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冬季限定。短編集

13 - 13 【冷えゆく珈琲】

♥

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2024年12月02日

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いつもより早く目が覚めた。今朝は冷え込みが少しだけ和らいでいる。

陽の光が部屋の中央まで届き眩しいくらいに明るく照らす。

身体をほぐすように背伸びをした。大きく吸った空気はやはりまだ冷たく冬真っ只中なのだと再認識させられる。布団から出ると両手で身体を抱えキッチンへ向かう。

最近買ったコーヒーメーカーを棚から取り出した。湯を沸かし、フィルターにゆっくり注ぐと淹れたてのコーヒーの香りが部屋中に漂う。

カップに注ぎ、香りを楽しみながら一口味わうと、冷えた身体に染み渡る。

ふぅ~とひと息着くと、シンの部屋に向かった。

ノックをするが、まだ起きていないのか返事がない。

ゆっくりドアを開ける。

カーテンのすき間から陽の光がシンの寝顔を照らす。

起こさないようそっと近づくと傍らに座る。

光を浴びた寝顔は煌いていて、思わず手が伸びる。

元々整った顔立ちをしていたが、歳を重ねる毎に大人の色気が足され、じっと見られる度に直視できない程に湊の心臓をドキドキさせていた。

目を閉じている今でなければ触れるのも躊躇うほどに…。

触れるか触れないかの際で、手を止めた。

少し迷った後、ゆっくり手を引っ込める。

昨夜も遅くまで机に向かっていたのだろう。開いたままのノートパソコンの横には教科書や参考書等が散乱している。

起こすにはまだ早いか…

立ち上がりかけた時

「湊…さん……?」

夢現の中にいるシンは重そうに瞼を開く。

「もう少し…寝てろ…」

「コーヒーのいい匂いがする……」

キッチン脇のシンの部屋にも淹れたてのコーヒーの香りが漂っていた。

「早速使ってみた…起きたら淹れてやるから……」

湊の言葉をゆっくりまばたきしながらシンは聞いていた。

ズキンッ…湊の心臓が大きく脈をうつ。

寝ぼけ眼のシンは犯罪だと思った…。

虚ろな瞳で湊をじっと見つめるシン。

湊はその瞳に吸い込まれそうになる。

伸びた前髪が大人びたシンに色気を漂わせている。

ズルい……。

そんな瞳で見つめられたら触れたくなってしまう…。それに………

卑しい思考を打ち消すように頭を振る。

「昨夜も遅くまで起きてたんだろ…じゃあな…」

そう言って立ち上がると腕を掴まれ引き寄せられた。

バランスを崩した湊はそのままベッドに倒れ込みシンの腕の中にすっぽり収まった。

倒れた拍子に目を瞑ってしまった湊は目を開ける。すぐ真横にシンの顔があった。

目が合うとうっすら笑みを浮かべ、すかさずシンは湊を抱きしめる。

「このまま…一緒に寝てくれませんか……?」

やっぱりズルい……。

全部読まれている。

触れたかった事も………こうして一緒に横で眠りたかった事も全部。湊の心の中をシンは見透かしているんだと思った…。

ならば…湊は再び手を伸ばしシンの頬に今度は触れる。

「少しだけ…なら……」

了承する湊の言葉ににっこり微笑む。

「ありがとう…ございます……」

そう言って抱きしめる手に力を込める。

湊はシンの首に腕をまわし抱き返した。

シンの手が湊の頭に触れると一層強く抱きしめ合う。

近くなったシンの唇に軽く口づけをする。

1番触れたかった場所…。

これも既にお見通しなんだろう…?

「湊さん…ズルい……」

へ……?

親指で唇に触れ湊を見つめる。

「俺からしたかったのに…」

拗ねるように言うシンに思わず笑ってしまう。

「なら………すれば…いいだろ……」

「……もちろん」

そう言ってシンは湊に口づける。

一度離れては、また…そして…また…。

次第に深く重なる口づけが欲情を抑えきれなくなる。

せっかく早起きしたのに…


冷めていくコーヒーが2人の時を刻んでいた……。



【あとがき】

「Emo!miu」の匠くん犯罪です……

あの写真はズルい…

そりゃ〜妄想膨らみますわ。笑


では…また……??

月乃水萌


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