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布団から上半身あげて声にならない叫びをあげつつ目を覚ました俺は部屋を見渡し時計が目に入り起きた時刻を確認した.(三時四二分.)気づく,と息が荒くて心臓の鼓動が速く体を震わせさっきほどの夢を思い出し,掌を握りしめた時に爪が食い込み痛さが“現実だ”と言うのが突きつけられ苛立ちが込み上げ(…分かってる‥分かってるよ.そんな事っ!!夢でもいい,現実じゃなくてもいいっ!!只,真呼にっ!!真呼に会いたいんだっ!!)歯痒い虚しさが込み上げ段々と真呼を失望した悲しみよりも助けられなかった悔しさが込み上げ襖を開けつつ廊下を走り階段に降りサンダルを履いて玄関の扉を開けて家を出た.俺の後を追いかけてくるのが,誰なのか分かっている.から,ツーブロック先で曲がり暫く出方を見よう.と,待っていたら,「こんなメッザテッノ〔夜中〕にどこへ行くだ?」ブロックの陰から話しかけてきたのは,青いパーカーの袖を腕捲りしている次男のカラ松だった.「はぁーっ…別に‥手前には関係ないだろ?カラ松.」呆れた溜息を吐いた後,カラ松に視線を向けつつ冷たく言い放った.「そんな冷たい事を言うなよ.一松,お前の事が心配なんだ.」心配した顔の次男を暫く見ていたら段々苛立ちが込み上げ舌打ちをした.「俺が,今からどこで,何して居ようが‥カラ松には関係ねぇ」言葉を強調して言った後ブロックの壁を曲がったら,「ま,待ってくれっ‼」後を追いかけ手首を掴まれて視線だけ後ろへと向けた「え,あ‥す,すまない.けど‥俺の話を聞いてくれ.あの日,お前に起こった事はおそ松から聞いて知っている.が‥けど,最近また毎晩,誰かと喧嘩して‥このままじゃ前みたいに虚ろな目をしたお前を…そんなの‥‥そんなの,放っておける訳ないだろっ!!なぁ,一松‥もう遅いかもしれない.話ならいくらでも聞いてやる.だからこんな傷付く方法じゃなくて‥」言いかけている最中に言い過ぎたと気付き,慌てて謝った.が,振り払った「お前に…お前に‥俺の何が分かる?‥あいつの,真呼の親友なのに手も足も出せずただ,ただ,見てるしかなかった‥助けられなかった俺の気持ちが‥」目尻に涙を溜め悲痛な表情を浮かべ言う弟を見てはいられなくて「一松っ‼」俺を呼んだ声に驚き思わず先の言葉を言うのを止めてカラ松の方を見ると真剣な目と視線が合った「‥確かに,俺にはお前のような経験はない.けど,話を聞いて怒りや悲しみを分け合い,気持ちが楽にできるかもしれない.だから‥だから,俺にお前の辛い気持ちを背負わせてくれ俺達兄弟だろ?」両肩を掴み“もうこれ以上苦しく辛い思いを弟にさせたくない”と言う思いを必死に訴えた.が,「うるせぇ‥‥うるせぇつってんだよ…大体,カラ松,俺とお前はなぁ‥赤の他人で血なんか‥」言いかけている最中に怒った表情のカラ松に叩かれ驚き目を見開いた.が,暫くし怒りに体を震わせていた弟を見て我に還ったカラ松は怒鳴ってしまった事に気づき謝ろうとした.が,「‥お前の,その…中途半端な兄貴面するトコが昔から大っ嫌いなんだよ.」言った後,手を離してその場から立ち去った.弟の背中へと呼び止めようと手を伸ばした.が,声をかけづらく「‥カーヴォロッ‼〔くそ〕俺は‥俺は只…只,お前の力になりたかっただけなんだ…一松‥情けない兄を許してくれ…許してくれ.」涙を流し呟いている次男を一つ先のブロックに寄り掛かって腕を組み様子を伺う赤と黄色と黒の三つの陰が.