ご本人様とは一切関係ありません
捏造 / 学パロ
迷惑をかける行為 / 他の所に持ち出す / 晒し
等やめてください。
死ネタあり / 意味不
7月1日、夏が本格的にやってくる季節。
彼の机の上に、キンセンカが入った花瓶が置かれた。
明るく場違い感があったが、彼にはその色がお似合いなんだと思う。
その日は3時間目の前に早退して、1人で帰っていた。未だ湧かない彼がこの世から消えたのと言う事が。悲しくなって泣きながら帰路を歩いていると、見慣れた人が俺の家の前に立っている。
「 ふわっち? 」
そう声をかけると、手を振りながらこちらに近づいてくる。
「 明那、よっ 」
変わらない笑顔でそう言う彼、俺は幻覚を見ているのだろうか。
「 ふわっち…本物? 」
そういえば彼は本物本物〜!と言いながら少し悩んだ末に、言った。
「 生き返ったっぽい 」
と
「 そっそんな事ある? 」
「 いやぁ〜、俺も分からんくてさぁ 」
ニコニコ笑う彼を抱き締めれば、確かに冷たくて、けど生きている。近くを通ったお婆さんに声をかけてふわっちの存在を聞くと、何を言ってるの?貴方しか居ないよ?とお決まりのセリフをもらった。
俺だけが見えているって事なのか、訳が分からないがふわっちが帰ってきてくれて俺は嬉しかった。また遊べる、また一緒に居れると
「 まぁ、家入る? 」
「 うん、入る。ありがと 」
ふわっちを家にあげて話を聞くと、急に目が覚めて、自分の家にいたが親は泣いていて俺の姿は見えてなくて、1人でただ歩いていたら俺の家に着いたとの事だった。真夏、暑くなかったのか聞くとそういう感覚はもう無いらしい。喉は乾くのか聞けば乾かないらしい
「 …俺だけが見えるって事? 」
「 多分 」
「 えぇ…、なんでだろう 」
2人で頭をフル回転させるがその答えを思いつく事はできず、まぁいずれ分かるだろ!という結論に陥った。親は出張に言っている為居なかったから、今は2人っきり。
お風呂に入るか聞けば、俺は無臭やから!と言われた、確かに匂いがしない。お腹も減らないらしく、俺が食べるのを満点の笑みで見ていた。恥ずかしい
「 ベッド、親の所で寝るの嫌でしょ? 」
「 うん、なんか嫌 」
「 …俺のベッドで寝る? 」
「 明那はどこで寝るの? 」
「 …床 」
「 なら一緒に寝ようよ 」
そう言って添い寝をした。ふわっちは体温が異常に低いから、暑い夏ではとても気持ちよかった。
「 …朝起きたらふわっち居なかったらどうしよう 」
眠りに入ろうとした頭で横に居るふわっちに言えば、こっちを見て寂しい?そう言った。寂しいから居なくならないでねって言えばふわっちはどうだろうねと曖昧な答えを出した。それもあるのか、その夜はふわっちに抱きついて眠った。離れないように、と
「 もし、好きだから離れないでって言ったらどうする? 」
「 えぇ〜?でも今居るのが不思議やからなぁ 」
「 離れるの? 」
「 自分の意思では離れんよ 」
「 本当? 」
「 うん 」
今そこに居るのが奇跡で、不思議で。俺のわがままを笑いながら聞いてくれる彼はもうこの世界には存在していなくて、大好きな彼はいずれ消えてしまう。
そういえば、なんで消えたんだ?
「 ふわっち、 」
「 ん? 」
「 なんで居なくなったの? 」
「 …内緒 」
そう言って人差し指を口に持っていき、笑う彼は、隠し事をしている時の顔。俺はなんとなく予想ができたが、彼がそんな事をするとは思えなかった。
「 おやすみ、ふわっち 」
「 おやすみ、明那 」
目が覚める、カーテンが開いていて日光が眩しい。
「 んん”… 」
「 おはよう明那、朝やで 」
窓を開けて風に当たっているふわっちがこちらを見て言う。もう朝か。目を擦りながらベッドから出て顔を洗う。朝ごはんは何にしようかな。
「 あ、思ったんだけどさ 」
「 何? 」
「 ふわっち物持てる? 」
「 持てる持てる、触れる 」
「 へぇ〜 」
不思議だな、そう思いながらご飯を作って食べる。夜同様ふわっちは食べずに俺を見て微笑んでいる。思わずむせるかと思った。
制服に着替えて、いざ行くか!って思った時、ふと思った。
「 ふわっちも学校行こうよ 」
「 んー、でも制服がなぁ 」
「 俺の1着貸すよ 」
「 ならお言葉に甘えて 」
行きたかったんだろうなぁと思いながら玄関で待つ、でも彼にもう一度認識させてしまうかもなと思いながら。
着替え終わったふわっちの学校に行くと、やっぱり周りからは見えてないようで、喋るのは諦めた。
下駄箱に着くと、ふわっちは俺がスリッパに履き替えるのを見ているだけ、もう処分されてしまったのか。
教室に着けば、いつも騒がしい教室は静かで皆悲しそうにしている。ふわっちはそれを見ながらただ俺の後ろを着いてきた。
俺の机は窓側にあって、ふわっちは窓に背を向けてずっと黒板を見ていた。授業中
せっかく居るのに話せないのは嫌で、ノートにどう?学校はそう書けばふわっちはなんか変な感じと声を出した。
ふわっちの声も俺にしか聞こえないらしく、ノートに書いた事をふわっちが答えるだけとなった。たまにふざけるから笑いそうになる。
お昼休憩はこっそりパクった屋上の鍵を使って、そこでご飯を食べた。
「 なんか、学校であんまり話せないね 」
「 そうやなぁ 」
もぐもぐとコンビニで買ったお弁当を食べながら会話する。ここはふわっちと俺だけの場所、ふわっちは学校に行ってどう思ったんだろうか。
お昼休憩が終わって、授業が終わって放課後
一緒に帰るが会話は無し、やっぱり寂しい。家に着いてふわっちと会話をするが、話す事が無い。
そして、また夜になって寝る準備をして。
「 居なくなってもいいよ、 」
ふわっちに背を向けて言う。このままではふわっちは悲しんでしまうのではないか、もう自分が周りの人と話せない事を悲しんで、俺が締め付けているのでは無いか、無理を言っても笑ってこなしてくれる彼だから。
俺から手放すしかない。
「 本気で言ってる? 」
いつもより低いトーンにびくっと体が反応してしまう。
「 ほっ、本気じゃなッ… 」
「 ならなんで? 」
ふわっちが俺の上に乗って身動きが取れない、手もガッツリ固定されて抵抗もできない。ふわっちが怒っているのが分かって、怖くて泣いてしまった。
「 俺に居なくなってほしいの? 」
「 違うッ!やだ、居なくならないでほしい、けど!それはふわっちを縛り付けてるんじゃないかって…、」
「 俺は明那と話せたらそれでいいよ 」
「 へッ… 」
「 好きだよ、ずっと 」
「 なッ何言って 」
「 俺が明那にしか見えなくて、明那しか俺と話せないって、俺は嬉しいよ 」
「 …ふわっち? 」
「 明那しか要らない、明那が俺と居ればいい、明那以外なんて要らない 」
抱きしめられて言われる。その時俺の頭は全部 “ 怖い ” そうとしか思えなかった。
「 明那は俺を見捨てへんよな? 」
数ヶ月後、俺の机の上にシザンカスが入った花瓶が置かれた。
コメント
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キンセンカとシザンサスの花言葉を調べてみたんですけど、キンセンカが『別れの悲しみ』シガンサスが『いつまでも一緒に』って出てきて、「え、すごぉ…」ってなりました。途中尊いし怖いしで感情ごっちゃだったけど、最高の作品ありがとうございました!長文失礼しました…