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深夜2時。
二人の寝室で湊が寝息を立てて寝ている。 俺は物音を立てないよう、ベッドから抜け出しベランダへと駆け込んだ。
夜風がやけに涼しく、寂しく感じさせる。カチッ、とライターの音を鳴らし、煙草に火をつけた。この生活を続けて、どれくらいの時がたっただろうか。湊は煙草の匂いが苦手だ。
それでも俺は吸いたくなって仕方ない。 俺にとってこれは薬であり、毒だ。煙草が小さくなって、2本目へと火をつける。
ふと、寝室から物音がして俺はびくりと肩を揺らす。
『ろれ 、?..』
寝室から出てきたのは、まだ眠い目をこすりながら欠伸をしている湊だ。
「うわ、起こした?ごめん..
夏でも夜は寒いからベッド戻ってな?」
湊はゆらりと体を揺らせ、俺に近づく。そして後ろからぎゅっと抱きしめた。
「湊 、?臭いよ、煙草の匂い嫌いだったよね?」
『嫌いじゃない、好きじゃないだけ。』
同じでは、?と心の中でつっこみつつ、ぐりぐりと頭を押しつける湊を優しく撫でる。
『今日だけ、ええよ。
…ろれの匂い、覚えたい』
「へ?..、湊、??」
予想外の言葉に驚く俺を見て湊は満足そうに笑っておれの顔を見つめる。
『今日だけは俺のことだけ意識して。匂いだって残していいから、ロレの全部が欲しい。』
理性がこれ以上追いつきそうになかった。
「そう…なら遠慮なく、 」
深く煙草を吸い込んで、ふっと湊の顔に吹きかける。
『なぁ、ろれ…俺”その意味”知っとるで?…』
甘い蕩けそうな声で囁く湊に、堪らずぎゅっと手を握った。
「..ベッド戻ろうか..」
『はよ抱いてや..?』
煙が夜空に溶けて消えた。
今夜は眠れぬ夜が幕を開けていく。