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鷹槻れん

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#極道
鷹槻れん

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月詠 涼
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(初めての時は痛いって聞いた……!)
今更のように自分がそういうことをしたことがないことにハッとして……カムカムの休憩所で自分より年若いバイトの女の子たちが、彼氏との初体験後に『とにかく痛かった!』だの『私、痛すぎて泣いて最後まで出来なかった!』だの言っていたのを思い出してしまった。
つい雰囲気にほだされて、京介からの誘いに頷いてしまった芽生だったけれど、にわかに落ち着かない気分になってくる。
それで京介が「芽生……」と熱っぽく囁いて、芽生の頬へ触れて来た時、思わずビクッと縮こまってしまったのだ。
***
最初、京介は芽生が慣れ親しんだ彼女の寝室へ向かう方がいいだろうか? と考えた。
だが、芽生が〝こういうこと〟をしたことがないと言っていたのを思い出して、行き先を自室へと変更する。
芽生の部屋のシーツは、芽生の気持ちが少しでも晴れやかになるようにと女の子らしい明るめのものにしてあったから、よもやの時に痕跡が目立ってしまいそうだと思ったからだ。
その点、京介の部屋のシーツは黒なので、少々の汚れは目立たない。
今までそんなことを考えて女を抱いたことはなかった京介だけど、芽生が相手だとつい考えてしまうのだ。
行為が終わった後、芽生ならきっと……シーツに血が付いていたりしたらそれを申し訳なく感じたり恥ずかしく思ってしょげたりする。
〝初めて〟の行為で、芽生にそういう嫌な思いは微塵もさせたくない。
殿様が入って来られないよう寝室の引き戸を足でぴっちり閉ざしたのだってそうだ。猫だから見られたって構わねぇだろというのはあくまでも鈍感な自分の感覚だし……芽生ならきっとそういうのも気にしてしまう。
(あー、けど……)
考えてみれば殿様は〝オス〟だ。そう思うと芽生の身体を見せるのは何だか面白くないと思ってしまった。
(俺も大概だな……)
こんな感覚は初めてだ。
犬猫にだって……芽生の痴態を見せたくない。芽生の可愛い姿を見られるのは自分だけでいい。
芽生をそっとベッドに降ろして、とりあえずスーツのジャケットとベストを無造作に脱ぎ捨てベッド下へ放る。無意識にネクタイをグイッと緩めたのは、思いのほか興奮していて暑く感じられたからだ。
そうしておいて、芽生の長い髪の毛を押さえつけてしまわないよう細心の注意を払いながら彼女の顔の両サイドへ手をついた。
閉じ込めるみたいに囲い込んだ芽生の顔が、間接照明とブラインドの隙間から漏れ入る月光に淡く照らされている。
芽生の瞳は恥じらいと戸惑いに揺れていて、そのなかに少なからず〝脅え〟も混在しているのを嗅ぎ取った京介だ。
それを宥めたくて芽生の頬へ手を伸ばしたら、逆に余計脅えさせてしまったらしい。
ビクッと身体を跳ねさせてギュッと縮こまる芽生を見て、このまま進んでもいいのか迷いが生じてしまう。
それで、京介はしばらく芽生を見下ろしたまま動けなかった。
下腹部は芽生を求めて反応し始めているけれど、それを悟られないよう気を付けながら、
「……今なら、まだやめられる」
掠れるような声でそう芽生につぶやいたら、芽生が瞳を見開いた。
「……やめないで」
ふるふると首を横に振りながら、震える声で意思表示をした芽生が、まっすぐ京介を見上げてくる。
それを聞いた瞬間、京介の心の奥底で何かがほどけた。
「……このまま進める覚悟、できてるって思っていいんだな?」
低く囁くように尋ねると、芽生がこくんと頷いた。
京介はそっと芽生の頬に手を添えると、指先でその熱を確かめるように撫でた。芽生の身体が戸惑いにびくりと震えるけれど、その反応すら愛おしくて、どうしようもない。
「……なるべくお前がしんどくねぇよう優しくする」
京介の言葉に芽生がこくん……と恥ずかし気に首肯するから……京介は吸い寄せられるように芽生との距離を削ると、彼女の小さな唇へ自らの唇を重ねた――。
***
京介の唇が離れた瞬間、芽生の頬がふわりと熱を持つ。紅に染まった芽生の唇から、ふぁっと小さく吐息が漏れた。
京介はそっと芽生の髪を撫でながら、そのまま耳元に口を寄せる。
「……怖いか?」
京介からの自分を気遣う言葉に、芽生は一瞬だけ目を伏せた。けれどすぐに小さく息を吸って、震えながらも京介をじっと見上げて告げるのだ。
「……ちょっとだけ。でも……相手が京ちゃんって分かってるから、大丈夫」
その言葉だけで、京介は芽生から全てを許されている気がして……もう一度芽生を愛しくて堪らないという熱のこもった目で見つめる。
「なぁ芽生。これからは俺のこと京介って呼んでくれねぇか?」
京介の真摯な眼差しに、芽生は彼の頬へそっと手を伸ばすと、恐る恐る「……京介」と愛しい男の名を呼んだ。
その声に誘われるように京介の顔がもう一度芽生の方へ近付いてきて、そっと唇が重ねられる。
先のキスは唇が触れ合うだけのバード・キスだったけれど、今回のは芽生のゆるりと解かれた口のあわいを縫うように京介の舌が挿し込まれてくる〝大人のキス〟だった。
初めてのディープキスに、芽生は京介の舌先に翻弄されて頭がぼんやりしてきてしまう。
「ぁんっ……」
ぬるりと口蓋を撫でられた瞬間、ゾクリと身体が震えて、自然鼻を抜けるような甘い声が吐息とともにこぼれた。
芽生をキスで恍惚とさせながら、京介の手がゆっくりと芽生のワンピースの前開きボタンへ触れる。芽生がキスに夢中になっている間にひとつ、またひとつ……と、幽けき音を立てながらボタンを外していく。そうして京介の手がやんわりとレース素材の薄い生地越しに芽生の胸を包んだ瞬間、初めて衣服が乱されていることに気が付いた芽生が、ビクッとして瞳を見開いた。
慌てたようにイヤイヤをして京介の口付けから逃れると、
「やんっ、京……ちゃん……」
恥ずかしさに震える手でギュッと京介の手を掴んだ。
そんな芽生の抗議の声に、「京介……」と訂正してから、まるでそれを諫めたいみたいに京介の指が布越しに芽生の胸の頂をカリッと引っ掻く。
あんなにも呼ばれることを拒んでいたはずの名前を呼べと求めてくる京介に、芽生は戸惑いながらも「京介……」と懸命に恥ずかしさを堪えて胸の上に載せられた京介の手へ、自分の手を重ねた。
京介の大きな掌に包まれた下で、心臓がせわしなく高鳴っているのが、彼の手を介していても響いてくる。そこへ直に触れている京介にだって、それは伝わっているはずだ。
その証拠だろうか。
京介が芽生をじっと見下ろして、「続けても……いいか?」と気遣わし気に問い掛けてきた。
これ以上先へ進んだら心臓が壊れてしまうんじゃないかと思った芽生だったけれど、そっと伸ばしたもう一方の手が触れた京介の心臓も、自分と同じくらい忙しなく動いているのを感じて、コクッと頷かずにはいられない。
「京、介……も、ドキドキしてる?」
いつものように〝京ちゃん〟と言いそうになるのをなんとか訂正してそう問い掛けたら、「ああ。情けねぇーけど……お前が相手だと俺は初心者に成り下がるみてぇだ」とバツが悪そうに京介が苦笑する。
その表情が何だか新鮮で可愛くて……芽生は「嬉しい……」とつぶやいていた。
京介は巨乳フェチだと、千崎の言葉から何となく分かっていた芽生だったけれど、京介は芽生が想像していたよりずっとずっと胸が好きみたいで……。執拗に撫で回され、吸い上げられ……愛され尽くした芽生の胸は全体がほんのりと薄紅に色付いて熱を持っていた。
好きな男から胸に触れられるのが、こんなに気持ちいいだなんて知らなかった芽生は、熱に潤んだ瞳でただただ快感に悶えることしか出来なかった。
時間をかけて可愛がられキュッと立ち上がった乳首は、今や京介の吐息にさらされただけで期待にフルフル震えてしまう始末。そこを京介の温かな口中へ咥えられた日には、触れられてもいないのに下腹部がキュンと疼いて下着がじんわり濡れてしまうのを感じた。
(なにこれ、なにこれ、なにこれっ)
未知の感覚の連続に、芽生は頭が混乱してしまう。
ただひとつ分かっているのは、今、とっても恥ずかしい状況にあるということだけ。芽生はその気持ちを逃がしたいみたいに、無意識にギュッとシーツを握りしめていた。
京介は白くなるぐらいギュッと力を込めてしまっていた芽生の手をそっと包み込むと、
「そんなに固くならなくても大丈夫だ、芽生。ちゃんと……お前のペースに合わせる……」
そう言って笑ってくれる。
けれど芽生はそんな京介の下腹部がガチガチに固くなっていることにちゃんと気付いていた。
京介の言葉に、芽生はほんの少しだけ呼吸を緩めると、シーツから離した手を京介の頬へそっと伸ばした。
そのまま指先を滑らせて京介の唇にやんわり触れると、「私、お腹の奥がムズムズしてる、の……」と暗に自分も彼を求めているのだと示唆してみた。
慣れた女性ならもっと上手で直接的な誘い方が出来たのかも知れないけれど、初心者の芽生にはそれが精いっぱいの誘い文句だった。
芽生の言葉に京介が唾を飲み込んだんだろう。喉仏が上下するのが見えて、それがたまらなく色っぽいなと感じて、芽生はドキドキしてしまう。
「芽生……」
京介が芽生の肌に触れる指先はとても優しくて、気遣うように温かかった。いつもは頼りがいのある〝京介〟なのに、どこか自分のことを扱う手つきが、怖いほど丁寧だった。
最後の砦みたいに身に着けたままだったショーツがおろされて、芽生は物心ついて初めて……人前で生まれたままの姿になった。
晒された肌にひやりとした空気が触れて、芽生は思わず身を竦める。
すかさず京介が「冷たいか?」と気遣わし気に問い掛けてくるから、芽生は慌てて「……ううん。びっくりしただけ……」とぽそりと答える。
京介はそんな芽生を優しく抱き寄せると、己の腕の中へギュッと包み込んだ。
コメント
2件
今ならまだやめられる、って言われてもきっとめいちゃんがやめたくないのよね💦 京ちゃん、京介って呼ばれたいんだね!
読了しました……もう、胸がぎゅっとなる回でしたね🥺 京介の「今ならまだやめられる」って台詞、めちゃくちゃ刺さりました。絶対やめたくないのに、それでも芽生を優先しようとする優しさとか、自分の欲望より相手の気持ちを取るところが本当に京介らしくて。 それに応える芽生の「やめないで」も、震えながら自分の意志を伝える強さがあって……二人の距離がゆっくり、でも確かに縮まっていく感じがたまらなかったです。 名前呼びのシーンも、あんなに拒んでた「京介」って呼び方を受け入れる瞬間、めちゃくちゃグッときました。 丁寧で誠実な空気感がすごく伝わってくるエピソードでした……✨