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柔太朗side
A「じゃあ、お礼のチューが欲しい…なーんて」
飲み物のお礼を言うとAからキスをねだられた。
硬派な役が多くて冗談を言うイメージがなかったから少し驚いたけど、彼なりに雰囲気を和ませようとしてくれたのかもしれない。
だから、ここで変に恥ずかしがって空気を濁すのも違うかなって思った。
そっと肩に手を置いて頬に軽くキスをする。
メンバーとは違う肌のざらつきと、煙草とコーヒーの苦い匂いがした。
A「ちょ、ちょっと。柔太朗ってそういう感じ?」
柔太朗の行動に驚いたAは目を見開いて唇の感触が残った頬に触れて確かめている。
「まぁ、割と。メンバー同士で…」
A「待って、心の準備できてなかったから今のはノーカウント!もう一回。」
「Aさんって意外とワガママですね」
慌てるAがおかしくて、苦笑いしてからもう一度Aの頬にキスをした。
ちゅっと車内に音が響く。
「これでいいですか…ぅわっ!」
言い終わらないうちに助手席のシートが倒され覆い被さる様に押し倒された。
A「迂闊過ぎるよ、柔太朗君。男はみんな狼だから…」
そう言うとAはニヤリと笑って深く口づけてきた。
「んっ…や、だ…」
両手でAの胸を押し返すがびくともしない。
もがけばもがくほど角度を変えて舌を差し込まれる。
こんなことになるなら、雰囲気なんて気にせずキスなんてしなければよかった。
どんどんどんどん
息が苦しくなり目尻に涙が滲み出した時、車の窓が激しく叩かれて勇斗の声が聞こえた。
❤️「柔太朗っ!!」
「…勇ちゃ…」
A「あら、残念」
Aは勇斗の方に視線を向けたまま両手を上げて柔太朗から離れた。
ドアが開き外の冷たい空気が流れ込んでくる。
❤️「うちの柔太朗がお世話になりました」
勇斗はぶっきらぼうにそう言うとAを睨みつける。
A「またね、柔太朗君」
「あ、ありがとうございました」
勇斗の威圧を全く気にせずAは笑顔でひらひらと手を振る。
勇斗に腕を掴まれると勢いよく車から引っ張り出された。
弾んだ息と熱く湿った手から勇斗が急いで駆けつけてくれたことがわかった。
「…ごめん」
言葉を発せられないまま勇斗の車に乗ると、ナビの音声が自宅まで2時間かかると告げた。
❤️「何が?」
「忙しいのに遠くまで来させちゃったこと」
❤️「それだけ?」
「あとは…」
冷たい口調に言葉が詰まる。
勇斗はため息を吐くとハンドルに頭を乗せた。
❤️「くそっ…困らせたいわけじゃない」
苦しそうに顔を歪めるとぽつりぽつりと勇斗が話し始めた。
❤️「インスタLiveしてたらお前のことコメントで知って…」
雪の精霊がいるってツイートにみ!るきーずが柔太朗じゃないかって気が付いて勇斗に教えてくれたらしい。
❤️「で、向かってる間もナンパされてるとかいちいち報告がきて」
「…え」
❤️「挙句、大人しく待ってろって言ったのにAと楽しそうにしてる写真まで流れてきて…」
髪をかきあげまっすぐ前を見つめる。
❤️「マジでムカついた」
「…ごめん」
❤️「やっとの思いで見つけたらなんかキスしてるし」
「あ、れは!そーゆーのじゃなくて…」
❤️「柔、Aさんのこと好きなの?」
「好きじゃない。尊敬はしてる、けど」
❤️「けど?」
目を見て話すのは苦手だから、勇斗の顔を見ることはできない。
だから、勇斗の手に自分の手を重ねて指を絡める。
「俺が好きなのは、勇ちゃんだから」
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