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高校生活一年目の終わり。
一年間を振り返ると、ライには不思議な気持ちがあった。
一年前。
マナと初めて会ったときは、ただの「父親の再婚相手の息子」だった。
それが今では。
家族で。
友達で。
そして、大切な恋人でもある。
「ライー」
玄関からマナの声がする。
「今行く」
靴を履いて外へ出る。
「今日、どこ行く?」
「特に決めてない」
「じゃあ散歩しよ」
「うん」
二人並んで歩き出す。
春の風が吹いている。
「なあ、ライ」
「ん?」
「俺ら、最初に会った日のこと覚えてる?」
「覚えてるよ」
「俺、めっちゃ緊張してた」
「そうだった?」
「そうやで」
「全然見えなかった」
「ライもな」
「俺は普通だった」
「嘘つけ」
二人で笑う。
「でもさ」
マナが少しだけ真面目な声になる。
「俺、あの日ライに会えてよかったと思ってる」
「……俺も」
「家族になったことも?」
「うん」
「それから……」
マナが少し照れたように笑った。
「恋人になれたことも?」
ライも笑う。
「もちろん」
少しの沈黙。
そして、ライが言う。
「これからも、ずっと隣にいてよ」
「当たり前やろ」
マナは笑った。
「家族としても、恋人としても」
その言葉を聞いて、ライも笑う。
二人はこれからも同じ家で暮らしていく。
同じ学校へ通い。
同じ時間を過ごして。
時には喧嘩をして。
また笑って。
血は繋がっていない。
けれど、二人が一緒に過ごしてきた時間は、確かに二人だけの家族の形を作っていた。
そして、その中で生まれた恋も。
簡単には消えない、大切なものになっていた。
「マナ」
「ん?」
「これからもよろしく」
「こちらこそ、ライ」
ナギサノサナギ
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春の道を、二人は並んで歩いていく。
家族になったあの日から始まった物語は。
これからも、二人の隣で続いていく。
コメント
1件
しろまるさん、最終話、読み終えました。春の風と何気ない散歩の景色に、一年前から積み重ねてきた二人の時間がぎゅっと詰まっていて、じんわり温かくなりました。「家族になったあの日から始まった物語は、これからも続いていく」という締めくくりも優しくて。血の繋がりじゃなくても、一緒に過ごした時間が家族の形を作って、その中から恋が芽生えた――その描き方がとても自然で、心に残りました。お疲れ様です。素敵な物語をありがとうございます。