※1話からガッツリ繋がってます
※今回🟦一切出てきません
※つぼ浦匠に夢を見ている
それからは大騒ぎで病院に駆け込んだ
犬ルリ以外、誰も気づかなかったとはいえオメガのフェロモン
アルファがもしオメガの発情期に反応してしまえば一大事だ
皆が疑問を抱きながらも、納得がいかず騒ぐつぼ浦を救急隊に引渡し検査の結果を待った
結果は犬ルリの嗅覚が正しかった
オメガにしてはかなり発情期が軽めではあるが正真正銘のオメガだった
破天荒を擬人化したようなつぼ浦匠がオメガだったという事実にも驚きだが、何より衝撃的だったのが今の今までつぼ浦は自分の性は疎か、オメガやアルファ、ベータといったバース性の存在を知らなかったことだ
「今まで生きてきてバース性を知らずに過ごすことって実際可能なのか?」
「いや、無理だろ。どんな国でも10代で1回はバース性の検査はするしオメガだったら特に病院の受診とか、福祉支援とか色々あるだろうし」
「つぼ浦スラム育ちとかだっけ?過去からトリップして来たとか」
「いや、確か普通に現代の日本生まれのはず」
「日本だったら尚更授業の一環とかでも習うだろうし、どの道避けては通れないだろ」
救急隊の上官達でなぜつぼ浦が現状こうなっているのか話し合うが、一向に答えは出ず
本人に聞いてみるしかないと質問すると、答えはあっさりと返ってきた
「あー、そういえばなんか学校であったな、うんたらかんたら検査。検査結果?なんか色々書いてあってよくわからんかったから捨てた」
「バース性の授業?よく分からんが授業は基本寝てた」
義務教育の敗北だった
バース性とは、人間誰しも3つの性のどれかに当てはまり生きている限り大なり小なり人生に影響を与える
それを持ってしてもつぼ浦匠には敵わないらしい
今まで何事もなく無事生きてこれたのが不思議なくらいだ
そしてここで問題が一つ発生した
それは如何につぼ浦にバース性の基本知識とオメガとして生きる上での注意点を伝えるかどうかだ
つぼ浦は自分の興味がないこと、自分の不利益になること、面倒くさい事柄に関しては途端に物覚えが悪くなる
特に生々しさがあったり恋愛食の強い事柄にはめっぽう弱いつぼ浦に、オメガの発情期や番について教えるのは至難の業だ
そこで救急隊が打った手は、なるべく基本や最低限の注意事項を伝えることだった
選出は根気強く優しい雰囲気を持つましろ先生と、つぼ浦もお世話になりすぎてなかなか強気に出れないももみ先生
「小学生でも分かる!伝わる!」と書かれたバース性の資料を手に持ち3人が入っていった小部屋は、それから時計の針がいくら進めどなかなか開くことは無かった
2時間ほどが経過した頃ようやく出てきたのは変わらずの様子のつぼ浦とヘロヘロにやつれた2人のお医者さんだった
他の救急隊のメンバーに称えられる2人を他所に理解出来たか?と聞かれたつぼ浦は
「あぁ、よく分かったぜ。この貰った錠剤を飲めば微熱が治る」
と応えた。
「と、言うことで本来バース性に関して本人以外の口から伝達することは良くないことだが、今回はこういった経緯があるため署のみんなにも伝達させてもらった」
本署の会議室
そこに会議さながら署員たちが集められ、署長から伝えられたのが今先程の出来事だった
結果から言うとつぼ浦は全く理解ができなかった
アルファやベータ、オメガのそれぞれの特徴はおろか、発情期や男性もオメガであれば妊娠できる…なんてことは以ての外
その為、ましろとももみは苦肉の策として
1、つぼ浦匠はオメガと言われるもので、アルファと言われる存在とは相性が悪いから注意を払うこと
2、いつもの微熱が来たら必ず病院で処方された薬を医者に言われた通りに飲むこと
3、それでも良くならない時は必ず病院に来ること
この3点を何度も念入りに約束させた
どこまで理解したかは分からないが、抑制剤を飲めば良くなる事はわかったようで、話が終わるとバットを持った手を回しながらご機嫌でパトロールへ出かけた
だが、このままの理解度だと万が一の時が危ない
この犯罪が日常のように起こるロスサントスでは、もちろんギャングにもアルファはいる
ボスや上の役職のものは特にアルファ率が高い
いくら、今まで気づかないくらいのうっすらとしたオメガ性でも危険なことには変わりない
そこでつぼ浦をキャップに連れ出してもらって、その間に署員を会議室に集めて全体共有をしているのだった
「本人がよく分かっていない以上、自分から荒事に首を突っ込む可能性がある。なのでみんなにもできるだけつぼつぼの行動に注意しておいて欲しい。特にダウン通知とか長時間本署で見かけない時とかだな」
署長はかなりつぼ浦のことを心配しているようで、念入りに署員に注意事項を伝えた
署員も破天荒ながらも署全体を明るく照らすつぼ浦の存在が陰ってしまう可能性に不安を覚えながら、各々真剣にその話を聞いていた
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