テラーノベル
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――放課後少し前、チャイムが鳴る直前。
体育があったせいか、あなたの顔色はどこか悪い。机に突っ伏して、呼吸も浅い。
いつもの「眠いだけじゃん〜」みたいな雰囲気じゃなくて、ただただ痛みに耐えてる感じ。
小柳ロウは、そんなあなたを横目で見ながらノートをまとめていたけど――ふと、何か違和感に気づいた。
あなたの椅子の下、スカートの裾。
そこに、ほんの少し滲む赤い影。
ロウの手が止まる。
一瞬、胸が強く締め付けられたみたいに動揺する。
でも言わなきゃ。気づかなかったフリなんてできない。
「……なぁ。」
声をかけてもあなたは返事できないくらいしんどそう。
ロウは椅子を引いて、あなたの机横にしゃがむ。
「〇〇、聞こえる?大丈夫……じゃないよな。」
あなたの肩が微かに震えた。
ロウの声は低くて優しい。
でも、どこか焦りと心配が混ざってる。
「……スカート、ちょっと……血、ついてる。」
あなたの目が見開かれて、すぐに曇る。
恥ずかしさ。最悪な状況。動けない。
でもロウは笑わないし、引かないし、困った顔もしない。
代わりに、そっと自分のパーカーを脱いで椅子の背にかける。
「これ、腰に巻ける。……立てる?」
あなたは小さく首を振る。
痛みと羞恥心で足がすくんで動けない。
目に涙が溜まって、俯いたまま震えていた。
ロウは一瞬考えて――決めたように言う。
「……じゃあさ、俺が連れてく。」
そのまま立ち上がり、あなたの前に背中を向ける。
「ほら。背中乗れ。周り見えてないから、気にすんな。」
「……むり、恥ずかしい……」
「んー?じゃあ、ここで泣きながら動けず座ってる方がマシ?」
あなたはぎゅっと唇を噛んで、小さく首を横に振る。
ロウは少し笑って肩越しに言う。
「大丈夫。俺が守るから。」
ゆっくり背中に乗ると、ロウは慎重にあなたを背負った。
歩くたび、腰とお腹がズキズキ痛む。
あなたは息を呑んで耐える。
ロウはその気配にすぐ気づく。
「我慢しなくていい。痛いって言え。」
保健室までの廊下、ロウは周りに人がいるたび、すこし身体を斜めにしてあなたを隠すように歩いた。
まるで誰にも触れさせないように。
保健室が見えた頃、あなたの声は小さく震えていた。
「……ありがと、ロウ……」
するとロウは照れくさそうに笑って、
「……当たり前。彼氏だぞ俺。」
保健室のカーテンの中、横になったあなたの髪をゆっくり撫でながら続ける。
「〇〇が困った時とか、しんどい時とか……全部俺が気づきたいし、支えたい。だから、今日みたいな時もさ、恥ずかしいとか思わなくていい。」
優しい声が耳の奥まで染み込む。
「……今日しんどい分、治ったらめちゃくちゃ甘やかすから。覚悟しとけ?」
そう言ってロウは、あなたの頭にそっとキスした。
そして最後に、小さく囁く。
「痛いの全部、俺がそばで消してく。」
──そう思ってるみたいに、本気の声だった。
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