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愛の充電器がほしい

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愛の充電器がほしい

43 - 第43話 感情のむき出し

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2025年02月13日

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朝井の家では台所で恭子が荒ぶっていた。

ガシャンガシャンと泣き騒ぎながら、皿洗いをしている。


「ねぇ、どういうこと?! 翔太郎さんの息子の颯太くんが結婚相手って、私、絶対無理よ! いろいろあったのにどう顔合わせすればいいって言うのよ。なんで、美羽は勝手に決めちゃうのかなぁ〜」


ギャーギャー言いながら、洗い物をしては、シンクに落ちたコップや皿が時々割れていた。


「お母さん、落ち着いて!!」


美羽の妹の琴音は、背中に手をやって気持ちを落ち着かせた。


「無理よ、どこ落ち着けって言うの! 私は美羽の結婚絶対反対だから」


「わかった、わかったから」


琴音は自分ではらちが開かないとスマホを取り出して、父の和哉に電話をする。



「お父さん!? 今、どこ? お母さんが荒れているよ。電話口で聞こえるでしょう。また、お皿割っちゃってるよ」


『わかった、行くから。落ち着けって。琴音、そこで待ってて』


「早く来てね!! 私じゃ、対処しきれないから」


母の恭子は、重度の更年期障害に見舞われていた。前からめまい、うつ状態、不眠、イライラなどの症状が出ていた。特に感情の起伏が激しくなっていた。病院嫌いの恭子は、市販薬の漢方薬やサプリメントでごまかしてきたが、薬の継続力がなく、なかなか安定しなかった。


颯太の運転で和哉は実家の家までファミレスから移動していた。

土砂降りの中、傘もささずにあわてて家の中に入った。


「ただいまー。琴音! 大丈夫か?」


「お父さん、早くぅ。お母さん、台所にいたから」


琴音は玄関先に向かって、恭子がいる台所へ誘導する。

床を拳でたたきながら、泣き叫んでいる。もう、何を言ってるかわからないくらい顔がグシャグシャだった。


「もう、お父さんがいないから!」


泣きながら、和哉の肩に手を回して、恭子はハグをした。少し離れるだけで寂しい気持ちが生まれるらしい。

和哉は恭子をヨシヨシと背中を撫でて、落ち着かせた。やっと落ち着いたようで、琴音はため息をついた。

なんだかんだ言って、この夫婦は仲が良いんだなと実感する。


「あのー、大丈夫ですか?」


心配で様子を伺った颯太は、玄関先から声をかけた。その声を聞いた恭子はすぐに誰かわかったようで、鬼のような形相になっていくのがわかった。琴音はこれはまずいと玄関に向かって、颯太に近づかない方がいいですと小声でジェスチャーしながら外の方へとうながした。


空気を読んだ和哉は思い出したように


「そうだ、恭子。颯太くんから聞いたんだけど、翔太郎夫婦は、美羽がだいたい高校生くらいの時に交通事故で亡くなってるらしいぞ。知ってたか?」


「え………」


鬼の形相の顔がいっぺんして、か弱い少女のような優しい顔へと変わっていく。そして、眉毛が垂れ下がる。


「うそ、しょうちゃんが?」


「え、まずかった?」


「ううん。本当にいないの? 死んじゃったの??」


「え、うん。そうみたいだけど。颯太くん、そこにいるから聞いてみたらいいよ」


「……」


無表情な顔で、恭子はズンズンと玄関にいる颯太のところへ向かった。


「ちょっと、お父さんに聞いたんだけど、翔太郎さんたちが亡くなったって本当なの?!」


何故か喧嘩こしに聞いてる。怖がりながらも小声で答える。


「は、はい。俺が、高校生の時に交通事故に遭いまして……。トラックとぶつかり、正面衝突で即死と聞いています」


その声に反応して、またさっきとは違う涙をポロポロと流した。


「嘘よ、しょうちゃん、なんで、先に逝っちゃうのよ。私を置いていくなんて……。ひどい」


またその場で泣き崩れる。まるで悲劇のヒロインを演じてるかのようだった。



(おいおいおい。旦那、ここにいるぞ)



和哉は自分の顔に指差した。琴音と颯太は苦笑いだった。



「颯太くん!! お墓参りしたいわ! 今すぐ連れてって」


恭子は泣き縋るように颯太にくっつく。少し体を後退させながら。


「え? あ? はい? 今ですか? ……でも、美羽と紬がレストランに置いて来てて……」


「颯太くん、恭子を連れてってあげて。俺が、美羽と紬ちゃんを迎えにいくから。ごめんね、面倒かけるけど………」


(旦那という俺を差し置いて、なんで翔太郎の墓参り……。やっぱり今でも思いはあったのか?)


「わ、わかりました。よ、よろしくお願いします」


「あ、私も一緒にいいですか?」


「え?」


琴音が手を挙げた。


「多分、母の対応に困ると思うから。本当は、父が着いていけるといいんだけど今回は仕方ないかなと」


「そうですね。お願いします」


「お墓って、近所にある?」


「あー、少しだけ遠いですけど、ここからだと20分くらいの場所です」


「割と近いね。それじゃ、お願いします」


「……」


急におとなしくなった恭子は、琴音にしがみついて車に乗り込んだ。

颯太の運転で両親の眠るお墓に向かった。雨はだんだんと小雨になりつつあった。



***



その頃の美羽と紬は、レストランでの食事を終えて、デザートを食べようと大きなチョコレートパフェを注文し、2人で仲良く長いスプーンで分け合って食べていた。

さくらんぼはどっち食べるかとか小さなチョコケーキはどうするかで盛り上がっていた。


大きすぎてなかなか下まで到達するのに時間がかかっていた。


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