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太輔と鳩子。
ひと通り話が終わったのだろう。
まぁ、2人が何を話していたかは想像して頂きたいと思う。
それから2人は窓辺に座りお互い外を見つめている。
太輔がふと口を開いた。
「まさか1羽の鳩が夢を見せていたとは思いませんでしたよ。それも鳩一族の方とは。」
鳩一族とは代々陰陽師である阿部家の家柄の性質上、
自然のちからを借りる上で付き合いがある一族のひとつである。
他にも付き合いのある一族は多々あるのだが
ここでは置いておく事にしよう。
人と似たようにお互いを尊重し、お互いに気持ちを持って接する事のできる間柄だ。
「私はまだちからが弱く、
夢を見せるくらいのちからしか御座いません。」
「ですが、あの阿部家の方とはわたくしも思いませんでした。やはり御縁が在るようで御座いますね。」
とその時、
鳩子の姿が普段の鳩の姿に戻ってしまった。
その鳩は1つ会釈をし、夕陽の綺麗な空へ飛んで行ってしまった。
それから数日後、
太輔はいつも通りの朝を迎えていた。
ただ1つ変わった事がある。
それは件の日から鳩子は太輔の所へ遊びに来るようになっていた。
太輔の朝食も変わり、淹れたてのコーヒーとちょっと大きめなパンが置いてある。
鳩子と一緒に食事をする為にだろう。
それは太輔にとって嬉しいものであった。
何も変わり映えのしない毎朝だったが
1羽の鳩のお陰で自分以外の誰かと時間を共有する事が出来るようになったのだ。
そして、今日も1日
「おはよう」
この1言から始まるのであった。