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この話は二次創作です。腐向け、nmmn、hnnm等、苦手な方は閲覧しないようお願いします。何かありましたら非公開とさせていただきますので、ご了承下さい。
それはきっと、特別だから
「僕さあ」
朝食後のココアを飲みながら、ちょんまげがぽつりと言った。
「あの頃、ターボーには嫌われてると思ってた」
「ブフォッ!」
思い切りむせた。ゲホゲホと気管に入ったコーヒーをどうにかしようとしている俺を、ちょんまげはキョトンとした目で見ている。お前のせいなんだけど。
大体、お子様舌のお前の為にわざわざココアを作ってやるような俺に、なんつーこと言うんだよ。そう思ったけど、あの頃っていつだ?
「……あの頃って、小学校んとき?」
「そうそう」
合ってた。しかし、嫌ってた覚えはない。どっちかっていうと、カンタローと一緒に世話を焼いてた覚えしかない。あの頃のちょんまげはチビで痩せっぽちで目が大きくて、可愛かった(いや、今も可愛い)。同級生だけど弟みたいな気持ちだったと思う。……多少はパシリ的にも思っていたかもだが。
「なんでそんな事思ったんだよ」
誤解だし、ずっとそう思われていたのは心外だ。口を尖らせてみせれば、ちょんまげは笑って「だって」と言った。
「聞いちゃったんだ、あの時」
「なあなあ、ターボーってキングの事好きか?」
カンタローの声が聞こえた。僕は早くどこかに行こうと思ったけど、つい足は近付いちゃう。
「え? なんだよ、急に」
ターボーはそう言ったけど、すぐに答えは出た。
「好きだけど」
「だよなー」
そりゃそうでしょ。二人は親友なんだから。
「じゃ、貧ちゃんは?」
「んー、面白いから好き」
……もしかして、みんなの事訊くのかな? そうだと思ったら、もう僕の足は動かない。盗み聞きなんて悪いことだけど。
「ニコちゃんは?」
「可愛いから好き」
「ちょんまげは?」
どき。胸がギュッとする。ターボーは「うーん」って唸ってから、答えを出した。
「ちょんまげ、変わってるよなあ」
「ん?」
「変なやつ、って感じ」
「あはは、なんだそれ」
そこまでだった。僕はこっそりと歩き出して、少ししてから駆け出した。
それ以上聞きたくなかったから。僕だけ「好き」が貰えなかったなんて、知りたくなかった。
「……そんな事、あったっけ?」
よく覚えてるな、こいつ。
記憶を探ってみたけど、カンタローとそんな事話した覚えはない。まあでも、言った方は忘れていても言われた方は覚えているのはよくある事だ。
「だから、僕は嫌われてるのかなって」
元々自己評価が低いちょんまげは、きっと後で俺に訊く事も出来なかったんだろう。ちょっとだけ眉を下げた顔を見て、俺はここが誤解を解くチャンスだと考え直す。
「んなわけねえじゃん」
確かに、その時はそんな答えをしたんだろう。でも、それはきっと……
「みんなはすぐに好きって言ったけど、ちょんまげだけはすぐに好きって言えなかったんだろ」
「嫌いだから?」
なんでそうなる。小学高学年の自分自身を思い出せ。思春期に片足突っ込んでなかったか? ……あ、こいつはわりと素直だったな。
「違うって。それは、ちょんまげが『特別』だったからだろ?」
俺が言うと、ちょんまげの手からカップが落ちる。危ねぇっと思ったけど、すでに空になっていたカップはランチョンマットをそれほど汚さなかった。セーフ!
「え、あ」
おーおー、顔が赤いぞ。
「それって……」
「特別好き、でいいじゃん」
正直、あの頃の俺がどう思っていたかは、正確には分からない。ただ、今は間違いなく本心だから。
「ちょんまげ、好き好き〜」
「えー……ちょっと胡散臭いんだけど」
そう言いながらも口元が緩んだちょんまげの顔を見ていると、俺もニヤニヤが止まらなくなる。
「可愛い〜好き好き」
「もー、ターボーっ」
だって、『好き』って言えば、俺のどこか空いていた場所が熱くなっていっぱいになるんだ。だから、俺の『好き』でお前もいっぱいになっちゃえよ。
「そろそろ仕事行かなくていいの?」
そう言ってマグカップを手に立ち上がったちょんまげの手を掴んで、ニヤリと笑う。ちょんまげは困ったように眉を下げたけど、降参のキスをしてくれた。