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カイトは驚いた。
ナナミは冷静な議論を展開し、最初の昼間の議論で重要な意見を述べていた。
彼女が襲われたということは、彼女の存在が人狼にとって脅威だったのかもしれない。
だが、それと同時に、カイトは自分自身の選択が正しかったのかどうかも疑問に思い始めていた。
「どうして……ナナミが……」
リョウが苦しげに呟いた。
彼もまた、ナナミの突然の消失に動揺を隠せていない。
カイトはリョウを見つめ、彼が村人である可能性を信じることに決めた。
だが、それをどう他の参加者たちに伝えるべきかが、問題だった。
「議論を始めよう」とリョウが再び声を張り上げた。「ナナミが犠牲になった今、僕たちはさらに慎重にならなければならない。僕は占い師として、ユウキを占った結果を報告したが、昨日の議論では彼を処刑することになってしまった。今日も誰かを処刑しなければならないが、誰が人狼なのかを見極めなければならない。」
カイトは迷いを抱えたまま口を開いた。
「リョウ、昨夜……君を占ったんだ。結果は『人狼』だった。でも、僕は『裏占い師』だ。だから、君が村人である可能性が高いと思っている。」
その言葉に全員が再びざわめき始めた。
リョウが村人だと信じられるかどうかは、カイトの「裏占い師」としての信頼性にかかっていた。
もしカイトが嘘をついているなら、リョウが人狼である可能性もある。
「じゃあ、カイトを信じていいってことか?」
リョウが険しい顔で問いかけた。
「分からない。でも、少なくとも君を疑うのは今じゃないと思う。君が村人なら、僕たちは協力し合うべきだ。」
リョウはしばらく考え込んだ後、静かに頷いた。
「分かった。お前を信じる。だが、他の誰かが人狼である可能性もある。慎重に考えなければならない。」
カイトは胸を撫で下ろした。
少なくともリョウは自分を信じてくれるようだ。
しかし、まだ人狼は潜んでいる。
そして、誰が次の犠牲者になるのかは分からないままだった。
再び昼の議論が進み、全員が互いを疑いながらも、なんとか冷静を保とうと努めた。
人狼が誰なのか、そして村人たちが生き残るためにどのように行動すべきかが、全員の頭の中を巡っていた。
最終的に、全員の意見が集まり、次の処刑者が決まる時がやってきた。
「今日は……ヒロシを処刑する。」
スピーカーから冷酷な判決が告げられた。
ヒロシはショックを受けた表情で立ち上がり、必死に反論しようとしたが、彼の声は誰にも届かないまま、光に包まれて消えていった。
「ヒロシは……人狼ではなかった。」
再び無実の村人が処刑された。
人狼はまだ生きており、次の夜も再び襲撃が起こるだろう。
カイトの心は重く沈み、彼の胸の中で疑念が渦巻いていた。
自分の役職を最大限に活かすために、次に誰を占うべきかを慎重に考えなければならない。
夜が再び訪れる。
恐怖と疑念の中、カイトは次の選択を迫られていた。
彼の判断が、仲間たちの運命を左右する。
人狼との戦いはまだ始まったばかりだった。