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マンションも瞳と一緒に家具や日用品を揃えていって大学の近くだと言うこともあり二人で一緒に授業がない時は部屋でお昼を食べたり、休みの日は二人で出かけたりただ部屋でゆっくりと過ごすこともあった。あれから何度か体をつなげるごとに愛おしさが増していった。
二人で動画を見ながらまったりとしているうちにどちらかともなく唇を重ねてそのままラグの上に押し倒しシャツの中に手をいれ乳房に手が触れた時突き放された。
だが、拒絶された俺よりも瞳の方がショックを受けている表情をしていて声が出なかった。
「ごめん、大丈夫だからしよ」
違う、そんなことを言わせたいわけじゃない。
無理をしているのが表情からわかる。
「気にしなくていい、そういう気分じゃなければ無理に俺に合わせる必要はないよ」
「大丈夫だから」
必死な姿が一瞬不快な気分になる。
「別にセックスがしたくて付き合ってるわけじゃいない」
つい口走ってしまった言葉に、瞳は目に涙を溜めたまま凍りついたように固まっていた。
どうしたんだ?
「そうよね、別にセックスする相手は他にいるし、私じゃつまらないものね」
「まるで俺が浮気でもしているような言い分だな。俺を信用してないって事だよな」
今までの素行が悪かったのは認めるが、瞳と付き合ってからは一切裏切るようなことはしていない。ついむかついてそう言い放った途端、クッションが顔面を直撃した。
「なっ」にをするんだ・・・と言おうとした時瞳の頬をいく粒もの涙が伝っているの見てようやく何かあったことに気がついた。
何でもっと早く気づいてやれなかった。
「小田原城のマオさん、まだ繋がってるんでしょ。凌太が喜ぶ事とか私は何も知らないもんね。私としなくても上手な人がたくさんいるんでしょ」
「私には無理だから」と言ってバッグを持つと玄関に向かう瞳を追いかけた。
ここで帰してしまったら、もう二度と瞳といられなくなるんじゃないかと不安と恐怖にさいなまれる。
部屋を出る前に捕まえて抱きしめると腕の中で暴れている。
それでも、離すわけにはいかない。
「離して」「この色情魔」「ゲス」「最低男」「気持ち悪い」と、そう言われても仕方のない言葉をつき次と受け続けるうちにようやく落ち着いてきた瞳をもう一度リビングに連れていくと泣き止むまで抱きしめた。
あの時、目の前でブロックしたマオの話を蒸し返す意味がわからなかった。
やな予感がした。
「何があった?」
「以前の俺は確かに瞳が言うような人間だったことは認める、だけど今は、大切なひとがいる今は誓ってやましいことは無い、もしかしてマオが瞳に何か言った?」
腕の中で身体がぴくりとなる。
やはり
「実は先日、実家に彼女が行ったそうだ。フミさんが知らせれてくれた。フミさん覚えてる?」
頷いているのがわかる。
「以前、大学で待ち伏せもしていたことを先輩から聞いたんだ」
「彼女が瞳に接触したということ?」
頷いた。
俺のせいだ。
無視をすればいいと放置した俺のせいだ。
絶対に手放したりしないという気持ちを込めてしっかりと瞳を抱きしめた。
「彼女に会って話をしてくる」
腕の中で瞳の身体がピクっと動いた。
「二人きりになるようなところでは会わないよ。彼女の勤めている病院へ行ってこようと思う。俺を信じてほしい」
適当な事をしてきたツケが瞳を巻き込んでしまうとは思ってなかった。
あれほど鈴木里子に言われていたのに。
頷く瞳を抱きしめながら今までの自分に腹が立った。