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狐十@アイコン変えた!!
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約束通り、勇斗が仁人に「ちゃんと話す」と切り出したのは、それから三日後の夜だった。
閉店後の店内、いつもより灯りを落としたカウンターで、勇斗は珍しく、口が重そうだった。
「──この前の話、覚えてる?」
「はい、忘れるわけないです」
「うん。あれ、冗談じゃなくて、本当のことなんだ」
改まった口調で告げられ、仁人は思わず息を呑んだ。予感はあった。積み重なった違和感が、もう笑い話では済まされないことも、薄々気づいていた。それでも、こうして改めて言葉にされると、その事実の重みが、まったく違う手触りで胸に迫ってくる。
「──証拠、見せてもらってもいいですか」
「証拠と呼べるかわからないけど。──驚かないでよ」
勇斗はそう言うと、口元にそっと手を添え、静かに笑ってみせた。唇の隙間から覗いたのは、人間のそれとは明らかに異なる、鋭く尖った犬歯だった。照明の下で、その白さが、妙に生々しく映る。
仁人はしばらく、言葉を失っていた。想像していたはずの光景を、実際に目にすると、その衝撃は想像以上だった。
「本当に、いたんだ。こういう存在」
「驚いた?」
「そりゃ、驚きますよ。いや、おかしいだろ、こんなの」
素直な感情で思わず声を上げた仁人に、勇斗は柔らかく笑った。その笑顔には、これまでの軽さとは違う、どこか安堵したような色が滲んでいる。
「──ちゃんと、最初に言ったからね、俺」
「……言いましたね、確かに」
「信じてもらえなかったけど」
「信じるわけないでしょう、あんな軽いノリで言われて。チャラいとしか」
「あーね、それは、まぁ、そうか」
勇斗は苦笑しながら、肩をすくめた。仁人はしばらく、目の前の男を、改めて見つめ直す。人懐っこい笑顔も、温かい心遣いも、これまで接してきた印象は何一つ変わっていない。だが、その内側に、これほどまでに人間離れした一面が隠れていたことに、仁人は不思議な感慨を覚えていた。
「怖くないの?」
勇斗が、少し不安げに尋ねた。仁人はしばらく考え、それから、ゆっくりと首を振った。
「──正直、怖くないと言えば嘘になります。でも」
「でも?」
「それより先に、なんか、色々納得した部分の方が大きいです。昼間会えない理由とか、体温の低さとか」
淡々とそう言ってのける仁人に、勇斗は少し拍子抜けしたように目を瞬かせた。
「──仁人くんって、意外と肝が据わってるよね」
「そうですか? 俺は普通のことだと思ってますけど」
「普通じゃないから、驚いてるんだけど」
「よくできた小説だと思うようにしました。──それよりどうしたらいいですか、その、これから」
歯切れ悪く、うまく言葉を紡げないまま仁人は尋ねた。勇斗はグラスを一つ手に取り、静かに答える。
「──どうもしないよ。俺の気持ちは、最初から変わってない。人間だろうと、ヴァンパイアだろうと、仁人くんが欲しいことに変わりはないから」
その率直な言葉に、まっすぐ彼を見ることができない。頬が熱い。
「──俺も、別に、逃げる気はないです。こんな面倒な性格に、ここまで付き合ってくれる人、そうそういないと思うので」
「面倒だなんて思ってないけどな、俺は」
「そこが、もう十分変わってると思います」
軽口を叩き合いながらも、二人の間に流れる空気は、これまでのどの夜よりも、確かな親密さを帯びていた。正体を知ってなお、離れるという選択肢は、もう仁人の中には存在しなかった。
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