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愛執染着(zm × em)──────────────────
◇ワンクッション◇
キャプション必読。
こちらはとある戦/争.屋実況者様のキャラをお借りした二次創作です。
ご本人様とは一切関係ございません。
・作品内に登場するすべては誹謗中傷/政治的プロパガンダの目的で作られたものではありません。
・YES腐向け/BLです。
・ガッツリR18ではないですが、挿入までの性行為に及んでいます。
・濁点喘ぎ、♡喘ぎ、その他諸々があります。
・公共機関では読まないようにご配慮下さい。
・あくまで一つの読み物としての世界観をお楽しみください。
・作品/注意書きを読んだ上での内容や解釈違いなどといった誹謗中傷は受け付けません。
──────────────────
リクエスト『emさんは愛が重いと思われているが実はzmさんの方が愛が重かった話』
軍パロです。
流血、暴力の表現がありますのでご注意を。(若干)※ヤンデレではないです。DVもないです。
えっちです。R18です。
完全なるえっちというわけではないですがバチコリに挿入までいってます。
emさんが受けです。(四流組)
濁点喘ぎ、♡喘ぎがあります。
zmemが付き合っていることはみんな知っている設定です。
軍パロです。
以上の通りが大丈夫な方のみ閲覧ください。
尚、問題があれば削除します。
ワンクッション
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e m 視点
「私っ…!ゾムさんのことがずっと好きで…!」
おさげ髪に朱に染まる頬、軍服をきて手紙を両手で持って、こちらに差し出している。
その手紙を受け取ろうか悩んでいるように手を彷徨わせると、恐る恐る手紙を受け取る。
すると、赤かった頬が更に赤くなって、口を開く。
「つ、付き合ってください!」
言ってしまった、と言いたげな顔で視線を向ける。
俺はきっぱりと言葉を投げる。
「すまんな」
「俺は君のことなんも知らんし、興味もない」
「やから諦めてくれ」
「そ、そんなッ……!!」
俺は後ろを向き、彼女を見ずに歩み出す。
ベージュの髪色の、色素の薄い瞳を持つ彼氏の事をアタマに浮かべながら、薄暗い廊下を踏みしめた。
* * *
「ゾムさ〜ん聞いたで〜?」
「また女に告られたんやろ?」
この飄々とした立ち振る舞いに軽い声。
振り向いてみると、案の定藍色の彼がニヤニヤと気色悪い笑みをしながらこちらを向いていた。
相変わらずの気色悪さである。何を食べればそんな風になるのか、検討もつかない。
そんなことはさておき、顔だけは良い、鬱屈とした雰囲気をさらけ出している子の男は同僚である鬱である。
普段は無能と呼ばれるこいつだが、本気を出せば物凄い力を発揮することを皆知っている為、本気で”無能”と罵られることはあまりない。
よくガバる───ミスをする───のだが、本当に洒落にならないガバをしたときは割と本気で無能と罵られることは聞いていなかったこととしよう。
「いやー、ゾムさんも隅には置けへんねぇ!」
愉悦たっぷりで、揶揄う気満々です、というように近づいてきて、バジバシと背中を叩く。
笑いを堪えようとしているみたいだが全く堪えきれていない。
空気が口から抜け出し、身体を震わせている。
「あ、でもゾムさんには───」
「大先生?」
「と…あ!ゾムさんじゃないですか!」
大先生を見たあと、俺を見るやいなや目を輝かせ走り出す。
エーミールは嬉しそうに、「なにを話してたんですか?」と聞き出す。
「聞いてやエーミール!ゾムさん、また告られたらしいで〜?」
「今月入ってまだほんのちょっとしか経っとらんのに、もう七回目!ヤバない!?」
「なんでお前は俺が告られた回数を知っとんねん」
キョトンとして子どものような表情は見る見る内に笑みに変わる。
もっとも、先程見せた可愛い顔とは程遠く、目が凍てつく氷のように冷たいが。
「へぇ?ねぇねぇゾムさん」
「その時になんかもらった?貰ったんやったらちょっと見せてくれへん?」
ちょいちょい、と袖を引っ張ると、上目遣いで見つめてくる。
俺がこの目に弱いを知っていてそういう事をするのだから、つくづく賢い人である。
そんな彼に甘い俺も大概ではあろうが。
「ん?えっとな…あ、これやわ」
「手紙貰ってんけど、中身呼んどら辺からわからんわ」
「これ開けさせてもろてええ?」
「ええよ」
「どうせ読まへんし」
懐から出した手紙を手渡すと、ひったくるように手紙を受け取る。
手紙の赤いシーリングスタンプをじっくりと観察するように見て、それから乱雑に手紙を開けて中身を取り出す。
普段ものの扱いが丁寧で優しい彼とは似つかず、それだけ不愉快きまわりない思いをしているという事なのだろう。
ものの数秒でびっしりと書かれた二枚の手紙を速読すると、手紙を破き出した。
破いた紙をライターで火をつけて燃やしていく。
彼は喫煙者だったから、ライターを持っていたのだろう。
パチパチと心地よい音を奏でながら、紙がゆっくりと炭に変化していく。
やっと燃え尽きたと思ったら、今度は拳銃で炭になった手紙を何度も撃つ。
ばん、ばん、と鈍器で固いものを殴ったような音が鳴り響く。
木っ端微塵になった紙を丁度そこら中を徘徊していたゴキブリが連れ去っていく。
その際、大先生が恐れ慄いていたことを揶揄ったことも忘れずに。
「ははははは!エーミールめっちゃやるやん!」
「流石やなぁ!!そんなにゾムすぁんのことが好きで好きでたまぁんないのねッ…!」
「アタシ妬いちゃうッッ!!」
身体をクネクネとくねらせながら、万人が鳥肌にさせるような声を上げる。
「はは、妬いてもええよ?」
「そしたら俺が殺すだけやから」
「いやエーミール…じょ、冗談やん!や、やめてぇや!」
「お前ホンマにゾムのこと好きやん…愛重すぎやろ…重すぎて俺がとばっちり喰らいそうで嫌やわぁ……」
大先生はそう言うと、オレに引っ付くのをやめ、離れていく。
エーミールの殺意とも呼べる何かを感じ取ったためだろう。
後ずさっている。
「ようゾムさんはこんなのと付き合えるなぁ」
「俺やったら嫌やわ」
「お前の場合お前自体が重いもんな」
「はぁ!?そんなことありませんけどぉ!?」
「あと何気に遠回しで太った言うのやめんか!」
「あ、バレた?」
「バレとるわ!!!」
そんな茶番をしながら、俺はエーミールの方をちらりと盗み見る。
いつもの穏やかな優しい笑みを浮かべていて、あの死んだ目をした微笑みを思い出し身震いする。
これからは怒らせないようにしよう。
「それにしても謎よな〜」
「なんでか俺らん中でもエミさんだけ告られへんという…w」
「別に私はモテなくてもいいんですよ!!」
俺たち幹部は全員何かしら告白されることがある。
少なくともあのロボロでさえ告白されたことがあるのに、なぜかエミさんだけ告白されることはない。
ギャルゲーや恋愛シュミレーションゲーム等でもある生徒会みたいな感じが、俺たち幹部になったバージョン、と説明する方が分かりやすいかもしれない。
「それに、最近エーミールのとこの隊の子らなんかちょっとずつ減っていってんのやろ?」
「みーんな心臓ぶっ刺されて」
「しかも犯人もわかっとらへんし…物騒やなぁ」
「……へー」
「そんなのに興味はないねんけどさ、大先生」
「なに?」
「トントンがお前のこと呼んどったで」
「エッ!マジで!??おまっ、それを先に言えや!!」
「怒られんの俺やねんで!?」
「どうせまたおまえは書類やってなかったんやろ」
「げっようわかったな」
「ちょっとはやってんの?」
「ま、まあな……六割くらいは…、……」
「おいそれ嘘の時やんけ」
「トントンに怒られても文句は言えんで、それ」
「ほらとっととトントンとこ行って搾られてこい」
猿の泣き真似をしながら大先生は執務質へと歩き出した。
堕天使になったトントンほど怖いものはない。
いつも丸まっている背中が、よりま丸まっている気がする。
ご愁傷さまである。
「ゾムさん……」
その声と共に振り降りてきたのは、温もり。
身体を包まれるような暖かさ。
抱きしめられていると気付くに数秒要した。
「今夜、ゾムさんの部屋に行ってもええ?」
「ゾムさんの恋人は誰なのか、ちゃんと知らしめとかないと……」
「ふふ、わかったわかった」
俺はエミさんの頭を撫でると、もっと撫でろ、と言いたげに頭を手の平にぐりぐりと押し付けてきた。
絹のような髪を梳いては梳かし、梳いては梳かし、を繰り返すと顔を覗き込んでくる。
そのまま唇を押し付け、触れるだけのキスをする。
エミさんは不満気にもう一度触れるだけのキスをした。
「お楽しみは夜、な?」
「…わかりました」
背中に回していた手を解くと、来た道を戻っていく。
未だに体温が残香のようにまとわりついている気がした。
──────────────────
z m 視点
「あっ……あ”っあ…、…!!!♡♡♡♡」
ばちゅん♡ばちゅん♡と液体と気体がぶつかる音がする。
人間が喘ぐ音と、呼吸音と、性行為を行う音だけが部屋中に鳴り響いて、耳まで犯されている気分になる。
まぁもっとも、この場で一番犯されているであろう男は、俺ではないだろうが。
「じょむ”っ…!!♡しゃっ!♡♡」
「やぇっ!!♡♡ああぁっ”!!!♡♡♡♡♡♡」
ぶしゅっ♡と可愛らしい音を立てて精液が吹き出る。
快楽に溺れているせいか、足がガクガクと震え、腹が子を孕もうと肉棒を掴んでは離さない。
「じょむしゃ”ぁっ…っ!!♡」
「ぜっら!!♡ぜっぁい…っ!♡おれいがいのやじゅっ”どぉっ”つき”あわぜぇんっ!!♡♡」
「ぞむざ”んっは!!♡♡おれのやも”ん”っ!♡」
「んふふ、せやな?♡俺はエミさんのやもんなぁ?」
今日、俺が女に告白されたことが気に食わないのだろう。
それはそうだ。
恋人が自分以外の人間に奪われるだなんて、世界で一番大切にしている宝物を奪われるだなんて、許せるわけがない。
奪われるようなことはなかったが、奪われ”かけた”、宝物を一瞬でも奪われそうになった、そこに不安を感じない訳がない。
そして、自分以外の人間が、恋人を”そういう目で”見ていることに、腹を立てている。
その事に腸を煮えくり返しながら、嫉妬しているのだろう。
だから、独占欲を丸出しにして、『これは俺のものだ!』と心の底から叫んでいる。
こんなにも可愛くて可愛くて堪らない恋人を今抱けていて、幸福だと肉棒を通じて共有している。
「あ”んっ!!!♡♡じょむっしゃ!♡」
「きっしゅ”っぅ…、…!♡きす、っしてぇっ♡」
エミさんの手に手を合わせ、指と指の間に指を這わせ、握る。
快感とう言う名の暴力に曝されて、余裕がないせいで舌を出して、色素の薄い瞳が上をむく。
その舌を舌で掬って、絡めとる。
口内を高級ビュッフェを食べるように味わって、歯並びに沿って舌で舐める。
にゅちゃっ…♡、ぐちゃっ…♡と神経を通して脳みそに伝わって、腰がずんと重くなる。
「ぷはっ…!♡あっあ゛ぁっ!♡」
「なっ、ん…れ…!?♡おほぁ゛っ♡さ、っ……きよりっ”お゛っぎ゛くっ…!!♡♡」
「エミさんってホンマかわええよなぁ♡」
再び唇を押し付けると、身体を震わせて吐精した。
咥内を掻きまわし、歯列の裏をなぞり、舌の根を抉り、さんざん懐柔した舌が引き抜かれていく。
何度も何度も唇だけを触れさせる優しいキスの雨を落とす。
「んはっ…、エミさんはキス、大好きやもんな?」
「それでえっちしてる時に声を抑えられると……快感を逃せへんくなって、えっちな事しか考えられへんくなるから……」
「好き、なんやろ?」
「へ゛ぁっ…!♡なんっ…、……!!♡♡」
「なんで知ってるか?ふふ、そら知ってるに決まっとるやろ?」
「俺はこれでも、エミさんの彼氏なんやから」
その言葉を聞いた瞬間、彼は安心したように笑うと、うつ伏せだった体をなんとか引き起こし、仰向けになる。
俺の首裏に腕を回すと、腰をより深く落とし、足でがっちり腰をホールドする。
「ぞむ゛っぁう!♡♡おれんこ゛っ…!♡」
「はらま゛せでぇっあ……!♡♡」
「エミさん、俺の子ども産みたいん?」
「嬉しいわぁ」
「ほな、いっぱい出したるな?♡」
「う゛んっ”!♡♡」
着けていたコンドームを外し、生で挿入する。
0.01mm越しに感じていた温もりとは段違いな程の熱。
火傷してしまいそうな程ほど熱く、それでいて蕩けて柔らかい肉に包まれて、思わず射精してしまいそうになるが、堪えて波を逃す。
ずるりと腹から性器を抜き、再びずぎゅんと捩じ込まれる。
再びピストン運動を始めると、彼は嬉しそうに鳴いた。
「あ゛ぁっ…゛!♡♡じぬ゛っじっゔ”っ!♡♡」
「じょっ”みゅあっ゛おりぇっじにゅううう♡♡」
「らめぇっ゛!♡♡あかち゛ゃんっ”♡♡」
「でき”ちゃぅっ……!♡♡」
「おほっ”!おっお゛っ…、♡♡♡♡」
「あ、っまぁ゛っあっ!!♡♡」
「イっ”……、…!」
「あ゛あ゛あ”あぁぁっっ〜〜〜〜♡♡♡♡♡」
腰を震わせ、精液を出していない。
これだけでは絶頂に達したのかどうかわからないが、中を締めてきたので、おそらく達したのだろう。
彼は女の子のように射精せず達するのが好きだから、今回もまた、堪らないほどの快感を感じているのだろう。
射精出来なかったせいで彼の性器は精液を、種を遺そうとしたそうに血管を浮かばせている。
彼はドライオーガズムが大好きなただのメスなので、種を残す必要なんてないのに。
種を遺す側ではなく、種を植え付けられて遺す側であるのに、彼はまだ男だと自分を認識していて、だが子を孕もうとする動きのこのアンバランスさが愛おしく思えてくる。
「ああ゛っ!!♡やぁっ!♡♡も、もうっ!!♡♡むっ、むり゛ぃっ!♡」
「あんっ゛!あ、ぁぁっ〜〜!!♡♡♡♡♡♡」
幾度と後ろで達した内壁はとろとろに蕩けて柔らかく、天国みたいに気持ちいい。
虐められ続けた前立腺が膨れ上がり、体積が増えたせいか、ずっと当たっている為、ひっきりなしに嬌声が止まらない。
「エミっさ…ん♡俺も、もうイクっ…!♡」
「あっ゛あぁっ!!♡♡♡♡」
「やぁあ”っ!ま、まらっイっクぅぅ…!♡♡」
「イっちゃう゛ぅぅぅ♡♡」
「んは、なら、一緒に…な?♡」
彼が一足先に甘くイクと、俺も同時に射精する。
俺が種を遺そうと精液を注ぎ込むと、彼は再び腰を震わせ、深く達した。
絶頂の余韻が抜けないのか、虚ろな目で俺を焦点に定める。
唇をずっと見ているので、キスをして欲しいのだとわかり、もう一度キスをする。
唇同士を触れさせ、無防備に投げ出された舌を糸のように絡め口内を蹂躙する。
生々しい水音が反響して、たった今人間としての生殖活動を行ったあとなのだと頭に再認識させた。
名残惜しくも熱い体温を唇に残るのを感じながら、抱き潰された身体を抱きしめる。
「は゛ーっ♡、はぁーっ♡」
「エミさんが心配せんでも俺はエミさんだけやで」
「エミさんはいつも通り俺の事縛っといてな♡」
「ん…♡おれ、も”っ……♡♡ぞみゅっ、ぞむっさんだけやれ…?♡♡」
こんなにも可愛らしい彼にキスをする。
誰かもわからない精液が、汗と、唾液と混ざりあって、素晴らしい光景を彩っている。
一生離すまいと、熱い体温を腕に抱えながら、甘い唾液を貪り食った。
──────────────────
e m 視点
「え?私に、ですか?」
夜の帳が降りた頃、真っ黒なスーツに、白い電球がヒカリをさらけ出し、整った顔がよりいっそう際立っていた。
友人関係の中で一番と言っていい程長い彼は、何年経ってもルビーの瞳は輝きを増していて、羨ましいと思う。
私の瞳は色素が薄いから、よく白目を向いていると思われてしまうので。
そんな彼の横に立つグルッペンとはまた違う赤く燃え上がる炎のような瞳をもつ男。
彼は相変わらずグルッペンとお熱いようでなによりである。
「そうだ」
「というより、エーミールはこの国の最新型戦機が気になっていると言っていただろう?」
「丁度いいと思ってな」
「はい!β国───最近見た論文ですごく話題になっていて、なんと言っても、発見されたばかりの物理法則を上手く使って組み込ませたことで防御力の高い装甲をとても小さく、そして薄くすることを実現させたんですよ!その事により基本的に戦車は視界が狭いことが欠点なのですが、厚い装甲が薄くなったことでスペースが開き、視界を元来のものよりも広くすることが可能になり、更に更に!その中に大量の弾丸と火薬を積み込むことができるようにもなったんです!発見されたばかりの物理法則を組み込んでいるため、未だにβ国以外、その戦車の構図がどうなっているかわからず、すごく気になっ「もういいゾエーミール」」
「流石にもう腹いっぱいなんだが」
「えへへ……ホンマにすみません」
「もうそのくらい気になって気になって仕方なくって…!そんなβ国に見学に行けるだなんてもう最高ですね!!」
「お、おう…」
「で、期間はざっと二週間くらいだ」
「長くても一ヶ月程度」
「了解しました!いつからですか!!??」
「五日後だ」
「わかりました!!気になってること疑問になること全て書き出してメモにしなくちゃなので失礼しますね!!」
扉を壊す勢いで飛び出す。
ほとんどグルッペンの声も耳に入れてはいない。
最後に頭に残っているのは自分なりに考えた戦車の構造と原料くらいであった。
* * *
「ふーん」
「β国に出張に行くん?」
「はい!W国の研究員として見学に行かせてもらうんですよ!」
「最新型戦車の構造をやっと…!あぁ…!もう今から楽しみですよ…!♡」
いつもの図書室にて、私は資料を整理し、本棚に積もる塵芥を払っている現在。
『エミさーん!!お茶しよ!!!!』とお茶っ葉とポット、ティーカップ、私好みの甘さ控えめのホイップたっぷりのケーキを二つ持って図書室に突撃してきた。
その度に、『図書室なんで静かにしてください!!!』と怒鳴るのが常である。
赤茶色の透き通った液体が白色のカップにどっさりと鎮座していて、湯気がゆらゆら立っている。
私は粗方掃除を終わらせると、アンティークのダークオークで出来た椅子に座る。
カップを持ち上げて口を付けると、すっきりとした味が舌を歩くと、爽やかな匂いが鼻を通り抜ける。
「あ!これインドのニルギリですか!?」
「しかもストレートティーで…!俺がこの茶葉好きなこと、覚えててくれたん?」
「んー?」
「単純に俺が飲みたかっただけやで?」
ゾムさんは目を伏せ、照れ隠しをするように紅茶を口に含む。
表情はいつも通りではあるが、耳が少し赤くなっている。
この反応を見るに、やはり覚えていてくれたのだと思い、心が舞い上がるような気持になる。
「それで?あっちにはどんくらいおるん?」
「二週間くらいですかね」
「長くても一ヶ月程度だとグルッペンは仰ってました」
ホイップたっぷりのケーキをフォークで一口大に切り、胃に収める。
このケーキも俺好みの味だ。
ゾムさんは大体自分好みのものを持ってくるが、今日は俺に合わせてくれたのだ。
こんなこと、滅多にないので、また心が踊る。
恋人の気まぐれ一つでこうやって感情を揺さぶられる俺は、大概だ。
「いつ発つん?」
「五日後です」
「五日後かー」
「ふーん、へー、ほーん?」
ジトッとしめで俺を見つめると、一つため息を漏らす。
「あ、もしかしてゾムさん、寂しいんですか?」
「別に?んな訳ないやろアホか」
「はは…そうですよね……」
心の底からそう言っているようで少し悲しくなる。
私がいなくなって寂しがるゾムさん、想像してみると大変可愛らしいと思うが、やはりそんなイメージが湧かない。
だが少しくらい寂しがってくれてもいいのではないかと思う。
「もうちょっと寂しがって欲しかっですけどね、私は」
ゾムさんは目を見開くと、ウロウロと視線を彷徨わせてから、話を誤魔化すように紅茶を飲んだ。
紅茶が丁度無くなってしまったので、入れ直そうと給湯室に向かう。
その時、ゾムさんが何を言っていたのか、どんな表情をしていたのかわからなかった。
「……二日で終わるかな」
* * *
五日後、私はスーツケースとできるだけの武器を仕込んで飛行機を待っていた。
W国軍幹部参謀司令官エーミールということはバレないよう変装までして。
ゆっくりと本を読んでいる時だった。
インカムから着信が来たので出てみると、よく通る声が聞こえてきた。
『エミさん!』
本をパタリと閉じると、誰にも聞かれないようにしてトイレへと足を運ぶ。
余程のことがない限りインカムからは連絡が来るはずがない。
なので何かしら緊急事態なのだろう。
確かなことは、あまり良くない知らせと言うことだけである。
『エミさん、今すぐ戻ってこい』
『グルッペンからの総統命令や』
「ja.」
インカムだけには聞こえるよう小声で呟く。
それから暫くして手洗い場に着くと、個室に入り盗聴器等が付けられていないか、逃走ルートを確保する。
そしてやっと何が起きたのか把握することができた。
「なにがあったんですか?」
『エミが今から出張しにいくβ国がたった今、滅亡したっちゅう報告があった』
「はあ!?嘘でしょ!?」
「β国言うても最新型戦機を開発したところ…戦力的に言えば簡単に崩れるはずがない……」
「なにがあったんや…!?」
「ここ最近β国に戦争する動きはなかった…すると、奇襲…?いやでも……」
『ちょ、エミさんそうやってすぐ考えるとこほんま悪い癖やで……』
「あ、すみません」
『β国の様子がおかしかったから部下を何人か潜入させたんやが、戦争とかで滅んだ訳やはない』
『当然、自然災害とかそういうのでもない』
『でもどこもかしこも戦闘の跡があって、β国の中枢機関が軒並み破壊されてるのは確認できた』
『おそらくやが、ほんの少人数でβ国を滅ぼしたと思われる』
『やが不可解なんが…全部同じやり方で人が殺されとって、切り口までまんま』
『少人数ってことは少なくとも二人はおる』
『やのになんで同じなんか……』
「たしかにそれは疑問ではありますね」
β国は大きく豊かで発展している国。
少なくとも一人では国を滅ぼすことはできないはずだ。
なのに、少人数でβ国を崩したと推測されるが、切り口、殺し方、その全てが全く同じ。
何人かで攻略したというのなら切り口や殺し方は変わってくるはずだ。
同じ人間と言えど、個体が違うので当然考え方も殺し方も、変わってくるはず。
仮に殺し方を首の頸動脈を切ることで揃えて殺したとしても、切り口までは揃えられない。
のに、切り口まで一緒。
ありえない。
ありえない、がその可能性が見えてくる。
「犯人はたった一人でβ国を滅ぼした…?」
『……せやな』
『でもホンマに有り得るんか…?』
『あの国めっちゃデカイから物資も兵も揃っとるやん』
『一人で滅ぼせるほど弱い国してへんで』
「ですよねぇ〜」
「まぁ取り敢えずそっち戻りますね」
「私も話だけやわからんところがあるんで」
『せやな』
『あ、そうそうエミさん』
「はい、なんでしょうか?」
『ゾム知らん?』
「え、ゾムさんですか?」
「三日前くらいから会ってませんけど…」
「ゾムさんになんかあったんですか?」
『それが…暗殺任務に付いてたはずやねんけど、任務に行ったっきり帰って来てへんねん』
『インカムも繋がらんし、GPSも切れてるからどこにおんのかもわからん』
『グルッペンに言うたら”そのうち帰ってくるから大丈夫だ”って言うてたから大体ではあるんやろうけど……』
「今すぐ帰るんで待っといてください!!」
インカムを外し切ると、『あ!ちょまっ』というロボロさんの声が聞こえた。
ゾムさんになにがあったら私は壊れてしまう。
早く迎えに行かなくちゃ。
今ゾムさんがどこにいるのかもわからないのに、ただその一心で基地へと舞い戻った。
──────────────────
g r 視点
血液と火薬の匂いが鼻に居座っては擽っている。
周りには心臓を一突きされ即死している死体が転がっていた。
俺は戦場の跡地を転々と周回していると、不意に慣れた殺気を感じた。
気づいた時にはもう遅い。
気配も音もなく、匂いすらないのでそこにいることが全くわからなかった。
「ゾム」
「Stay」
首に冷たい金属の感触。
背後から首にナイフを突きつけられているせいで首皮が一枚切れ、少しだけ血が滴る。
生暖かくもねっとりとしたその液体は、服に着いて気持ち悪かった。
「私だ」
「…、……?」
「っ……?、、…グルッペン?」
頭を回して声の持ち主を探し、己の総統だと思い出し合っているかどうか確認する。
「そう」
「そのまま深呼吸を三回してからナイフを下ろせ」
ふー、ふー、と獣が狩猟本能を抑えるように息を吐くと、飼い主の言う通り三回深く息をしてからナイフを下ろした。
そして力が抜けたように土の上に腰を下ろし、打ち上げられた人魚のように俺を見上げる。
「大丈夫か?」
「あーあー、今回もまた、えらくやったな」
頭部からは血がダラダラと流れていて、肩は拳銃で撃ち抜かれた跡があり、片腕は折れている。
左の脇腹にはナイフが突き刺さっていて、片耳からは血を流し、鼓膜が破れているみたいだ。
「…おん」
「また、やってしもた」
ゾムは時々、こうやって不安定になる。
大抵はエーミール関連で。
「今回は何があってこんなことをした?」
「えっと、えっとな……?」
視線をウロウロとして子犬が人間を恐れるように怯えていた。
叱られている子供のような、迷子になったこどものような表情で、今回の経緯を口にした。
「エミさんが…この国に出張する言うてたやん……?」
「あぁ、そうだな?」
「そんで…二週間帰ってこおへんって…」
「二週間も俺のエミさんを奪うつもりなんや、って思ったらいてもたってもいられへんくなってもうて…っそん、そんでっ、気付いたら……!」
「…ああ」
この前もエーミールが珍しくパーティーに潜入しターゲットを暗殺する任務でも、たった数時間エーミールが基地にいなかっただけでその後パーティー会場に乗り込み、華やかな会場は一変し、血の海と化していた。
無意識なのか、はたまた意識してなのかはわからないが、その殺人衝動はエーミールがいない時に行われる。
今回の任務はA国の賄賂の証拠を掴む、という内容で、きっちりコイツはその任務をこなしてきたあと、少なくとも数十kmは離れているこの国まで歩き滅ぼしたのだ。
とんでもない化け物である。
コイツは、ゾムは、エーミールがほんの少しでも基地から離れると、エーミールがもう帰ってこないのではないかと不安定になり、エーミールを奪った奪ってはいないが)元凶を殺さないと安心出来ないようになった。
「今回も、エミさんがこの国の戦機とか、技術とかに誑かされて、帰ってこおへんのちゃうか思ってもうて…!」
「に、二週間もエーミールのこと監禁しようとしてんで…?」
「グルッペンの言葉かりたら、ばんっ万死に値する…と、思わへん……?」
「あ、あ、あれ?おれ、何言うてるんや?」
「なぁっ、グルッペン…!」
「俺、おかしい?」
酷く泣きそうな顔でゾムは俺になにかを問いかけようとする。
いつもこうだ。
毎回この疑問を俺にぶつけて、安心しては意識を落として泥のように眠る。
「なんにもおかしくないよ、ゾム」
「お前はエーミールを奪われると思ったから行動しただけ……」
「奪われる前に奪ってやっただけ……」
「だろ?」
「お、おん」
「だから大丈夫だ」
「お前はおかしくない」
「お前はただ、当たり前の、普通の、人間としての営みをしただけだ」
「……そっか」
そう言うと、ふにゃりと安心したように笑ってから、かくん、と意識を落とした。
このゾムの殺人衝動はエーミールと付き合う前からあったが、エーミールと付き合ってから酷くなった。
恐らくは、”恋人”という特別な関係に収まったことにより、今まで堪えていた衝動が爆発して、前以上に酷くなった、というところだろうな。
要するに、ゾムはエーミール限定で、戦闘狂になる、という事だ。
「ん……」
あどけない顔で眠る。
結構な童顔のせいか、子供が眠っているようにしか見えない。
「……」
エーミールも中々に愛が重いが、コイツも中々に愛が思い。
エーミールは自覚しているが、ゾムは自覚していないのが余程にたちが悪い。
「皆、エーミールの方が愛が重いと思っているが……」
ゾムの頬をゆっくりと撫でてから、応急処置を始める。
ひやりとした背筋を凍らせるように冷たい風が通り抜ける。
後ろから蛇が虎視眈々と獲物を狙っているような感覚と錯覚する。
「本当に重いのは……一体、どっちなんだろうな?」
風がナイフで刺すように、誰かの知らない髪を揺らした。
──────────────────
解説
相棒組のようなドロドロを目指していたのに何故こうなった????
まあ気にしても無駄か……
ということで解説ですね!!
序盤にエミさんだけ告られてない、っていう話あったじゃないですか。
あれはですね、ゾムさんがエミさんに告白しようとする者を全員ぶっ殺してるからです。
なぜゾムさんはそこまでするのかと言うと、昔ゾムさんは母親に捨てられているんですねー。
母親から愛されていなかったが故、エミさんに愛されたいという願望が強く出たんでしょう。
ゾムさんは母親から虐待されていたので。
エミさんが告白されれば、もしかしたら自分はまた捨てられてしまう、そうすれば自分は壊れてしまう、そう思ったんでしょうね。
幼少期に出来たトラウマのようなものは克服するのが難しいですからね。
そのトラウマ(殺人衝動)から殺しまくってます。
母親に捨てられてからゾムさんは殺し屋として生きてきたので、殺すことには躊躇いはないです。
四流組の激重愛といえばこうなるかなー、と思って書きました。
多分ですけど、エミさんはゾムさんのこと結構自分に対しては軽め(愛が)だと思ってそう。
だから逆に捨てられるのは自分の方(emが)と思ってそう。
無意識のうちにゾムさんは『あんまりエミさんのこと好きじゃないですよー、ドライですよー』という感じを演じてそう。
自分が重い事がバレてしまったら離れていくと思ってるので。
ですが、実際、ゾムさんがすっげぇ愛が重いと分かればemさんの束縛というか愛の重さというか、そんなのが加速しそう。
ゾムさんはドライそうに見えて実は重いっていうのが一番萌えると思う。(というかそこがゾムさんの魅力だと私は思っている。)
なんとういか、ゾムさんって鈍感そうじゃないっすか。
だから、おそらく無自覚キラー、無意識のうちに愛が重いタイプだね。ありゃ。
emさんは自覚して愛が重いのを出してそう。(表に)
それこそ自分の魅力的だとも思ってそう。
ゾムさんは重いことを隠して隠して隠して通して結局バレちゃうっていうのが一番の魅力になってそう。
無意識だからこそ、自分のやっている行いは正しいのかどうか悩む…そこまゾムさんの魅力な気もする。
という感じで私は四流組のことを解釈しましたね。
そうしたら何故かこんな感じになりました。
はい。リクエストなさった方からすれば想像通りの作品にならなかったかもしれませんが、どうぞお納ください。
ちなみに、『盲愛』の意味は『冷静な判断が出来なくなるほど愛する』という意味です。
解釈は皆様にお任せします。
閲覧ありがとうございました。