放課後の校舎裏、俺はベンチに腰掛けてスマホをいじっていた。風がちょっと涼しくて、春先の気持ちいい季節だ。空はまだ明るくて、雲がゆっくり流れている。そんな何気ない時間が、妙に心地いい。
「今日も特に何もなかったな」と、心の中で呟く。授業は相変わらず退屈で、部活もほどほどにこなして、家に帰ればゲームとYouTubeのループ。そんな毎日だけど、不思議と嫌じゃない。むしろ、こういう普通の瞬間がたまらなく好きだったりする。
俺の名前はあっと。高校3年生で、あと数ヶ月でこの日常が変わるんだと思うと、少しだけ寂しくなる。将来のことはまだ全然決まってないけど、今はそれを考えるよりも、ただこの瞬間を楽しみたい。
ポケットからイヤホンを取り出し、スマホに繋いだ。お気に入りの曲が流れ始める。ビートに合わせて軽くリズムを取る。音楽は俺の生活の一部で、どんな時も側にいてくれる。
ふと、空を見上げると、太陽が少しずつ沈みかけているのが見えた。オレンジ色の光が校舎の壁に映って、なんだか幻想的だった。こんな何気ない風景も、後で振り返ればすごく大切な思い出になるんだろうな。
家に帰るまでの道のりは、いつも通りの静かな時間だった。自転車のペダルを漕ぎながら、考えごとをしてみたり、ただ風を感じたり。目の前にある景色が、いつもとは少し違って見える気がした。
「やっぱ、俺の毎日はこれでいいんだ」そう思った。無理に何かを変えようとしなくていい。焦る必要もない。今の自分がいる場所で、感じられる小さな幸せを大事にしていこう。
家の玄関の前に着くと、俺は少し深呼吸した。今日も何も特別じゃなかったけど、それでいい。そんな日常が、いつか懐かしくなることを知っているから。
部屋に入って、またいつものゲームを始める。画面の中の世界は刺激的で楽しいけど、リアルのこの何気ない毎日も、俺には同じくらい大事な宝物だった。
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神作品だ⚝⋆