
まず一人目の患者が203号室にやってきた。
渡辺真優、24歳。
症状は頭に角が生えること。
頭に角が生えることで、脳に影響が出る恐れがあり宣告された余命は、2年だった。
真優は入院してから、毎日毎日検査をしていた。角は毎日生えてきたし、専門病棟一人目の患者ということで念入りに検査されていた。
検査にも病室に一人なのに慣れた頃に二人目の患者が203号室にやってきた。
本城樹、27歳。
症状は右目から草花が生えること。
203号室にやってくる頃には、右目には鮮やかな花が生えており、蔦のようなものが既に身体にまで絡みついていた。
右目から外側に草花が、内側にはその根が伸び、その根は脳にまで到達する。
宣告された余命は半年だった。
樹は真優と違って、全くと言っていいはど検査などなかった。それはもはや治療不可能と宣告されてるのと同じようなことだった。
そんな中また一人患者がやって来た。
立花真、22歳。
症状は背中から羽根が生えること。
真優や樹と比べると頭ではないため軽視されがちだが、羽根の根本は木の根のようになって、身体の中に張り巡らされていることによって身体の神経に異常をきたす可能性があるということで、宣告された余命は4年だった。