テラーノベル
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チェンソーマン,アキデン
転生パロ,ネタバレ有
[デンジside]
時計の長針が真上を指す午前0時、まだ16歳のデンジは腹を空かせて空を眺めていた。真っ暗な夜空に三日月が綺麗に輝いている。
「……アキ。」
ぽろっとデンジの口から出たその名前は前世での彼の恋人の名だった。
早川アキ。最初は、ただ世話を焼いてくれる良い奴、としか思ってなかった。でも、知らないうちにデンジはアキの甘さに気づいていってしまった。ふとした時に見せる淡い笑顔。頑張ったら「偉いな、デンジ」と褒めてくれたあの優しい声。デンジはいつの間にか恋に落ちていた。マキマやレゼに向ける“好き“ではない、特別な“好き“をアキに向けるようになっていた。
デンジが本格的にアキが好きだと気づき始めた頃、デンジはアキを避けるようになった。人とあまり関わったことの無いデンジは“好き“という感情を前に、対処の仕方が分からなかったのだ。だから、アキを目の前にしてすぐ去っていくようになった。それを不審に思ったのだろう。ある日、アキは去ろうとするデンジの腕を掴んだのだ。
「…なぁ、最近俺の事避けてるだろ。お前。」
アキの顔がデンジに近づいてくる。急な出来事にデンジは顔を真っ赤に染めた。心臓の鼓動が早いのが意識しなくても分かる。
「っ、…別にいいじゃねェか…俺の勝手だろ…。」
やっとの思いでデンジは口を開けた。アキの目を見ることが出来ない。ポチタが爆発してしまう。
「……俺が良くねぇんだよ」
アキがそう、ボソッと言った。デンジはそれを聴き逃さなかった。魂が抜けたような表情をしてアキの目を見詰めた。アキの表情は「やってしまった。」なんて思ってそうな表情をしていた。
「それ、って…」
どういう…とデンジが口を再度開いた。するとアキは焦ったように、お前が俺を避ける理由を言わないなら俺はもう何も喋らない、と拗ねたように吐き捨ててそっぽを向いた。
「…好きだから…」
デンジがそう、呟いた。
「アキのこと、好きだから、…俺、なんか、むずってして…そんで、さぁ…恥ずく、なってよォ…」
デンジの顔は更に赤くなっていっていた。冷や汗ダバダバで目をグルグルにして。耳まで真っ赤になっていた。
「っ…なんてな、!!…キモイよな…男がこんなのよォ…。」
その瞬間、唇と唇が重なった。アキの唇と、デンジの唇だ。その次の瞬間にはデンジの口の中にアキの舌が侵入してきたのだ。
今どういう状況なのかも理解できないデンジはアキに身体を任せた。どんどん力が抜けていって、次第にはアキにもたれかかってしまう。そんなデンジをアキは抱き締める。
しばらくした後、アキはやっと口を離した。
「デンジ…大丈夫か?」
「ァっ、アキィ…?」
デンジは呼吸を整えながらそう呟いてアキを見つめる。そんなデンジの頬を撫でてアキは頬を緩める。
「ふふ、可愛いな、デンジ…。」
デンジの中で、時が止まった。アキに、可愛いと言われた…?状況に脳が追いつかない。デンジの脳はまさにパニック状態だ。
「…デンジ。急だが、伝えたいことがあるんだ。聞いてくれるか…?、」
「ぇ、あ…お、ゥ…?」
わけも分からないまま頷くデンジ。そんなデンジの唇に今度は軽く唇が触れた。
「俺もデンジが好きだ。」
─────付き合ってくれ。
デンジの中でもう一度時が止まった。そして、次の瞬間にデンジの涙が頬を伝った。アキに、告白された?…しかも、両思いだった?そんなことあっていいのか?デンジの頭はごちゃごちゃになっていた。
「デンジ…?!なん、っ…で泣いて…」
「っ…嬉し、くて…なんか、水が出てちまう…。」
「俺、アキと恋人、になってもいいのォ…?」
と、涙をボロボロ流しながら言うデンジ。そんなデンジの涙をアキは微笑んで指で拭ってやる。
「俺がなりたいんだ。デンジと恋人に。」
そう呟いて、アキはデンジの肩に顔を埋めた。ちらっと見ると、耳が少し赤くなっているのが分かる。
「…返事は、どうなんだよ。」
「っ…ワン!!」
デンジはアキをギュッと抱きしめてそういう。返事はもちろんYESしか無かったのだ。だってアキは、デンジの特別なのだから。
「…不安になるから、俺をもう避けたり、遠ざけたりすんじゃねぇぞ、ばかデンジ」
「おう、約束するぜ、マイダーリン」
この約束が、前世での最初で最後の約束だった。
────アキが死んだ。
デンジが、この手でトドメを刺した。正確には銃の魔人を倒したのだけれど。アキは、デンジに会う前からもう死んだ。恋人のデンジに会う前に。なのに、デンジは自分がアキを終わらせてしまったのだと信じて病まない。もうこんなに人を好きになることは無いだろな、とデンジは確信した。自分の特別はずっと、アキだけなのだ。
ああ、またあの暖かい肌に触れたい。また、あの優しい声を聞きたい。その声で「デンジ」と名を呼んで欲しい。
そんな後悔を残したまま、デンジは転生した。悪魔のいない平和な世界に。不死身な身体なのに、何故か死んだ。きっと神様が一度だけチャンスをくれたのだろう。
デンジは真っ先にアキを探した。自分も転生したならアキも転生してるのではないか。ずっと、探した。ただアキがこの世に存在している事だけを願って、探した。
デンジは、今世も裕福では無かった。ギャンブル漬けの父に、そんな父に自分を置いて逃げた母。今回はポチタも居なかった。でも辛いなんて思わなかった。アキが生きているのかもしれないのだから。ただそれだけでデンジは心が暖かくなった。
お金を使ってデンジはアキを探せる事が出来なかったので、アキを見つけるのは相当困難だった。スマホを買うお金も、探偵を雇うお金も無い。アキの情報なんて一つも見つからなかった。
そして冒頭に戻る。デンジはただ、アキが恋しかった。もう何十年も彼に触れてないし、目にしてない。おかしくなりそうだった。
「…腹、減ったなァ、ポチタ。」
もう存在しない愛犬の名を呼ぶ。デンジは食べ物を求めて都会へ足を進めた。
都会はやっぱり都会だった。そこら中で電灯が照り輝いていて、ビルがある。家電のテレビだろうか、それすらも外に貼ってあり色々なモデルのCMが流れている。そんなCMから、聞き覚えのある名前が聞こえてきた。
────早川アキがレビューする新作のお菓子!!今ならなんと__円!!
デンジは咄嗟にテレビの方を向いた。そこに映っていたのは、紛れもない──早川アキだった。
「…ァ、キ…?」
アキは、今世では売れっ子の俳優になっていたのだった。涙が、デンジの頬を伝った。今世で初めて流した涙だった。デンジは道端にうずくまって顔をぐしゃぐしゃにして泣いた。アキが生きていた事に対する嬉しさでいっぱいっぱいだったのだ。
デンジはすぐ行動することにした。そこら辺の人に早川アキの事務所や特徴を聞いた。親切な人もいればゴミを見るような目で見てくる輩もいた。でも、そんなのはもう慣れたし、そんなのはどうでもいいくらいにアキしか眼中に無かった。
アキ。優しいアキ。世話焼きで暖かいアキ。意外と涙脆いアキ。口付けをする時は毎回そっと頬を撫でてからしてくるアキ。
早川アキ。
ああ、今すぐにその優しい瞳に触れたい。手を伸ばしたい。
デンジはアキの居る事務所へ走った。運動もしてないし、肉付きも悪い身体なので直ぐに息が途切れる。
暫くするとここら辺では1番建物_アキが所属する事務所にたどり着いた。
「…こ、っここが…アキの…」
その建物を前にして、デンジは急にとてつもない不安に襲われた。地面に溜まっている水溜まり。それに映る自分の姿はあまりにも醜かった。こんな俺をアキは受け入れてくれるのだろうか。──そもそも、俺を覚えていてくれているのか。そんな不安を抱えて、デンジはその建物の中に足を踏み込めずにいた。その場にうずくまって、頭を抱えた。
しばらく狼狽えて居ると、後ろから方をトントン、と叩かれた。なんだ、と思ってデンジは後ろを振り向いた。
「おい、お前。ここで立ち止まるな。邪魔になる。」
ただの、注意だった。ただ邪魔だと、注意されただけだった。なのに、デンジはまた涙を流した。綺麗なサラサラとした黒髪に、整った顔には見合わないちょんまげの1つ括り。透き通った紺色の眼。
デンジに注意をしてきたのは、生まれ変わったアキだったのだ。
アキの顔は困った表情をしていた。そりゃ、男がこんなにギャン泣きしてるのだ。困るだろう。でも、困惑するアキの顔も、愛おしいな、なんてデンジは思ってしまう。でも、デンジは察した。
─────ああ、アキ。前世の記憶ねぇんだ。
「…あ、はは…さーせん、!笑」
「俺、アキさんのファンでェ、笑」
「会った感動でちょっと泣いちゃった、みたいな。笑」
デンジは必死に笑顔を作った。溢れてくる涙とは合わない笑顔を必死に作った。
「…そうか、俺のファンなんだな、ありがとう。」
そう言ってアキはデンジの手を握った。きっと、ファンサなのだろう。惨めな見た目をしたデンジへのせめてもの行為だ。
「っ、…」
デンジはまた涙が溢れそうになった。ああ、ずっとこうしていたい。アキに触れていたい。でも、少しだけでもこうしてたらアキにもっと執着してしまう。それだけは避けたい。
アキには、アキの人生を新しく歩んで欲しい。可愛らしい女の人と人生を共にして欲しい。
「…じゃ、じゃあ…!俺はこれで…!!」
そう言って去ろうとした。すると──
「…デンジ?」
「……先生?!!」
前世、俺とパワーをコテンパンにする程の力を持ち、マキマの支配からも逃れていた、自称最強のデビルハンターを名乗っていた━━岸辺が目の前に現れたのだ。
「…そうか、お前は記憶があるんだな。」
「岸辺さん…?、知り合いですか?」
「まぁ、そんなとこだ。」
デンジ、ちょっと来い。そう言われてデンジは岸辺について行った。どうやら岸辺は前世の記憶があるみたいだ。
しばらく歩いて、雰囲気がオシャレなカフェにデンジは連れてかれた。
「…デンジ、飯は?」
「…飯?」
「もう何日も食ってないだろ、好きなもん頼め。」
「っ、ワン!!」
デンジはオムライスとパンケーキを頼んだ。どちらも前世でアキがたらふく食べさせてくれたものだ。
「…お前、今住んでる場所は?」
「んー、わかんねェ。いっつも適当な場所に居座ってるからよォ」
「そうか…」
「なら、お前に提案がある」
「おー?」
────俺の事務所に入らないか?
「…えェ?!」
「どうせ、お前アキが目的で今さっきあそこまで来たんだろ。」
「俺の事務所にはアキも居る。俺がデビューさせた。」
…まあ前の記憶はないんだけどな。なんて呟く岸辺にデンジはまた心が傷んだ。
俺が事務所に入る…?こんなに、痩せ細っていて、上品のじょの字もない俺が、?
「…まぁ、詳しい話は飯を食い終わってからしよう。」
久しぶりの暖かいご飯は美味しかった。卵だって、腐ってなくて、パンケーキにカビなんてものも生えてなかったし。まあアキのオムライスとパンケーキにはかないっこないのだけれど。
「美味かった、ありがとうなァ、せんせー。」
「嗚呼、構わない。」
久々に人と話すのは慣れない。感謝だってしたけれど、今でも足では貧乏ゆすりが止まらない。机の下ではずっと手を動かしているし、落ち着いていない。まだアキに会えた事への喜びも残っている。
そんな中、デンジは口を開いた。久々の飯を食べている間に考えきった事だ。
「…俺、せんせーの事務所入るぜ。」
「…そうか、分かった。」
──ならアキと同じ部署に…
「…いや、俺とアキは離れさして欲しィんだけどさァ」
「…ほぉ、何故…?」
そんなの、理由はもう決まっていた。アキの幸せを願っているから。そして、怖いから。前世の記憶を取り戻して欲しくないのだ。アキに。あんな残酷な記憶、もう忘れてた方がいいとデンジは思うのだ。
「…まぁ、それは秘密ってやつだなァ」
「俺は衣食住を整えてェんだ。」
「…そうか。分かった。お前の意見を尊重しよう。」
「明日からお前の住む場所と金を渡す。金は出世払いでいい。」
「あーいよ」
「…デンジ。お前はそれでいいんだな。」
その言葉が、デンジの胸に深く突き刺さった。デンジの心は揺れた。このまま、アキから離れていいのか。アキの事を、一目も見ずに、人生を終えるのか。アキが自分以外の唇を奪うのか。
そう考えるとずっと胸が苦しくなかった。
「…今なら、まだ今さっきのAnswerを無かったことにしてやる。」
どうする。そう問いかけた岸辺をデンジは見つめる。
───どうせなら、アキの人生の片隅に居てぇなァ。
「…せんせ、」
「やっぱり、俺んこと…アキと同じ部署にしてくんねェ、ですか」
そんなデンジのお願いに岸辺は少し口角を上げてこう答える。
「元からそのつもりだ。」
[アキside]
まだ16歳の冬、ある男がアキを尋ねてきた。その男の名は岸辺というらしい。遠い昔からアキの存在を知っていて、遥々東京から北海道に会いに来たんだとか。
そこでアキは岸辺に俳優としてスカウトされた。「何故?」とアキが問いかけると「いつか教えてやる。」と答えられて教えてくれなかった。
アキはあっさりOKした。両親だってどうせ弟のタイヨウばかり可愛がってるし、もうなんでも良かった。なんなら、自分を選んでくれて嬉しい、なんて思ったほどだった。そのくらい、アキは愛に飢えていたのだ。心にぽっかり穴が空いていた。
アキが俳優になってから3年くらいがたった。アキは整った顔をしていたので、あっという間に人気のモデルになった。色々なCMにも出ているし、ドラマの主演の仕事だって受けていた。
そんな人気なアキは仕事が毎日毎日、山のようにあった。飯だって急いで食べなければエネルギー補給出来ない。でも、アキは何も感じなかった。
アキはまだ愛に飢えてたのだ。SNSに「アキまじ恋♡」など、そういったものはよく見かける。でも、どこか埋まらない。心にずっとぽっかり穴は開いたままだ。
そんな日々を送っていたある日、アキは忘れ物を取りに事務所の本部へ向かっていた。すると、事務所の前で細々とした金髪の傷んだ髪の男がうずくまっていたのだ。
この寒い季節には合わない生地の薄いTシャツを着たその男は泣いていた。小さく小さく泣いていた。格好には合わない綺麗な涙だった。
いつものアキなら、事務所の本部に連絡して警備員に任せるのだが、何故だろうか。脳で考えるよりも口と身体が動いてしまったのだ。
「おい、お前。ここで立ち止まるな。邪魔になる。」
いつもより、強い口調だった。——いや、違う。自分の本当の口調を出していた。いつもは、ファンやテレビに向けて優しく、甘い声で喋っていた。今のアキは完全に、心の底に居た本当のアキだったのだ。
金髪の男は、もっと泣いた。ぐしゃぐしゃな顔で泣いていた。必死に自分の手で涙を吹いて、目を赤くして泣いていた。
「」
懐かしい感じがした。でも何故懐かしいのかも分からない。こんな男、見たこともないのに。
でも、ギザギザとした歯、赤い瞳の瞳孔、痩せた身体、全てどこかで見たことあるような気がした。
──そして、どこか、愛おしく感じた。
何故か、心の穴が少しだけ埋まったような気がしたのだ。
「…あ、はは…さーせん、!笑」
「俺、アキさんのファンでェ、笑」
「会った感動でちょっと泣いちゃった、みたいな。笑」
男はベラベラと喋り始めた。涙を流す顔には見合わない笑顔を作って。
何故だろう、こんなに心が苦しくなるのは。こんな会ったこともない男を前にして、胸が苦しくなるのは何故だろう。
「…そうか、俺のファンなんだな、ありがとう。」
いつもなら、アキはこんなことをファンに言わない。仕事は仕事、プライベートはプライベートで分ける派なのだ。これは完全にプライベート。
プライベートなのに、なんでこんな対応をしてしまうのだろう。
アキは、デンジの手をぎゅっと握った。冷たい手だった。
男は悲しい顔をしていた。どこか寂しそうな、どこか儚い顔をしていた。
暫く手を握っていると急に男はハッとして、急ぐように口を開いた。
「…じゃ、じゃあ…!俺はこれで…!!」
アキの手を離して去ろうとするのだ。暖かくしてあげた手が、また冷たくなってしまうのだとアキは考えると辛くなった。そして、またぽっかり心に穴が空いたような気分になった。
でも、別にあの男とアキは特別な関係でもない。ファンと、俳優。掛け離れた存在だ。
——疲れていたんだ、きっと。
そう思い込むことにしてアキは事務所に入ろうとした。
すると少し後ろから聞き覚え低い声—岸辺の声が聞こえた。
「…デンジ?」
岸辺は「デンジ」とあの男を呼んだ。
デンジ…?あの男の名前か?てか、何故岸辺さんはあの男の名前を知っているんだ?
そんな疑問がアキの頭を過ぎる。
「……先生?!!」
男は、岸辺さんを先生と呼んだ。
「…そうか、お前は記憶があるんだな。」
そう、岸辺は小さく呟いた。あの無の表情を持つ岸辺がにんわりと少し口角を上げたのが分かった。
「岸辺さん…?、知り合いですか?」
「まぁ、そんなとこだ。」
アキの質問に、岸辺はあっさりと答える。その後に直ぐに岸辺は「デンジ、ちょっと来い。」と言って男をどこかへ連れていった。
デンジ。
何故だろう。その名前は、今さっき知ったはずなのに、どこか懐かしくて愛おしい感じがする。
「…あぁ、そうだ…忘れ物。」
アキはごちゃごちゃと考えながらも事務所へ向かって行った。
[デンジside]
デンジは俳優とデビューして数ヶ月が経った頃だった。元々、肉付きは悪かったデンジだが、悪くない容姿をしていた為モデルの開始はそう難しくは無かった。なんなら、デンジのギザギザとした歯、痩せた身体、垢の瞳の瞳孔、オラオラとしてチャラい性格。そんなチャームポイントに惹かれる人も結構いた。
デンジはいつの間にか人気な俳優になっていた。アキには衰えるが、ガチ恋勢だって居たし、デンジを心の底から応援する輩だって居た。
でも、デンジの頭の中はずっとアキだった。寂しい時は前世のアキを思い出してどうしようも無い寂しさを埋めていた。
ある日の事だった。デンジはあるドラマの主演を務めることになったのだ。初のドラマ主演にデンジは少しドキドキしていた。来週から早速ドラマの撮影が始まるらしい。デンジは高鳴る鼓動を前に今日もポチタ似のぬいぐるみを撫でた。
「ポチタァ、俺は今世も前に比べればいい生活してるぜェ。」
「美味い飯も食えるし、可愛い女も湧いて俺に近づいてくるんだ」
「…でもなァ、どこか、空っぽなんだよなァ。」
デンジの目から一筋の涙が垂れた。
「…やっぱり、俺…アキが好きだ……」
そんな言葉を残してデンジは眠りについた。
その日から1週間が経った。デンジは撮影の集合時間の2時間前に起きて、パンをトースターで焼いて、お気に入りのジャムを付けて食べた。この味はアキがくれたものだ。まだお金のないデンジの為にアキが用意してくれたジャムの味だった。デンジはまた涙が出そうになった。
1時間半後、デンジは家を出た。自分でそれなりに有名な事は知っていたので少し帽子を深く被って外を歩いた。
やっぱりここは都会だなァ、なんて思って外を見渡す。
呑気に撮影場所へ向かっていると、突然肩をトントン、と叩かれた。あぁ、ファンか…もうちょっとバレないように準備すりゃ良かったなァ、なんて考えながらデンジは後ろを振り向く。するとそこにいたのは──
「…レ、ゼ…?」
前世で、デンジを殺そうとして、デンジを恋に落とした少女──レゼが立っていた。
「…デンジ君も転生してたんだね。笑」
それからデンジとレゼは沢山話した。どうやら、レゼも女優をやっているらしい。しかも、奇跡的に同じドラマに出演するらしい。今ちょうど撮影場所へ向かっていたらしい。
「レゼはさ、今回のドラマ何の役すんの?」
「私はヒロインだよ♪」
「おー…俺は主演?ッてヤツだぜ」
「え、すごいじゃん!!運命みたい笑」
そうあははと笑いながら言うレゼ。やっぱり、可愛いな。デンジは心の底からそう思った。でも、やっぱりデンジの心は埋まらない。レゼもデンジは好きだけれど、1番はやっぱりアキなのだ。そしてデンジの特別はアキしかいない。
デンジとレゼの会話は尽きなかった。前世の話も、今世の話でも沢山盛り上がった。デンジは久しぶりに楽しいな、と感じた。
───ネットで熱愛報道が出ていることも知らずに。
[アキside]
アキは忘れ物を回収して事務所を出た。アキはまだあの男─デンジの事が頭から離れなかった。どうしても、あの泣き顔を思い出してしまうのだ。
何故、あんなに泣くのだろう。どうして、俺はアイツを懐かしいと感じてしまうのだろう。会ったのは今日が初めてのはずなのに。
そんな事を考えながらアキは事務所の近くのコンビニへ足を進めた。ごちゃごちゃする頭を、ニコチンの力で解決するために。
「いらっしゃいませー」
気だるけに挨拶をする店員の声が聞こえるのと同時に店内入店音が愉快に鳴る。アキは真っ先にレジへ向かい、いつもの煙草の番号を行った。
「__番お願いします。」
そこからはなんとも言えない気まずい時間。うす、と小さい声でまた気だるけな返事をする店員。黙って煙草を慣れた手つきで探してくれている。いつもなら気まずさでアキはスマホをいじってしまうのだが、今日は違った。そんな気まずさに押し勝つくらいデンジの事で頭がいっぱいだった。
─健康的な飯はちゃんと食えてるのだろうか。両親はいるのだろうか。教育はちゃんと受けれているのか。
そんなおせっかいばかり頭に浮かんできてしまう。ほっとけない─そんな感覚がする。
「──すみません!!」
「っ、ぁ…はい、?」
突然、店員が大きい声を出した。どうやら何回も声を掛けていてくれていたそうだ。
「すみません…少し考え事をしていて…」
「…はい、そっすか、」
じゃあこれ、そういって店員はアキに煙草を差し出す。なんともいえない申し訳なさにアキは軽く「すみません…」と軽くもう一度言ってから煙草を受け取る。
「ありがとうございましたー」
アキは店を出て、自宅のマンションへ向かった。一人で住むには広すぎる自分の家へ。
ウィーン。
自動ドアが人体を感知して動き出す。アキは自分の部屋のある階へ足を進めた。いつもならエレベーターを使うアキは今日は階段を使って部屋へ向かった。アキの部屋があるのは801号室_8階だ。階段で上がるには少し疲れる距離だ。アキは、自分でも何故階段を選んだのか分からない。
ズキッ。
8階に辿り着いた時だった。突然アキの頭が痛んだのだ。
───痛い。苦しい。
アキは頭を抱えた。今までで1番痛い、とまでは行かないが、今までで感じたことの無い痛みだったのでアキはどうすればいいか分からなかった。とりあえず部屋に入ろうと壁に体重をかけながら歩いた。幸運な事にアキの部屋は8階の1番手前にあったので直ぐにドアの前に経つことはできた。
問題はドアを開けることだった。壁によりかかっている今の状態ではドアを開けることは難しい。アキはなんとなか壁から体を離して、ドアノブに手を掛けようとした。
次の瞬間だった。電流のように身体がビリッとしたのだ。アキは崩れ落ちた。地面に頭を付けて汗を垂らした。
なんなんだ、急に。なんで急にこんな災難が降り注いで来るんだ。頭が混乱する。てか、体の感触がない。
「ッ、…なんなんだよ……」
そう言った瞬間だった。
「───今日の飯、何ィ?アキ。」
あの男_デンジの声が聞こえたのだ。
アキは辺りを見渡す。どこにもデンジはいなかった。
なんで、なんでじゃあ聞こえるんだ。アイツの声が。こんなの、事務所の前でも、言われてない。なのに、なんで。
アキは運動も何もしてないのに心臓の鼓動が早くなった。呼吸も、荒くなった。
───これは、俺の記憶なのか?
そんな疑問が頭を過ぎる。いつかこんな会話を、アイツとしたんじゃないのか。
アキはそんな疑問を抱えたまま何とか自分の部屋に入ろうと立ち上がった。自分の意識を保ちながらドアノブにゆっくり手をかけて部屋に入る。
「ッ、は、ぁ…ッ、」
アキは玄関に転がり込んだ。呼吸を整えて、頭の中で落ち着いて整理する。すると、その落ち着きを邪魔してくるようにまた、あの声が脳に入り込んでくる。
「アキ、怒ってる?」
やめてくれ、もう。
これ以上俺を苦しませないでくれ。
アキの目からは涙を溢れていた。自分でも、何故泣いてしまうのか分からない。理由も分からないのに、アキの目からは大量の水滴が溢れ出てくる。
あの声に対して、アキはどこかでまた懐かしいと感じてしまう。
「…何考えてんだ、俺…」
アキは涙を拭いて呟く。確かに、アキとデンジは何か関係あるのかもしれない。でも、所詮表場ではファンと俳優の関係なのだ。ここでもし何か問題が起きてしまったら、デンジにも、岸辺さんにも迷惑がかかることになるだろう。
「…もうアイツの事は考えないでおこう…」
自分の立場でも、デンジの立場でも、関わってメリットはない。そう決めつけて、アキは心の奥底のドアにデンジの事をしまって鍵を閉めた。
それから数ヶ月が経った。アキは前より更に人気を得るようになっていた。そして、前より寂しさを感じながら仕事を受けるようになっていた。
ある日の事だった。アキは刑事ドラマに出演することが決まっていたのだ。そしてアキは刑事役。主演では無いが結構重大な役だ。そのためアキは久々に取れた休日を刑事ドラマを見て過ごすことに決めた。特にやりたいことも無いので丁度いいと思ったのだ。
『〜〜…お前は完全に包囲されている!!』
刑事の力強い声が部屋中に響き渡る。
「…音量でけぇな、下げるか」
そう呟いてアキはリモコンを手に取る。そして音量ボタンを押そうとした。
バンッ!!!
刑事ドラマの犯人が銃を手に持ち発砲したのだ。音量を下げる前だったので部屋には銃声音が鳴り響いた。
その瞬間だった。アキの頭が激しく痛み始めたのだ。この前と似た痛みだ。
そしてまた、あの男の声が脳に響き渡ってくる。
「──アキッ!あのお菓子買っても良い?」
「──アキィ〜…まだ帰んねェの〜?」
そんな声が永遠に聞こえてくる。
「ッ、あぁ、…ッくそ…もう、っ…考えねぇようにしてたのに…!!」
アキは苦しんだ。肉体的にも、精神的にも苦しんだ。頭が激しく痛む。呼吸が荒くなって、肺が痛い。
この懐かしい、愛しい気持ちが苦しい。
「──戻れ、戻れ、戻れっ、アキに戻れっ!!」
「──正気に戻れ!!」
…この声はなんだ?何故、デンジはこんなに声を張っているのだ。
「──クソ馬鹿ヤローが!!」
初めて、デンジの声から聞いた悪口だった。あの時見た、弱々しい姿からは想像できない言葉。
なんで、こいつはこんなに怒っているんだ。
「──俺ァ、アキが1番好きだぜ?」
その声が流れ込んで来た瞬間、アキは泣いた。一粒の涙が頬を伝ったのだ。
──アキは全てを思い出した。
銃の悪魔に家族を殺された復讐として、公安でデビルハンターとして働いて命を掛けていた事。
血の魔人_パワーとデンジとアキ、3人でアパートで暮らしていたこと。
バディの姫野は、自分を守るために死んだということ。
自分は、復讐すると決めていた銃の悪魔に乗っ取られて街を滅茶苦茶にしたこと。でも、その前から自分はもう殺されていた事。
────そして、デンジは自分の恋人だったという事。
クソ馬鹿ヤロー、なんて死ぬほど聞いた言葉だった。初めて聞いた訳ない。何回も、何十回も何百回もデンジから聞いた言葉だった。
懐かしいと感じたのも、愛おしいと思ったのも、全部、その通りだったんだ。デンジと会うのが久しぶりだったから懐かしいし、デンジが愛おしいから愛おしいと感じたんだ。
デンジは、きっと前世の記憶がもう既にあったのだろう。だから、アキを目の前にしてあんなに泣いたのだ。そして、寂しそうで、切なくて、儚い表情をしたのだろう。
──ああ、デンジ。今すぐにでも抱き締めたい。
思い出すのがこんなに遅くなってごめん。今世で初めて会った時、記憶が無くてごめん。あんなに痩せ細るまで一人にしてしまってごめん。全部、俺が気づいとけばこうはならなかったのに。
そんな後悔を負いながら、アキは事務所へ走った。涙を流して、鼻水を啜って、自分が俳優である事を忘れて走った。
今すぐにでもデンジに会いたい。
今は、元気なのだろうか。あの日以来会えていないから分からない。
アキの頭の中はデンジでいっぱいだった。申し訳なさと愛おしいさでいっぱいだった。
デンジは確か、アキと同じ事務所のはずだ。岸辺がどこかでぼそっと言っていたような気がする。
いつものアキならちゃんと調べてから行動する。でも、そんな余裕今のアキには無かった。1秒でも早くデンジに会いたい。
「___あの人気女優と、デンジがね〜…びっくりだわぁ笑」
「___ね、まさかあそこで熱愛出るなんて。笑」
突然、そんな言葉がアキの耳に入ってきた知らない誰かの会話。
熱愛。それは俳優だけではない、芸能人にとってこれからの活動に影響を及ぼす力を持つネットの報道。
簡単に言うと、確信は持てないが、誰々と誰々が付き合っている事を全国民にバラすようなものだ。
アキは自分の携帯で{デンジ 熱愛}と調べた。
それに載っていたのは───
{人気俳優デンジと人気女優レゼ、二人きりで歩いてる所を一般市民が目撃!!}
それは写真と共に書いてあった物だった。
レゼ。兵器として育てられ、デンジを恋に落とした女。
アキは思った。
───デンジは、まだ俺の事を好いてくれているのだろうか。
アキはその場でうずくまった。抱えきれない不安に、アキは負けてしまった。
その瞬間、空からポツ、ポツと雨粒が落ちてきた。最初は小雨だったものの、時間が経つにつれて大雨になった。
人々はこぞって建物の中に入ったり、傘を取り出したりカッパを来たりしてそのまま歩き出す。
アキはもう、立つ気力もなかった。すぐに家を飛び出したので傘も、カッパも無い。アキは雨に打たれた。
もう、顔に垂れている水はアキの涙なのか雨水なのか区別がつかなかった。
「…はは、…丁度いいな…。」
もう、無だった。デンジが自分の事をもう好きじゃない、なんて勝手なただの思い込みだ。でも、その思い込みがアキの胸に深く刺さる。そんな事ない、って心の中で言い聞かせても、その言葉は負けてしまう。そのくらいアキは今どうしようも無い不安に襲われているのだ。
その瞬間だった。雨に打たれる感触が無くなるのと同時に丸い影がアキに覆いかぶさったのだ。
そして、聞き覚えのある、あの愛おしい声が鼓膜を震わせたのだ。
「…アキ、…さん、大丈夫っすか、…?」
少し濡れた金髪の髪。ギザギザととんがった歯。赤色に染まった瞳孔。前よりは肉付きが良くなった身体。
「っ……」
「ッ、ぉわ…?!」
アキは、いつの間にかデンジに抱き着いていた。前世でも、今世でも考えられないような姿で情けなく抱き着いた。
まだ濡れていないデンジの服を涙で濡らした。
「…ッ、ごめん…」
「っ、いや…なんで謝るんすか…アキ、さん…」
アキさん。その呼ばれ方にまた心がズキッと痛む。
「……もう、アキ、とは呼んでくれねぇのかよ…」
───デンジ
そう、アキは小さい声でデンジに言った。ただ、アキはまたあの愛おしい声でアキとデンジに呼んで欲しかった。いつものように、夕飯が何なのか聞いてほしい。菓子を買ってもいいか、強請って欲しい。
好き、と俺だけに言って欲しい。
「っ…え…」
「……デンジ、」
───好きだ。ずっと、前世の時からずっと好きだ。
その瞬間、デンジの目から一筋の涙が流れた。
「…ア、キ……」
デンジは傘を離した。音を立てて落ちるはずの傘の音は二人には聞こえなかった。聞こえるのはお互いの呼吸音と、己の鼓動の音だった。
「…思い、だしちまったの…?、」
震えた声だった。目に雨水か、涙か区別が出来ない水を貯めて言うデンジ。アキはその問いに深く頷く。
デンジは顔をしわくちゃにした。目に溜まっていた液体が頬を伝って大量に溢れる。どこか苦しそうで、嬉しそうで、なんとも言えない表情をするデンジ。そんなデンジをアキは愛おしく見つめる。久しぶりに、ちゃんと見たデンジだった。前世の時と、何も変わらないデンジだった。
「……デンジ」
じっと、デンジの瞳を見つめてアキはそう呼ぶ。そして、そっと頬を優しく撫でる。雨は冷たいはずなのに、デンジの頬は温かかった。
「………」
アキは暫く黙った。暫く黙って、デンジをじっと見詰めた。よく見ると、デンジはスーツを着ていた。ネクタイがしっかり締めてあって上着のボタンもきちんと締めてあった。
そんな規則正しい服装は戻す。ボタンを開けて、ネクタイを緩める。
「…お前は、少し気崩した方が似合ってる。」
そう呟いてアキは手を離した。
デンジは、まだ泣いていた。今の状況がわかってい無さそうな顔でじっとアキの顔を見つめていた。
そんなデンジをアキは愛おしい目で見つめる。
アキはデンジの手を握った。皮の薄い手の平だった。手の次には顎を触った。デンジの顎は震えていた。きっと、突然の出来事に追いついていないのだろう。
顎の次には、唇を触った。少しカサついていて、乾燥している唇だった。
そして、次の瞬間。───アキはデンジに触れるだけの軽い口付けをした。
「っ、ふぇ…?、」
デンジは顔を赤く染めて驚いた表情をしていた。
そんなデンジをお構いなしにして、アキはデンジの胸に顔を埋めた。そしてこう呟く──。
───俺、デンジの事が、大好きだ。
もう、離れたくない。
都合がいいのは、分かっていた。記憶を取り戻したので好きですそばに居たいです離れたくないです、簡潔にまとめるとアキはこう言っているのだ。
────やっぱり、前世なんて思い出さない方が良かったかもな。
思い出さなかったら、こんなに苦しくなったりもしなかったのに。思い出さなかったら、今こうやってデンジに迷惑をかけることも無かったのに。
「……すまん、迷惑、だったよな。」
そう言って、アキはデンジから離れる。
「…傘、ありがとう。」
そう最後に小さく呟いて、アキは自宅の方へ歩き進めた。デンジから遠ざかって、離れていった。
───もう、デンジの事は忘れよう。お互いのためにも。
アキはデンジの方を振り返ることなく歩き進めた。雨の音に身を任せて、足を動かした。
「───馬鹿野郎ッ!!!」
ぎゅっ。
次の瞬間、アキは時間が止まったかのように立ち止まった。──デンジが、アキの背中に飛びついたのだ。
「全部、ッ全部!!一人で済まそうとすんじゃねェ!!、」
デンジは、泣いていた。鼻水を垂らして顔をぐしゃぐしゃにして、律儀にも綺麗とは言えない顔をしていた。
「迷惑、ッて決めつけんじゃねェ!!」
目を真っ赤にしてアキの背中にデンジは顔を埋める。頭を何度も何度も押し付けては、これでもかという程にアキをぎゅっと抱きしめる。
「お前ンだけが好きだなんて、ッ思ってんじゃねェ!!」
「俺だって、ずっと、ずっと、前世からお前の事しか好きじゃねェんだよ!!」
声が、出なかった。嬉しさと申し訳なさと苦しさ、色々な感情が入れ混じってもう訳がわからなかった。
デンジが抱き着いてくれたのが後ろで良かった。前に抱きつかれると、このしわくちゃでぐちゃぐちゃな顔を見られてしまうのだから。
「…もう離してやんねェからよ、アキ。」
「今まで、俺ァずっと我慢してたんだぜ?」
「褒めてくれよ。前みたいによ。」
アキは、前に回っていた手を掴み、自分の身体から引き離した。そして、デンジの方を向いて目線を合わせる。
結局、こんなぐしゃぐしゃな顔を見せることになってしまったが、アキには関係なかった。ただ、目の前に居るデンジのことしか考えられ無かったのだから。
「っ…ぇ、らいなぁ゛…で、んじ……」
泣き声でぐしゃぐしゃな声でそう言ったアキは、デンジの頭をそっと撫でて自分の胸に寄せた。
「ご、めん…ごめん、なぁ…」
アキは何度もデンジに謝る。ぐしゃぐしゃになって謝った。
「…もう、アキぐしゃぐしゃじゃん…。笑」
「泣きたいのはこっちだぜェ?まったくよォ…」
そう軽く笑いながら言うデンジ。そんなデンジも実は雨に紛れて泣いていた。全部さらけ出して泣きたい気持ちをグッと静かに涙を流していた。
「…このままじゃ、風邪ひいちまうぜ、俺ら。」
「アキは特別に俺の部屋に招待してやる。」
着替えとか貸すから、さっさと着替えろよ。
そんなデンジの言葉にアキは深く頷いた。
「しっかり捕まってろよォ。」
そう言ってアキをおぶったデンジは自宅へ帰って行くのだった。
Fin
コメント
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え、え、え、大好きなアニメでしぬ。 今日が命日...です(?) しかも大好きなアキデンcpはもっとやばい!!(ごめん伏字が分かんない) ノベルも上手いとかやっぱぽよㄘゃんは天才を超えて神なのね 😇😇 まじで見れてよかった。しぬ。 これしか言えん!! とにかくまぢめに最高だった 👉🏻👈🏻 ありがとう 🫶🏻︎💕︎︎ そしてめちゃ見にくいよね?!笑 長文ごめんよ 🙏🏻🙏🏻