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コメント
1件
まじ面白いです!いつも楽しみにしてます!
若井サイド
次の日、俺は先に楽屋に入ってしまった涼ちゃんに話しかける。
「涼ちゃん、今いい?」
二人ででるバライティの番組の収録が終わったら、涼ちゃんに話したいことがあった。
白い帽子にカジュアルな服装。
そんな格好に身を包んだ涼ちゃんはこっちを向いた。
「若井、どうしたの?」
「今日、…予定ある?」
涼ちゃんは携帯をおいて俺を見る。
「ないけど。なに?」
「一緒に帰らない?」
涼ちゃんは俺を見て嬉しそうに破顔した。
そしてそのまま俺に近づいてくる。
その姿が昨日の元貴の姿と重なった。
「いいよ、じゃ、待っててね!」
「うん、待ってる」
涼ちゃんは俺の返事に「ありがと、」と呟いて座っていた場所に戻っていく。
その背中に問いかけた。
ねぇ涼ちゃん。好きな人できたの?
その問いかけを俺は口に出せなかった。
「若井、今日はどうしたの」
涼ちゃんがこっちを向く。
俺はおずおずと口を開いた。
「…涼ちゃん、もしかして…さ、好きな人…できた…?」
勇気を持って出した声はみっともなく掠れていた。
いつのまにか頬に伝う涙。
拭う気力もなくただ黙って涼ちゃんを見つめる。
涼ちゃんはびっくりするほど無表情だ。
形のいい唇が動く。
「違うけど」
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