Ambivalence
逃げる??いやまだ間に合う何事も無かったかのように……まて、歩くなこっちに来るなおいまてちょっっっ、……
コツコツとブーツの音が鳴る。少しひんやりした空間。これから訓練を受ける2人は準備に取り掛かる。残りの2人は??
「ご無沙汰してます鳴海隊長」
「……あぁ、」
乱暴に上着を肩にかけペットボトルを持ち立ち上がる。ズボンに着いたホコリをぱっぱっとはらい歩き出す。
いろいろと考える。未来を見るように自分の脳内で未来を想像して見る。きっとずっとこの場にいるとまた自分の気持ちが下がる気がする。四ノ宮と日比野。弟子なのかは知らんが一応、よく肩を入れて教えている。真剣だが楽しそうに…、そんな風景をまた見るのはゴメンだ。
またあの日見た光景になるとか無理だ。
弱いから逃げる。でもそーでもしないと自分を守れない。ボクがボクを守るための行動。別にいい。これが正しい。
が、そうも上手くいかない
手を取られる
少し振り返る。目は合わせない。
何日引きずってんだボク、……根に持ちすぎだよな。でも……、、
…人との距離がバグってるお前が悪い……、、
「…なんだ」
「鳴海さん」
おい仕事中だぞ
いいのかお前。。。
いつも、…いつもあんな嫌だって言ってたくせに……なんでこーゆー時だけッ、……
「明日、…非番ですよね?」
「、そうだが??」
「僕もなんで今日一緒に帰りません??」
ボクにしか聞こえなくて届かない声
少しだけ顔を見るとコテンと首を傾げて答えを待ってる
かわいいっ、……断れないだろ!!!
「…この後仕事は」
「ふふ、鳴海隊長とちゃいますから全部終わっとります。」
「2時間後にそっち行くんで仕事しといてくださいね」
「ふん、」
嬉しいのか嬉しくないのか。
こんな複雑な気持ちで帰りたくはなかった
もっとちゃんと、………、、、、
いや気にしないのがいい。気にするなボク。普通の保科があれだ。ボクだけとか束縛すぎるだろ、……焦るな。重い男は嫌われる。いつも通り接するだけ。。。
また考える
平等
優しさ
好きなところ
1番
嫌い
苦手
ボクだけ
他の奴
分け隔てなく
嫌い
好き
嫌い
束縛
重い
嫌われる
焦らない
落ち着け
落ち着け
落ち着け
落ち着け
落ち着け
何が正解か分からなくなってきた
どうしたらいい??ストレートに言った方が??タイミングは??その話題に持ち出すには??切り出すには??いつ言う??そんな事言ったら引かれるんじゃ、??重い??束縛??嫌われる??
不安と焦り、それから好きなのに嫌い
全ての感情が渦巻く。せめぎ合う。今にでもすぐに吐き出したいぐらい。でもできない。ボクが弱いから。保科に嫌われたくないから。
それに保科の”優しさ”を好きになったのに、”嫌いになってしまった”なんてこと、絶対に認めたくないから。好きが嫌いになるなんてきっともう終わりなんだ。認めたくない。
でもそんな薄っぺらな感情でいいのか??保科が可哀想だろ。やっぱり言うべき??それとも別れる??
ぼーっとしながら歩く。頭の中はパニック情報が渋滞。
どんッ
誰かとぶつかる
「うぉ、……」
なんだこいつバカでかいな……
「…しっかり前を見て歩け鳴海」
「…長谷川かよ」
「何を期待してるんだ」
「早く仕事をしろ」
「それどころじゃない」
「暇そうだが??」
「絶賛脳内仕事中だ」
「はぁ、…なんでもいいが仕事しろ」
、
2時間
経ったぞ
なんとも言えない感情で待つ。
「失礼します〜」
時間通り……
「急にすみません」
「もう出れますか??」
「帰るぞ」
、
寒、
明日からマフラーか、、??
有明からふたりで帰る時は決まって保科の車に乗って帰る。駐車場までは少し距離があるから、数十分歩く。いつもなら基地を出てすぐ、手を繋ぐ。自然な流れ。ほんとにすぐ、出てすぐ手を繋ぐ。無意識??
でも今日は違う。違うから、…少しだけ寂しいからポケットに手を突っ込み、ポケットの布越しから自分の手を握り、掴む。
それにしても今日は保科が静かだ。いつもなら、ここ最近は一方的にずっと話しかけてくるのに今日はやけに静か。
~
何分?5分ぐらい歩いたかな
信号待ち。怪獣の信号はライトがついていない。あのライトがついてないだけでこんなにも安心するなんて。すごく平和。何も考えずに普通に保科とすごしたかった。手を繋ぎたかった。
、、、
少し、やっぱり保科の静けさに耐えられなくて視線を落とす。
ばっちり
目が合った。
焦る。慌てて視線を落とす。
心の中の絡まっている糸が少し、ほんの少しだけ緩くなった気がする。
いつぶり??1週間ぶりか??それ以上?久しぶりに目が合った。さいあく、嫌だ、。。保科と目が合っただけなのにこんなにも安心するなんて。
自分のしょうもないプライドが邪魔で目すら合わせることができなかった。ボクはお前のためにたくさん考えた、今だってお前で頭がいっぱいなのに、……ずっと悩んで悩んで考えた。好きと嫌いでずっと悩んでるしずっと気分が落ちてた。何回お前に泣かされたか!!(メンタル)もう分からない。ずっとこんな感じだったのに、……保科と目が合うだけで、焦りも寂しさも、ちょっとだけ緩くなるなんて。ボクはほんとになにがしたいんだ、。
保科が視界の外でこちらを見ている
「…目ぇ、久しぶりに合った、。、」
なんで言うんだ!!!!!!
「、……」
しばし沈黙
道路の信号はまだ青。でも車は全く通らない。基地の付近だから都会みたいに大きな電子看板はない。ひたすらに静かで街灯が付いている。
そんな静かさを切り裂くように声が聞こえる。
「、なあ、……鳴海さん」
「1週間ぐらいまえから」
「やっぱなんかあったやろ、??」
「僕、……なんかしました、?」
「なんかしたら謝りたいし、……」
「その、…もう、嫌いならハッキリ言って欲しいです、。。」
くい、と袖を掴まれた
ぷつん、とその瞬間なにかが切れた。
今までのことが吹っ切れる。
視界が揺らぐ。眉を下げてボクの服の袖を掴む。ずっと、ずっと1週間。ボクは保科に対して距離を置いてなにもかも流してきた。
「…隠さないで、教えてください、。」
「お願いします、……」
肺に空気を、酸素を巡らせ一息。
「……1週間ぐらい、前、」
「の、…合同練習のとき、………」
ねくすと70
またじかい✩.*˚
コメント
6件
うわぁああついに伝えられそう…!!😖😖🫶🏻🫶🏻🫶🏻🫶🏻 どんなに鳴海さんのプライドがエベレスト並みに高かろうと、保科さんの可愛さには抗えないのやっぱりまだ大好きで大切なんだなって伝わってきて愛おしいです🥹🥹💖💖💖💖 保科さんとしても、この状況長続きさせたくないんだろうなっていうのが保科さんを表す文章からひしひしと(?)伝わってきて、愛しさと可愛さと庇護欲の化身みたいな…もう最高すぎます🥹🫶🏻🫶🏻🫶🏻
素敵😍 作りが上手すぎます!読むこちらが楽しく読めます😆これからも頑張ってください!!