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次の日、urは昼過ぎに目を覚ました。
二日酔いの頭を抱えて、軽食を摂る。
そのままソファでゴロゴロとしていたが、yaは夕方近くになっても起きてこなかった。
(ロングスリーパーのyaくんだけどいくらなんでも遅くないか、、?)
部屋を除くと、うつろな表情で布団に潜るyaがいた。
全身が震えている。
慌てて熱を測ると39℃台。
薬や氷嚢、飲み物と追加の毛布を運びこんだ。
「お前さぁ、、俺からマフラー奪っといてそれはないんじゃない?」
ベッドの横に腰かけ、urが呟いた。
「うっせぇ、、もっといたわれよ」
相変わらず悪態をつくyaだが、声は弱々しい。
「ま、ゆっくり休んでてよ。 何か食べれる?」
「…ななちき」
「熱出してる時にそれはヤンチャすぎ。体に負担がないもの作ってみるよ。食べれそうな時持ってくるから、まだ寝ときな」
「…ん」
静かに部屋を出るurを横目で追い、そのまま目を瞑る。
(久しぶりに熱出したな…)
(健康ってありがたいもんなんだな)
(だる…)
いつの間にか眠りに落ちていたyaが再び目を覚ましたのは真夜中になってからだった。
寒気は軽減した気がするが、相変わらず体熱感は強く汗びっしょりになっていた。
氷嚢はまだ冷たい。
urが取り変えてくれたのだろう。
ふと横を見ると、ベッドに頭を乗せて眠っているurがいた。
その左手はyaの右手を優しく握っている。
「は」
一瞬固まるya。
右手を動かさないように寝返りをうち、urの顔を見つめた。
さらりとした茶髪の下に、長いまつ毛が見える。
眠る顔は女神のようなのに、挑発的なピアスがいくつも耳元に光っていた。
その不揃いさが、urの美しさをより際立たせている。
yaは自分にかけられた毛布を一枚とり、urにかけた。
「心配してくれたんだな、、、ありがとう」
「悔しいけど落ち着くわ、、」
体熱感とは別の暖かさを右手に感じながら、yaは目を閉じた。
数時間前
yaの部屋から出たurはスマホを開く。
( ♪ )
「もしもーし!」
『あ、jpさん?昨日はありがとう』
愛し合うつもりだったのだろう。
ttに覆い被さりキスしようとしていたjpはスピーカーに切り替えた。
「こちらこそ!またすぐ集まろうね!」
「てかどうしたの?何か忘れ物?」
『いや、yaくんが熱出しててさ』
「熱!?」
「ほんま!?珍しいな」
「大丈夫??ひどい?」
『悪態つくくらいには元気だけど、さすがにきつそうかな』
『とりあえず薬飲んで休んでるんだけど。胃に負担のない、風邪のとき食べられるものって何かなぁって』
「あー、俺良くわかんないなあ、、、」
「俺もお粥とかゼリーくらいしか浮かばへんなぁ、、調べてレシピ送ろっか?」
『お願いしていい?俺飲み物とかゼリー買いに行くから』
「まかせろ」
「…そういえばkrptができる前なんだけどさ、yaくんが熱出したことがあって。 その時も朦朧としてキツそうだったんだけど、、、」
jpとttが1度目のシェアハウスをしていた頃。
冬期休みを利用して広島から上京したyaは、その日の夜に熱を出した。
jpもttも、まるで幼な子が発熱したかのように慌てふためいていた。
「yaくん大丈夫、、!?」
「こんな震えて大丈夫なわけないやろ!おいyaくん、俺らがわかるか、、!?」
「ぅん…ハァハァ」
「tt、俺水たくさん買ってくる!」
「じゃあ俺、お粥とか食べれそうなもん作ってみるわ、、!」
「ゼリーとかがええのか!?」
「…」
「…待って」
「?」
「どした?」
「…いかないで」ハァハァ
「二人ともここにいて…」
「手、握っといて…」
jpとttは顔を見合わせると、心細そうにこちらを見るyaに微笑んだ。
「…うん、いいよ!」
「…しゃーないな」
「…てことがあってさ」
「あったなー!結局俺とjpにうつしてすぐ元気になってたな!」
『笑』
「…yaくんが子どもの頃、お母さんにそうしてもらったんだって」
「見た目は大人に近づいてるけどさ、中身はまだ強がりで寂しがりのyaくんだから。多分今心細いと思う。良かったら手を握ってあげてよ」
『…』
「俺らも今から準備してそっち向かうわ」
『…ありがとうjpさん、ttさん』
電話を切る。
urは静かにyaの部屋に戻った。
翌朝
「うぅ〜」
「urりん、、大丈夫?」
「水飲みや、ほら」
yaはすっかり解熱し、その代わりurが倒れた。
「ほんと俺のせいで、すみません」
「人にうつすのがデフォなん?」
「とりあえずゆっくり休ませよ。yaくんもまだ無理しないで。俺らは下にいるから、何かあったら言ってね」
jpとttは静かに出ていった。
洗濯機の操作音や、キッチンで作業する音が聞こえてくる。
yaはurのベッドサイドに腰掛けた。
しおらしく俯いたまま、ぽつりぽつりと呟く。
「ur、、ごめんな」
「俺にマフラー貸してくれて、昨日は看病までさせたのに、 俺の風邪うつしちゃった」
「ごめん…」
「ふざけんなよお前…」
urはため息をつく。
yaは益々小さくなった。
申し訳なさに、手に力がこもる。
そんなyaの手を、urの手が包み込んだ。
「まぁ、yaくんが元気になって良かった」ニコ
「俺は大丈夫だから、いつも通り生意気でいろよ。却って心配になるわ」
「…」
「…とりあえずそこにいてよ」
「うん…」
下の階からjpとttの声が聞こえてくる。
urは弱く咳をしたかと思うと静かに寝息を立てはじめた。
urの冷えた手を、yaはそっと握り返した。