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やばやばやばーー!!!!!🔥🔥🔥 第90話、もうマジで心臓バクバクしながら読んだよ!!😭💕 三体もの王が同じ空間に現れるとか、何そのエグい人選…!? 蟲王、闇王、そして魔皇公ゼルギウス…… それぞれの“圧”の違いがちゃんと描かれてて、ゾワゾワしながら「やばいやばい」って連呼してたよ😇 「俺だ」って一言で全部引き受ける主人公の覚悟、痺れた…!!! エモすぎて泣ける…!! この先、どうなるの!?早く続き読みたい!!🔥🔥🔥 裏五条さん、今回も神回ありがとうございます!!✨
黒い霧は、同じ方向へ消えた。
倒した魔たちから噴き出した黒い霧は、その場で散ったわけではない。
床の継ぎ目へ吸い込まれる直前、ほんの一瞬だけ流れを作っていた。
水路とは違う。
空気の流れでもない。
何かに引かれるように、同じ方向へ向かっていた。
「……あっちです……黒い流れが、全部あっちへ向かっています……」
フィーネが指したのは、補助連絡通路のさらに奥だった。
そこには、協会のマップには何も表示されていない。
ただの壁。
ただの行き止まり。
少なくとも、端末の地図上ではそうなっている。
だが、俺にはもう、それがただの壁には見えなかった。
「マップにない通路か」
俺が呟くと、津詰さんが端末を確認した。
「こちらの図面にも載っていないな。救援訓練用の補助通路でもない」
「でも、黒い霧はあそこへ戻っています」
「つまり、敵側の通路か」
「たぶん。もしくは、もともとあった点検用の隙間を、向こうが使っているかです」
ダンジョンにも構造はある。
表の通路。
裏の通路。
水路。
空気穴。
管理用の細い道。
ゲームでも同じだ。
プレイヤーが通る道と、仕掛けを動かすための道は別にある。
罠が複雑になるほど、裏側には必ず仕組みを支える空間がある。
今回、敵は標準ルートを読み、待避ポイントを潰し、隊列を分断しようとした。
なら、その罠を動かすための“裏側”があるはずだ。
「行きましょう」
俺は剣を握り直した。
「黒い霧が戻るなら、その先に中枢があります」
津詰さんが頷く。
隊列は崩さない。
分断罠を受けても戦闘単位が残る形。
さっき、それが有効だと分かった。
ここで元に戻す理由はない。
全員が位置についたのを確認してから、俺は壁の継ぎ目へ剣を入れた。
石の壁に見えた部分は、予想より薄かった。
刃が入る。
抵抗がある。
だが、岩を斬っている感触ではない。
中に何かが詰まっている。
黒い膜。
魔力で固めた蓋。
俺は一度息を吸い、剣を横へ走らせた。
ズバァッ!!
壁が割れた。
中から、冷たい風が漏れる。
それと一緒に、黒い霧の残り香みたいなものが、細く流れ出してきた。
「ここか」
割れた壁の向こうには、狭い通路があった。
石造りではない。
壁も床も、黒い管のようなものに覆われている。
通路というより、巨大な生き物の血管の内側に入り込むような感覚だった。
だが、長くはない。
奥に、広い空間が見えている。
「探索は最低限でいきます。罠があっても、今は中枢を止めるのが先です」
「同感だ」
津詰さんが短く返す。
俺たちは、黒い通路へ踏み込んだ。
◆
通路の中は、音が吸われていた。
水音も、足音も、呼吸の音すら近くで潰れる。
壁を這う黒い管が、こちらの動きに合わせるようにぴくりと震える。
時折、管の中を黒い液体が流れ、どくん、と小さく脈打った。
フィーネが眉を寄せる。
「……魔が……この奥から流されています……」
「なら、当たりだな」
クロエがロッドを担ぎ直す。
「親玉部屋って感じ?」
「そうだな。しかも、かなり嫌な親玉部屋だ」
俺は前方を見る。
通路の先にある空間が、少しずつ大きく見えてくる。
そこは、大空洞だった。
ただし、協会マップにある大空洞ではない。
もっと奥。
もっと深い。
幕張臨海ダンジョンの地下水路のさらに裏側に隠された、黒い制御空間。
天井は高く、壁一面に黒い管が走っていた。
床には水ではなく、黒い液体が細い川のように流れている。
その黒い川は、中央で渦を作りながら、音もなく脈打っていた。
「……ここです……」
フィーネが小さく言った。
「……黒い流れが、全部ここに集まっています……」
その瞬間だった。
空気が、軋んだ。
目に見える何かが現れたわけじゃない。
だが、全員がほぼ同時に身構えた。
肌が粟立つ。
喉の奥が乾く。
背中から冷たいものが這い上がってくる。
強い。
今まで通路で相手にしていた魔とは、比べ物にならない。
圧だけで、こちらの足を止めるほどの魔が、この空間のどこかにいる。
津詰さんが剣を構えた。
タンク役の隊員が盾を前に出す。
ノエルが腕を組んだまま、笑みを消す。
クロエもロッドを握り直した。
「来るぞ」
俺が言った直後だった。
空間全体に、羽音が響いた。
最初は小さかった。
耳元を一匹の虫が飛んだような音。
だが、すぐに増える。
十。
百。
千。
無数の羽音が重なり、黒い波のように場を満たしていく。
「――ヨうヤく来タか。虫ノ群れヲ焼き、我が兵ヲ踏み越エた者ドもヨ」
声が、場全体に響き渡った。
低く、ざらついていて、耳に届いた瞬間に皮膚の内側を何かが這うような声だった。
空気が重くなる。
ただ声を聞いただけなのに、背中に冷たいものが走った。
タンク役の隊員が、無意識に盾を構え直す。
副長さんが半歩だけクロエの横へ寄る。
ノエルの表情から、いつもの軽さが消えた。
クロエも笑ってはいたが、ロッドを握る指に力が入っている。
「……強い魔です……」
フィーネの声が震えた。
次の瞬間、壁、床、天井から黒い蟲の群れが湧き上がった。
一匹一匹は小さい。
だが、数が違う。
黒い濁流みたいに集まり、渦を巻き、中央でひとつの形を作っていく。
翅。
鎌。
黒曜石のような外殻。
濁った複眼。
黒いカマキリを、人型の魔王に作り替えたような姿が、蟲の軍勢の中心に立った。
「我ガ名ハ……蟲王ベルゼ・ローチ。
焼ケ。燃やセ。灰にシロ。
だが蟲ハ……一匹残れバ、また群レる。
見せテみロ……ォマエの炎が、我が巣ノ奥マで届くカを」
その名を告げた瞬間、魔の圧が爆ぜた。
風が吹いたわけじゃない。
音が大きくなったわけでもない。
それなのに、胸を真正面から押し潰されたような重さが来た。
一匹一匹の蟲が、ひとつの王の意思で動いている。
群れではなく、軍勢。
その中心に立つ黒いカマキリの王が、こちらを見下ろしていた。
津詰さんの声が鋭くなる。
「アイツは! 所沢ダンジョンに現れた!」
蟲王ベルゼ・ローチ。
所沢ダンジョンで、黒い虫群を操っていた王。
そいつが、今ここにいる。
クロエが、ゆっくりと笑った。
「虫の王様か。燃やしがいありそう」
その圧だけでも、十分すぎるほど異常だった。
だが、その直後だった。
別の魔が、場に流れ込んだ。
羽音が遠のく。
さっきまで空間を支配していた蟲の気配が、押し広げられるように薄くなる。
代わりに、冷たいものが床下から這い上がってきた。
ぴりぴりと肌が痛む。
呼吸をするたびに、胸の奥へ黒い水を流し込まれるような感覚があった。
重いだけじゃない。
怖いだけでもない。
内側へ入り込んでくる魔。
身体の奥を、勝手に覗かれているような気持ち悪さ。
ベルゼ・ローチですら、わずかに視線を奥へ向けた。
次の瞬間、別の声が場に響いた。
「伊勢の闇を断った者たちよ。だが、あれは終わりではない」
黒い管が、壁や床から伸びた。
一本ではない。
何十本、何百本もの黒い管が、空間そのものを縫い合わせるように這い回る。
床に落ちた黒い液体が、どくん、と脈打った。
それはただの液体ではなかった。
生き物みたいにうごめき、盛り上がり、ねじれながら一つの塊になっていく。
長い鼻。
象を思わせる、黒く太い鼻がゆっくりと垂れ下がる。
頭部には二本の大きな角。
その下に、濁った金色の瞳が開いた。
手足は大型の爬虫類のように太く、節くれ立ち、黒い鱗とも岩ともつかない外殻に覆われている。
背中からは黒い管が何本も伸び、壁や床へ繋がっていた。
それは、闇そのものが獣の形を取ったような魔だった。
「我が名は、闇王ノクス・ヴェイン。
闇は、ながれるもの。
管をつたい、傷をつたい、恐れをつたい……
おまえたちが断ったのは、ただの一滴。
流れは、まだ止まらぬ」
その言葉と同時に、黒い管が一斉に脈打った。
空間が支配される。
そう感じた。
壁も床も天井も、ダンジョンの一部ではなく、ノクス・ヴェインの体内に変わっていくようだった。
誰が言ったわけでもない。
だが、皆が理解した。
伊勢ダンジョンの異変は、こいつの仕業だ。
足元から黒い魔が染み上がる。
息を吸うだけで、胸の奥に冷たいものが入り込んでくる。
僧侶の隊員が息を呑み、レンジャーが弓を構えたまま動きを止める。
津詰さんが低く言った。
「魔王クラスが二体だと!?」
その声に、誰もすぐには返せなかった。
蟲王ベルゼ・ローチ。
闇王ノクス・ヴェイン。
二体の王が、同じ場に立っている。
それだけで、戦場の空気は完全に塗り替わっていた。
だが。
その二体の王すら、黙った。
さらに奥から、もっと重い魔圧が来た。
空気が沈む。
膝が重くなる。
胸の奥を、直接掴まれるような圧が広がっていく。
黒い空間の奥。
そこから、六本腕の巨体が歩いてきた。
一歩。
それだけで、床の黒い液体が震えた。
二歩。
壁を這う管が、そいつを避けるように引いていく。
蟲王も、闇王も、道を譲るように黙っていた。
現れたのは、ヴェルグ=ゼディアよりも一回り以上大きな悪魔だった。
六本の腕。
黒く厚い外殻。
頭部には、王冠のように伸びた角。
その瞳は、怒りで燃えているのに、どこまでも冷たかった。
「我がヴェルグを討った者は、誰だ」
声は、静かだった。
だが、その静けさが一番重かった。
怒鳴られた方が、まだ楽だったかもしれない。
その一言だけで、背骨を握られたような感覚が走る。
魔皇爵ヴェルグ=ゼディア。
浦安ダンジョンで俺たちが倒した、四本腕の悪魔。
その名が出た瞬間、全員が理解した。
今回の一連の異変。
所沢。
草津。
伊勢。
幕張。
その奥にいた者。
息子の仇を討つために、浦安レイド参加者を狙い続けた首謀者。
六本腕の悪魔が、こちらを見下ろす。
「我が名は魔皇公ゼルギウス=ゼディア。ヴェルグ=ゼディアの父にして、貴様らの死を定めた者だ」
魔皇公。
その名乗りと同時に、場の魔圧がさらに重くなった。
ベルゼ・ローチの蟲の圧とも違う。
ノクス・ヴェインの闇の圧とも違う。
ただ、純粋に上位の魔がそこにいる。
そう思い知らされる圧だった。
誰もすぐには動けない。
だが、俺は前に出た。
一歩。
たった一歩だ。
それでも、足が重い。
肺が重い。
心臓が、いつもより大きな音を立てていた。
ゼルギウスの視線が、俺に向く。
「問う。再び問う。我がヴェルグを討った者は、誰だ」
俺は剣を握り直した。
逃げる理由はない。
この異変を終わらせるなら、ここで答えるしかない。
「俺だ」
空間が、静まり返った。
俺はゼルギウスを見上げた。
「ヴェルグ=ゼディアを倒したのは、俺だ」
六本腕の魔皇公が、ゆっくりと笑った。
それは、笑みというより、処刑の合図に近かった。
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