赤×水
愛してます
赤___
今は20歳になって初めての夏。
俺には高校1年生の時から付き合っている彼女がいた。
彼女、と言っても一個上の男の先輩。
先輩か疑うぐらい可愛くて、
この手で一生掛けて守ってあげたい、そんな存在だった。
高校で久しぶりに再会し、緊張が解けなかった俺に
ふんわりと暖かな笑みを向けてくれた
そんな君に告白したのは
高校1年生の秋。
恋が実ってからは、付き合う前よりも君が大好きになっていた。
夏休みには互いの厳しい親を2週間かけて説得し
俺の家でお泊まりをした。
親の都合上、自由に行動出来る訳ではなかったけど
君と過ごせるそんな日々が幸せで
一生続くと思っていた。
それから1年後、彼女が家族との旅行の帰りに交通事故にあった。
命に別状は無かったけれど
彼女はもう自分の力で上手く体を動かす事が出来なくなっていた。
それからは車椅子生活。
君は何回も言ったよね。
水「本当に僕で良いの、?」
水「僕みたいな人が、車椅子の人が彼女で良いの…?」
水「赤ちゃんに沢山迷惑かけちゃうよッ…」
赤「迷惑なんかじゃないからッ…ねッ、?」
正直俺も不安だった。
周りに車椅子の人が居なかったし
どうして良いのか分からない時も多かった。
普通のカップルよりも出来ることが少ない。
そんなの分かってる。
それでも、君の車椅子を押してあげるのは
やっぱり俺でありたかった。
だからずっと君の側にいた。
通院がある時も学校を休んでまで一緒に行った。
ちょっぴり大変でもそれが変わらない幸せだった。
彼女が卒業して
俺が高校3年生の夏。
彼女がベットから車椅子に移ろうとした時
車椅子に上手く移る事が出来ずベットから転落し、頭を強く打った。
俺が急いで病院に駆けつけた時
彼女は静かに目を瞑っていた。
赤「水ッッ…起きてよ…」
水「………」
赤「いつもみたいに笑ってよッ…」[泣
赤「ねぇ、デート行こ、?」[撫
何度声を掛けても
何度君に触れても
君からの反応は無い。
君が応答してくれないって分かってても
俺は君に沢山話し掛ける。
俺より小さな手をぎゅっと握り締めて
大好きだよ、これからもずっと愛してるよ
なんて呟きながら。
水「赤、ちゃ、?」
あれから数十分
静けさが漂っていた病室に聞こえたのは
震えた君の声だった。
赤「水ッ…?」
赤「良かッ…たッ…」[泣
水「も~、泣きすぎ、だよ、?」[笑
君から聞こえてくる途切れ途切れの言葉。
何よりも心にぐっとくるものだった。
水「…赤、ちゃん…」
赤「んッ…?」[泣
水「いっぱい迷惑、かけちゃ、てごめんね、?」
赤「迷惑なんかじゃなッッ…」
水「本当に、最高の彼氏だったよ…」[撫
赤「ッッ…」[泣
水「これからも…ずっと愛してるッ、!」[笑
赤「俺もッ、俺も愛してるッッ…」[泣
水「…また、逢おうね…」
赤「水っ、?」
水「………」
赤「水ッッ…」
赤「本当に…有難うッ」
赤「大好きだよッッ…」[口付
彼女は19歳で息を引き取った。
彼女が亡くなった後、看護師の方から一通の手紙を預かった。
それは彼女からの手紙だった。
『今まで沢山の幸せを有難う。ずっと僕の側にいてくれて有難う。僕を好きでいてくれて有難う。』
『本当に大好きでした。別れよう。』
別れようと態々書いた彼女の優しさに
涙が止まらなくなる。
この手紙を書くくらい
自分の最期がもうすぐ来るんじゃないか
っていう死の恐怖を感じてたのかな。
それに気付かなかった俺は、彼氏失格だ。
彼女が亡くなってもうすぐ2年。
まだ彼女にLINEを送ってしまう自分がいる。
既読も付かない、返事も来ない。
それでも、大好きだよって毎日伝えさせて欲しい。
手紙の文末にこんな事が書いてあった。
『誰かの彼氏になって、今より幸せになってね。』
いつか、彼女のお墓に行って
「新しい彼女が出来たよ。幸せだよ。」
って言ってあげたいけど
それは叶えられそうに無いかも。
君がいる事が俺の1番の幸せだった。
どんな形でも生きていて欲しかった。
色んな形で彼女の事を幸せにしてあげたかった。
彼女ともっと笑い合っていたかった。
赤「俺、水に似合う彼氏でいれたかな…」
赤「水の事笑顔に出来たかなッ…」
付き合って初めてプレゼントした
お揃いのキーホルダーと
2人の写真を仏壇に乗せて
静かに手を合わせる。
水『愛してるよッ‼︎」[笑
君の声が耳元で聞こえる。
時間掛かっちゃうけど絶対迎えに行くからね。
俺もずっと、ずっと…
赤「愛してますッッ……」
ある方の出来事を参考にして作ってみました。
コメント
7件
うわぁっ好きですわ~!!🫶︎💕︎なんかグサッとぶっ刺さりました💘赤水いいですね-!