「りいぬにいっころにぃ!おかえりなさいっ」
なにかお買い物に行っていたらしいりいぬにいところにいは、両手に大きな可愛い袋をぶら下げていた。
おにいちゃん特性の、いちごのワッペン付きのマイバッグがぱんぱんに膨らんでる。
「あ”ぁ〜……さっむ……」
「なんか急に冷えたよねえ、るぅちゃんただいまあ、お留守番ちゃんとできた?」
「うん!できたよ」
「あーっそういえば、チョコレート買ってきたよ。夜ご飯までこれで待っててくれる?」
「やったあ!ありがとっ」
りいぬにぃは今日ご機嫌みたい、なんでだろ?
「はい、ころんと分けて食べるんだよ」
「ぇ”……」
りいぬにいが僕に渡してくれたのは、ミルクとホワイトの混じった可愛いちょこれーと。
りいぬにぃはころにぃと分けろって、でも…
「…ころにぃには、ちょっとしかあげない」
「……ぼくバナナ食べてるから要らない」
りいぬにぃには悪いけど、今僕はころにぃと喧嘩中。
理由は、ころにぃが僕のことを無視するから。ゲームを誘っても、一緒に寝ようって言っても、ぜーんぶ無視無視無視!拒否され続ける。前はお風呂も寝るのもねるのもずっと一緒にしてたのに。
そんな僕たちをみかねてりいぬにいが話しかけようとした。したんだけど
「ただいまー」
「あっ、お…おかえりなさいっ」
たまたま帰ってきたさとにい。怒られるのがいやだった僕はさとにぃのお出迎えをしに玄関に逃げた。
「ただいま、るぅともおかえり」
それなのに、さとにぃはぼくの横をすぐ通り過ぎていっちゃった。しょうがないからリビングに逆戻り。
「うお、なんか荷物多くね?何買ってきたん?」
買い物袋の多さに気づいたさとにぃが指摘して、それを待ってましたといわんばかりにりいぬにぃがニヤニヤした。
「ふふーん。よくぞ聞いてくれた!じゃじゃーーーんっコスプレ衣装!」
「……コスプレ衣装?」
あまりにも急だったから面食らった僕とさとにぃに、ころにいが説明してくれた。
「だーかーらあ、あさってハロウィンでしょ。みんなでいっしょにパーティしようねって話してたじゃん。」
「あ、はろうぃん……」
「なんかキャンペーンしててね、安かったからたーーくさんレンタルしてきた!着たいのある?」
「俺夜ご飯作ってくるから選んでていいよ。」
「うーん……」と決めかねてるぼくを横目にころにいとさとにいが衣装を漁っていく。
「僕これがいい」
ころにいが選んだのは、シンプルな白衣みたいなの。
理科の先生?かなあとも思ったけど、それはころにぃの追加で持った聴診器で、お医者さんのコスプレという事に気づいた。
「いいじゃん、ころんシンプルに似合いそう」
さとにぃが賛成したこともあり、ころにぃのコスプレ衣装はお医者さんで決定した。……ほかのも着て欲しかったけど
ぱぱっと説明すると、りいぬにぃは 「お前も料理できるんだからついて来い」ってさとにぃを連れてキッチンに行っちゃった。
……どうしよう、2人きり。
「るぅとくんは?着なよ」
「僕は別に……決まってないし」
「はあ?だから決めようっつってんでしょ」
強く言わなくていいじゃん…嫌われるのはさみしい。でも今は誰も助けてくれない。
だから、ほんの出来心とさみしい本心でいじわるを言った。
「…ころにぃは僕なんて興味無いでしょ。」
「んでそうなるんだよ、そんなこと一言もいってないやろ。大体お前なあ…」
「じゃあ、なんでゲームしてくれないの?」
「…先週テストだったし、終わったらって言ってたじゃん」
ほら、やっぱり僕のことなんかすきじゃないじゃん。
ころにぃはさらに何かを言おうとして、そしてやめた。
またりいぬにぃから受け取った袋の中をあさることにしたらしい。
ひねくれてるのは分かってるけど、それでもぼくを優先して貰えないことを知っていやなきもちになった。
今年のハロウィンはぼくのお誕生日会も含めてるのに
「るぅとくん、これは?」
「どれですか?」
「これだよコレ。」
取り出して渡された衣装を広げるとうさぎのカチューシャと黒い布……?あ、これお洋服になってるんだ。
……って!?
「ちょっと!?なんですかこのお洋服!?」
「くふふ」
「くふふじゃなあいっ」
ころにぃが選んだのは布面積が少なすぎるうさぎさんのカチューシャと黒い服がセットになってるもの。バニーガールの衣装ってかいてあるけどそんなの嘘。ただの布!
なんでりいぬにぃはこんなの買ったのか不思議
安いからって要らないものまで買わないのって後で注意しないと
ころにいは「ごめんね?ほら、ゆるしてよ」って、
最後に微笑んでぼくをなだめた。
「じゃあ、これ着てみてよ」
「これって……はむちゃん?」
改めて指されたものをみると、はむすたーの耳がついてるゆるい着ぐるみみたいなもの。正直ハロウィンぽくはない。まあ、さっきの露出多いやつよりは…いいかな?はむちゃんかわいいし。
「……可愛い、ぼく、これにする」
「マジ?着てみなよ」
「…うん。」
♡
言われた通りに目の前ですぐに着替える。
かわいいって、言ってくれるかな。
上のぱーかーを着て、ズボンを脱いで履き替えて。最後にはむちゃんの耳付きフードをかぶれば完璧。
鏡は無いけど多分大丈夫。そう思ってころにぃの方を向く。
「いいじゃん、似合ってるよ。」
ころにぃも今のタイミングで白衣を着ていたようで、いつもと違う格好で向き合うのが少し恥ずかしく感じた。いつもとちがうから、恥ずかしいんだ。決して褒められたからとかじゃない。
ころにぃがゆっくり近づいてきて、ぼくのはむちゃんフードを外して頭を撫でた。あぁ…せっかくのはむちゃんなのに、どうして取っちゃうの?
それでも頭を撫でられるのはすきだったから、嬉しくて少しだけ近づく。近づいたから、久しぶりにころにぃと近くで目が合う
……あ。
「ころにい、唇切れちゃってる」
「うわ、まじか。リップクリーム持ってる?」
「ううん、もってない」
「次に買い物に行く時にでも買うかぁ」
唇はカサカサだったけど顔の血色はいいし、なんか元気そうでよかった。安心。……あれ
「ああああ!?」
「あ!?は?何?」
安心してふと思い出した。
そういえばぼくももうすぐテストなんだった!?
「こ、ころにぃ……お勉強教えてください…」
「は?え、いいけど…」
お勉強……あとでころにぃかりいぬにぃに教えてもらわなきゃ。ころにぃは普段あんなのでもスイッチが入れば完璧お兄ちゃんになるもん、多分…
ぼくはころにぃの教え方が上手な所がすき。たまにだけどね
ぼくはお勉強もお料理もにがて。それでもお兄ちゃん達がいるから大丈夫。いつかできるようになるもん
「……ぅ」
「るぅちゃん、眠いの」
「ん…ちょっとだけ」
「まだ夜ご飯まで時間あるし……寝ててもいいよ。行こっか」
今はもう少しあまえるだけ……ね
下で珍しくりいぬにいとさとにいがゲームしてる声がする。
その声で、ゆっくり、意識が戻ってくる。
隣にはまだころにいがいて、さっきとおんなじ白衣を羽織ったまんまだった。
「……着替えないの?」
「…おはよ」
「おはようございます」
僕の質問にはむしをしてころにぃは続けた。
「せっかくだしさ、るぅとくんのこと、診察してあげるよ。」
「診察?何するんですか?」
「心臓の音聞くとか?」
「おいしゃさんごっこ?」
「うぅん…まあ、そんな感じ」
そう言って近くの机の上に置いてあった聴診器を手に取る。今更だけど、ぼくもころにぃもハロウィンって感じしないなあ。もっとこう、血が着いてたり怖いものを想像してた。これじゃまるでほんもののおいしゃさんみたいじゃん…
ころにぃが立つから、座ってる僕を見下ろす
そのころにぃをぼくがみつめる。視線が絡まって、外すにも外せなくてころにぃの瞳の色を眺めた。かっこいい
ふいにゆれるまつ毛が長くてきれいだなって、もっと近くでみたくて少しだけ、少しだけ近づいた。
…
あ、今、絶対ころにぃも僕も 変なこと 考えた。
「……ばか」
「はあ!?なんでだよ!!?」
まだ寝起きな僕の弟。
僕の言うことになんでも噛み付いてくるけど、最終的にちゃんと聞いてくれる。
「じゃあ、はかるよ」
るぅとくんの服の中に手を入れる。肌綺麗、まっしろですべすべ。可愛い
「ころにぃ…?」
僕の様子を伺うように聞いてくる。
服のはだけたところから鎖骨が見える。
「ころにぃじゃ、ないみたい。かっこいい、」
るぅとくんの声、いつもより低くて、あまくて、僕のことが好きってバレバレな声。
その声に乗せられた熱が僕に感染する。
熱っぽくて体に悪い。悪すぎて、僕まで熱くなる。
ドキ、ドキ。ドキ、ドキ。ドッドッドッド。
「聴診器、るぅちゃんのせいでドキドキうるさ……」
るぅとくんの真っ赤な顔が僕を見つめる。
多分だけど、僕の顔も真っ赤。
「ころにぃの、唇…切れてる」
さっき注意された事と同じ。
そんなに僕の顔が気になるんか。
「え?ぁ、あぁ…だから今度」リップクリーム買いに行くって。
そう言____おうとした。
気づいたら、
「…ぁむ」
るぅとくんの熱に、飲み込まれた。
「……は 。」
「…い、イタズラ……しちゃった、」
るぅとくんが、僕の唇を喰んだ。
その瞬間で、僕の我慢は限界を迎えた。
すぐに離れていった ソレ を、どうにか捕まえようとるぅとくんの後頭部を掴む。
「るぅちゃん、大人をあんまり煽っちゃダメ…だよ」
囁きながらるぅとの両手首を一纏めにして片手で壁に押さえつける。軽くもう一度キスをして耳に息をかけると、それだけでるぅとは感じたことの無い感覚に体を震わせていた。
まるでころんにこうされるのが嬉しい、と思わせるような反応で
「ぁ、あっあ…ん、ふ…ぅあ♡?」
上顎の歯列をなぞると、ぴりぴりと甘い電流が走りるぅとの声で溢れた。逃げようとしているのか足で押し返しているけど、首筋に手を当てて上からなぞると、力が抜けて抵抗も無くなった。
酸素が足りなくなってきているのか、思考が堕ちて、意味の無い あ だとか う のような母音が零れる。
「ぅーっ…あ♡」
無意識に閉じてる瞼から流れる涙を眺めながら、そっと離れた唇をなぞって囁いた。
「すきだよ」
るぅとは喘ぎとも返事ともとれる吐息を吐いて、そのまま僕の胸に倒れ込んだ。
♡
「ころにぃのばか…っばかばかばかばか」
「はあっ?ちゅーしてきたのはるぅとくんじゃん!?」
キスしていたとき、るぅとくんはずっと目を閉じたままだった。
可愛い暴言を吐いて、ほんの少しだけ眩しそうにしてからぼくの白衣に突っ込んできた。おいコラ、よだれを付けるんじゃない。
ていうか、お前眠いだけだろ。
薄いクリーム色のはむみみのフードで頭と顔を隠するぅとくん。フードの奥に照れてるるぅとくんが聴診器の音に伝わって視える。
「もうむり、ころにぃとゲームもちゅ…ちゅーも一生しません。心の準備だってできてなかったのに、ひどい」
「それは……ごめん、許して」
「むりです!一生がまんしてください!」
我慢しろって言う割に、手を繋いで指を絡めてくる。
そういうところだよなあ。
「一生はながすぎるけど、次のるぅとくんの誕生日までは我慢してあげるよ。」
可愛い僕のるぅとくん。
少しえっちなイタズラっ子でわがまま
「…そのときにまた、すきってゆってくれる、?」
ぼくはるぅとくんが好き。たまに煽ってくるところはムカつくけど
「……っあ”〜もう!一生好きだってば 」
お誕生日おめでとう
ほんとに大好きだから、
もう少しだけ、いじわるなお兄ちゃんで居させてね
♡
♡222で次回作公開
リクエストがあればどうぞ。フォロバも一言貰えれば致します
コメント
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え、、主さん神✨ ありがとうございました<(_ _)>