テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
とある日…
剣城「…今さら何の用だ、フィフスの
お偉いさん?」
フィフスの偉い人「騎士ともあろう者が
随分と安っぽい合奏に身を投じたものだ。」
剣城「…フン、耳障りな不協和音を近くで
聞いていただけだ。任務に支障はない。」
フィフスの偉い人「任務だと?万能坂の
シードを三人も叩き潰しておいて、」
フィフスの偉い人「まだその言葉が
通用すると思っているのか?」
剣城「…勝手に言っていろ。」
フィフスの偉い人「聖帝は寛大だ。
だが、次戦…」
フィフスの偉い人「『帝国学園』との
試合で、お前に最後のチャンスを与える。」
剣城「……最後だと?」
フィフスの偉い人「帝国のピッチには、
お前もよく知る『策士』が潜んでいる。」
フィフスの偉い人「そこで雷門を、お前の
手で完全に『沈黙』させろ。」
剣城「……なんだと?」
フィフスの偉い人「さもなくばお前の兄、
剣城優一の治療プログラムは、」
フィフスの偉い人「今夜をもって、
すべて白紙に戻される。」
剣城「……っ!!!」
グググッ…(拳を強く握りしめ、爪が掌に食い込む)
フィフスの偉い人「無意識に仲間の顔を
伺うようになったか?相対的に、お前の『闇』は薄まっている。」
フィフスの偉い人「裏切り者の末路は、
南沢という『駒』が身をもって証明した。」
剣城「駒、だと……っ!?!?」
フィフスの偉い人「……明日の帝国戦、
期待しているぞ。」
フィフスの偉い人「シード・剣城京介。」
タッタッタッタッタッ…
剣城「(兄さん…俺は、俺はまた…。)」
剣城「(誰かの風を、奪わなければ
ならないのか……?)」
剣城「(南沢先輩が……『駒』……?)」
剣城「(あの人は、皆が傷つかないため…)」
剣城「自ら、消えたというのか……?」
倉間「……南沢さんが…?(聞いてしまった)」
────────────────────
倉間「(あの日、俺たちを突き放して
雷門を去ったのは…)」
倉間「(将来のためじゃなくて、俺たちが
壊されないための身代わりだったのか…?)」
剣城「…!誰だっ!!」
バッ!!(殺気を込めて振り向く剣城)
倉間「……(肩を震わせる)」
剣城「倉間、先輩…。」
倉間「…おい、剣城。」
倉間「今の話…本当かよ…」
倉間「南沢さんは、フィフスの脅しに
屈して…」
倉間「あんな芝居を打ったのか!?」
剣城「……」
倉間「答えろよ!!」
倉間「あの人は…俺たちが『本物の
サッカー』で繋がり合えたことを、」
倉間「最後まで守ろうとしてくれたのか!?」
剣城「……そうだ。」
剣城「あの人は自分が泥を被ることで…
万能坂のシードたちの暴走を、」
剣城「一時的に抑え込もうとした。」
剣城「だが、その結果がこれだ。」
剣城「フィフスはあの人を『使い捨ての
駒』として扱い、次は俺に…」
剣城「…お前たちの夢を、地獄に
変えろと命じている。」
倉間「……っ」
ドンッ!!!!(拳を壁に叩きつける)
倉間「ふざけんな……!!」
倉間「俺は、あの人を卑怯者だと思って
自分を納得させようとしてたのに……!」
倉間「そんなの、恩返しもできねぇじゃねーかよ!!」
剣城「…俺は、やるしかない。」
剣城「兄さんの足が治るなら…俺は
また死神にだってなる。」
剣城「だから倉間先輩…天馬たちに
伝えてください。」
剣城「明日の試合、俺には近付くなと。」
倉間「…断る。」
剣城「っ!?何故ですか?!」
倉間「南沢さんが守ろうとしたチームを、
今度はお前が壊すってのか?」
倉間「そんなこと、させねぇよ!」
倉間「南沢さんの想いも、お前の
兄さんの願いも…」
倉間「全部まとめて、俺たちがこの足で
守り抜いてやるよ!!」
倉間「帝国のシードだろうが…俺たちの『音』は、もう誰にも止めさせねぇ!!」
タッタッタッタッタッ!!
剣城「(……倉間先輩。)」
剣城「(貴方もまた、あの風に
あてられたというのか。)」
倉間「(南沢さん、見ていてくれ。)」
倉間「(あんたが守った雷門は、こんな
もんじゃ終わらせないってことを!!)」
────────────────────
翌日の特訓中
速水「剣城くんはフィフスセクターを
裏切ったから罰を受けてるのかもしれない、」
速水「背いたオレたちだってどうなるか…」
天城「覚悟はしてるど!」
車田「俺たちは、自分の意思で『第五条』に
逆らうと決めたんだからな!」
速水「あんたらは、そうだろうけど…(口悪くなる)」
天馬「あの、『第五条』ってなんですか?」
速水「えっ、知らないんですか?」
神童「少年サッカー法 第五条…」
神童「確かだが…えっと、」
『サッカーは皆平等に愛されるべきであり、
その価値ある勝利も、平等に分け与えられるべきである』
神童「……だったな。」
霧野「この第五条が、フィフスセクターが
存在出来ている理由になっているんだ。」
霧野「勝利を平等に配分する。つまり、」
霧野「試合結果をあらかじめ決めることに、
歪んだ正当性を与えているんだ。」
天馬「勝利を分け与える…?でもそんなの…」
天馬「そんなの、自分で掴み取るから
価値があるんじゃないんですか!?」
天馬「負けたら悔しくて、次は勝とうって
思うから…」
天馬「本物のサッカーじゃないんですか!?」
速水「それが理想論だって言ってるんですよ!!!」
天馬「!?(ビクッ)」
速水「その『本物のサッカー』のせいで、」
速水「どれだけの学校が潰れて、
どれだけの選手がサッカーを奪われたと
思ってるんですか!」
天馬「そ、それは分からな……」
速水「第五条に従っていれば、少なくとも
サッカー部は存続できる。」
速水「負けが決められていても、
ピッチには立てる。」
速水「それが、フィフスの言う
『慈悲』なんですよ…!!!」
天馬「……っ(拳を握りしめる)」
車田「だが、俺たちはその『慈悲』を
蹴飛ばしたんだ。ダッシュトレインでな!」
天城「そうだど! どんな条文があろうと、
俺たちが繋いだパスは嘘じゃないど!」
神童「…そうだな。」
神童「第五条という檻の中にいれば、
確かに傷つくことはないかもしれない。」
神童「だが、そんな『用意された平穏』に
俺たちの魂はもう耐えられないんだ。」
速水「神童くん!?」
神童「天馬、お前が教えてくれたはずだ。」
神童「風は誰かに与えられるものじゃない。
自分たちの足で起こすものだってことを。」
天馬「神童先輩……。」
────────────────────
剣城「(平等な勝利…兄さんの足を奪った
サッカーを、平等に愛せというのか?)」
剣城「(……南沢先輩。貴方もこの
『第五条』という巨大な壁に、)」
剣城「たった独りで、四面楚歌に
立ち向かおうとしていたんですね。」
倉間「……おい、速水。」
速水「ひいっ…な、なんですか倉間くん…」
倉間「ウジウジ喋ってる暇があるなら、
一本でも多くシュートを受けろ。」
倉間「…俺たちの『音』で、その腐った
条文をぶち壊してやるんだよ!」
速水「……相変わらず無茶苦茶ですね、
倉間くんは。」
速水「(…でも、不思議と。)」
速水「(一人で怖がっていた時より、
足が震えていない気がします。)」
天馬「サッカーが泣いている…)」
天馬「なんて、もう言わせない!!」
浜野「……ふーん。」
ガチャッ(浜野が気分転換でサッカー棟を出る)
浜野「…おっ、」
浜野「一乃ー!青山ー!」
一乃「うげっ、天然バカ波乗りピエロ……」
青山「はいはい、そこまで。」
青山「…本当に、革命をするんだね。」
一乃「とんでもないことをやっているな…」
浜野「そうだな~、とんでもないよな!」
一乃「……」
一乃「(こいつは、真意が掴めない。)」
一乃「(いつも、いつもそうだ)」
一乃「(どんなに重大なことを言っても、
こいつは笑顔で答えを返すんだ。)」
一乃「(明らかに、普通に生きていない)」
#odmn
k@
834
#ゲーム
コメント
1件
ああっ…もう、この話、胸がぎゅってなったよ…🥀 倉間が南沢さんの真意を知って「ふざけんな!!」って拳を壁に叩きつけるシーン、すごかった。あの怒りと悲しみが全部伝わってきた。剣城も「また死神になる」って言うところ、兄さんのためならって思うほど辛いよね… それでも倉間が「音は止めさせねぇ」って言い切ったとき、ちょっと泣きそうになった。 あと、第五条の説明で天馬が「サッカーが泣いてる」って言うの、もう言わせないって決意したとこ、好きだな。 速水くんが「足が震えてない気がする」って思うのも、チームの力って感じがしてじんわりした。 次が気になる…!