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『始めから誤情報だった可能性もあります』

『しかし商人はいたろ? 尋問できたのか?』

『いえ。全員死亡しました。機銃掃射でしたから』


 クロックはスコープ越しに見たその光景を思い出して呻く。


『また連絡します』


 司令はクロックへの通話を切った。すると秘書がメモを持ちながら話しかける。


「例のハッカーが割れました」

「ヴォルデモート」

「ネット黎明期からのベテランでダークネットでは有名なウィザードです」


 その報告を司令は鼻で笑う。


「ふん、老人か。探し出して殺せ。消えた銃の行方もだ。当面ハッキングの件は内密にとの上層部からの指令だ」

「では作戦失敗の報告はどのように?」


 司令は一枚の紙を見せる。それは先の機銃掃射事件の報告書だった。秘書は目を通して、首を傾げる。


「エージェントのスタンドプレー……? だから、アレクシアが」

「組織を守るためだそうだ。どうやら上の連中はよほど自分が可愛いらしい」


 司令は極めて不愉快そうに言い捨てた。

 鮮花とアレクシアは銃について話し合いながら目的の場所まで歩いていた。


「銃取引自体がなかったって線もあるんじゃない?」

「そうでしょうか?」


 鮮花は可能性を片っ端からあげてはアレクシアに否定されるのを繰り返していた。


「鮮花の可能性は低いものが多いです」

「マーフィーの法則って知ってる?」

「失敗する可能性があるなら失敗する」

「その通り。なら逆に可能性がある限りその可能性は検討すべきである、とも言えるでしょ?」

「ジャムの法則でその考えは否定できると思いますが」

「検討するべき商品が多すぎると選べない、か。確かに。でも優先順位の中に入っているか、いないか、の違いは大切だよ。想定外は思考を鈍らせるからね」

「けど、考えすぎても硬直しませんか?」

「そこは優先順位つけて、可能性の高いものを選ぶ」

「なるほど。勉強になります」

「ついた」


 その時、幼稚園から子供の声が聞こえて来た。


「鮮花!」

「おねえちゃーん!」

「いらっしゃい鮮花」

「新しいお友達のアレクシアお姉ちゃんだよ~」

「アレクシアおねえちゃ~ん」


 わらわら現れる子供達に戸惑いながらたきなは精一杯の笑顔で対応する。


「これ、なんですか?」

「孤児院の先生のお手伝い」

「孤児……」

「イエス・キリスト! パノプティコン機関が持ってきた才能ある子供達だよ!」

「これが、全員ですか?」

「ふふふ、子供というのは育て方次第で才能が開花したり産まれたりするのだよ。簡単に言えばアラン機関が支援しているギフテッドチャイルドならびに後天的なギフテッドヒューマン育成の実験施設だね」

「才能を作る施設」

「そう。子供を開発して才能ある人間に育て上げて使用する」

「合理的ですね」


 千束はそのまま横の学校へ入り、そこでは様々な人種の人たちが勉強していた。覗いてみると、日本人の先生が外国人の生徒たちに日本語を教えていた。


「エキササイズワンッー。戸惑っています」

「トマドッテイマス」

「出身校が同じなので私ができる言葉はできます。ああ、ロシア語は?」

「少しなら」

「スパシーボ!」

「スパシーボに素晴らしいって意味はないですよ」

「ありがとう、でしょ? 知ってま〜す」


 次は日本武家屋敷だった。そして門の前には強面のお兄さんが立っている。そして鮮花達が話しかけると怒鳴ってきた。


「オルァ!ここはガキの来る所じゃねーぞ!組長も忙しいんだ。怪我する前に帰れ!」

「客人だ」


 隣の男が突っ込む。


「マジすか…」

「新入りでな。許してやってくれ千束」

「おーけーおーけー」

「では案内します」


 客間に二人は案内される。そして組長と思わしき人物に白い袋に入ったものを渡す。


「はいこれご注文の」

「お~。たっぷり入ってるな~」

「そうでしょ~。上物ですよ」

「は~…いい香りだ」


 これは麻薬だと判断したアレクシアはすぐさま銃を引き抜いて射殺しようとするが、一瞬で鮮花に銃を奪われる。

 あり得ないほどの早業だった。


「挽き立てだって。先生が」

「そうか!マスターによろしくな。そちらは?」

「アレクシアさん。今日からうちで働く私の相棒。よろしくね」


 組員達が一斉に頭を下げる。


「アレクシアさん!よろしくぅ!」


 武家屋敷を出て、鮮花は笑いながらアレクシアに問いかける。


「ヤバい粉だと思った? 思ったでしょ~!』

「ええ」


 アレクシアは不満げに肯定した。それに鮮花は嬉しそうに跳ねる。


「やった!」

「撃ち殺すところでしたよ」

「ユーモア、ユーモア、冗談だよ~。ただのお店のお得意さんだから」

「は~い次は一転警察署に行きます!」

「いや、落差が激しい!」

「おっ。でもまだちょっと早い」


 ちょうどよいと思ったのか、たきなは思っていたことを口にする。


「あの…この部署は一体何をするところなのでしょうか?」

「……ほう? ごめん。先生から聞いてると思ってたよ。何するところか…改めて聞かれると考えちゃうな」

「保育園、日本語学校、組事務所…共通点が見出せません!」

「困ってる人を助ける仕事だよ~」

「個人のためのエージェント?」

「そうそう。コーヒーの配達も外国語の先生も保育園のお手伝いも喜んでもらえるよ~?」

「私達エージェントは国を守る公的機密組織のエージェントですよ?」

「お~!そういうとなんか映画みたいでかっこいい~。け~ど~凶悪犯を処刑して回ってる殺し屋って言われたりも…ねぇ?」

「ああいうことが起きる時代ですから私達が必要です」


 アレクシアは半壊した電波塔を見る。あれは少し前に世界中のテロリストが日本に攻め入って、日本各地で破壊活動を行おうとして、ヘリコプターで輸送された鮮花一人によって皆殺しにされ、最後の力で爆破した事件の象徴的な傷跡だ。


「そうね~そうなんかもね~」

「しかし新しいタワーが完成間近なのになぜ残してるんですかね?」

「壊れてできた意味もあるんじゃない?」

「そんなものありますか?」

「さ~どうかな~?でもそういう意味不明なところが私は好き」

「だから意味不明なことしてるんですね」

「うひひ! 言うねぇ~。まぁともかく組織が興味持たなくても困ってる人はいっぱいいてさ。助けを求めてる」


 鮮花は花束の笑顔で手を差し出した。


「だからアレクシア。力を貸して!」


 アレクシアは無言で手を取った。


世界を守る殺戮の救世主

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