「ふぁ……眠い」
「寝なよ。明日早いんだから」
「スカビオサも寝ようよ」
「えー、僕はまだ準備終わってないからさぁ」
「じゃあ私が寝るまで横になってて」
「勝手なんだから」
ただいま丑の刻、よゐこは寝る時間です。
僕は悪い子だから寝ないけれど。
心做しかアイビーの頬が少し火照っている気がする。
全く、明日は大事な日なんだから、風邪でも引かれたらたまったもんじゃない。
「ほんと、君って勝手だよねえ」
「どういう意味」
「僕のこと置いてこうとしたりしてさ。や、く、そ、く。忘れた?」
「え?」
「責任とってくれるんじゃなかったの?」
「え……あ、忘れてた」
「ちょっと、僕拗ねてしまうのだけど」
「ごめんごめん」
アイビーが肩を揺らして笑うと、敷き布が少し音を鳴らす。
こうやって二人で話せるのも、今日が最後かもしれないのか。
「アイビー」
「ん」
「大好きだよ」
「うん、愛してる」
アイビーがそう言った瞬間、僕の頬にほんの少しの温もりが落ちる。
僕の理解が追いつかないでいると、彼女の顔が目の前に戻ってきて、にしし、と綺麗な白い歯を出す。
やられた。
「さっきのお返し」
「なら僕だって」
アイビーの白い首筋にかぶりつく。
ちゅっ、と吸ってみる。
「いっ……何やってるの」
「ん、ついたついた。初めてだから綺麗に着くか不安だったけど。なんか虫刺されみたい」
ははっと笑う、さっきのお返し。
アイビーの白い肌には一部だけ紅い僕の印がある。
気分がいい。
「覚えててよ」
「忘れるわけがないじゃない」
今日がもし、君と最後の夜だとして、もうこんな会話交わせないとして。
僕は後悔なんかない。
コメント
12件
おおっ! 面白い作品だなぁ…。
もう!すき!
……なんかスカビオサくんどえすでてきてない????キャラ崩壊してない???大丈夫???(