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※ピンク×速水
⚠️⚠️⚠️誘拐、監禁ネタ
速水くんを生き別れの弟だと思ってるピンクと監禁されちゃった速水くん
ある日、僕の世界は
この【部屋】だけになってしまった。
『ただいま、泰輝』
『………おかえり、なさい…』
『遅くなってごめんね、
良い子にしてたかい?』
外から帰ってくるこの人は僕の兄だと名乗った。
僕と同じピンク色の長い髪を結い、
すらっとした長身。
両目には独特の傷跡があるが…常に穏やかな表情を浮かべている。
……僕に兄弟が居たって話は聞いた事ない。
家族とは希薄な関係だったが…
幼い頃の記憶を思い出そうとしても兄の影はない。
『(けど…否定しちゃ、ダメな気がする…)』
悲しいかな、
天羽組で散々シゴかれたおかげか変な感覚が育ったらしい。
危機察知?というのか…
ここでこの男を兄弟ではないと否定したらきっと恐ろしいことになる。
『どうしたんだい?』
『…っ、まだ…この生活に…慣れなくて……』
『…そうだね、長い間離れ離れだったからね
ゆっくりでいいよ
ゆっくり、兄ちゃんとの生活に慣れたらいい』
『…っ、ありがとう…ございます…?』
『ふふ、可愛いなぁ泰輝は』
…間違った反応ではなかったらしい。
男はヒョイっと軽々僕を抱っこする。
成人してるから恥ずかしいというか…誘拐犯に触れられ少し嫌悪感があるが、僕の身体が硬直したのを恥じらいと捉えてくれたようだ。
男の機嫌は良い。
ジャラッ
脚の枷の鎖が鈍く鳴る。
僕を繋ぐ鎖はこの家の中を自由に行き来できても……
あと1メートルの玄関の扉には届かない。
この一カ月をかけて学んだ事。
怪しい動きをしたら…
たぶん監視カメラとかあるよね…?
見られて折檻される可能性もある。
天羽組ではあんなにヤキをいれられたりされたが今は最早懐かしさも感じるよ…。
この部屋に閉じ込められてからまるで蝶や花を愛でるような扱いを受けているが…
兄貴らからの折檻の痕や額の傷を見られた時、
それはとても恐ろしい表情を浮かべ、
『小林……やはりあいつは何処までも忌々しいな…』
そう確かに呟いてたのを聞いた。
小林の兄貴関係の人なのか?と考えたが聞こえないフリをして手当を素直に受ける。
男に静かにベットに降ろされると、
そのままぎゅっと抱きしめられる。
壊れないように優しく、
だけど力強い抱擁にこのまま締め殺されそうな気がする。
……実際、小林の兄貴にプロレス技らしいのをかけられて気絶はした。
『あぁ…泰輝、私の泰輝…
可愛い可愛い、私だけの泰輝……』
……誤解しないで欲しいけど、
まだ僕は何もされてない。
暴力はないし……その……、
よくある同人誌的なことも…まだ、ない。
頬や額にキスをされることは多々あるが…
まだ、されてない。
うん。
だけど、仮にそうゆう事になっても…
小林の兄貴の暴力の時と同じように素直に受け入れるしかないかもしれない。
何故なら、
生殺与奪の権はこの男が握っている。
僕を【弟】だと信じて疑わないこの狂人が。
『(こんなことを冷静に考える僕もちょっと狂いかけてんのかなぁ…)』
『ふふ…っ
早く、泰輝に兄ちゃんって呼ばれたいなぁ』
『は、恥ずかしい…から…っ』
『そうだね…泰輝は恥ずかしがり屋だからね…』
とにかく、
男の機嫌をとって明日も生き延びよう…
速水が行方不明になって一カ月が経とうとする。
…天羽組の雰囲気は最悪だ。
皆必死に探してはいるが…
本当に霞のように速水は消えてしまった。
情報屋すら、知らない。
……ただ、逃げたわけではないだろう。
何かに巻き込まれたのか。
『(……一番やばいのは…)』
明らかに小林の兄貴の機嫌が日に日に悪くなる。
小林の兄貴はそれはそれは速水がお気に入りだった。
何処に行くも速水を連れたり、
速水も小林の兄貴を畏れつつも慕っていて…
『……華太ぉ』
『!はい!』
『俺、暫く貴凛町に行くわ』
『っ、小林の兄貴っ…少し休んだら…』
『あ”⁇』
…小林の兄貴の眼の下…
クマが濃くなっている。
この人は…ずっと速水を探してるんだ…
『……俺も行きますッ』
『……勝手にしろ』
…頼む速水…無事でいてくれ……
『小林もしつこいなぁ…』
私はある路地裏にソレを捨てた。
その髪留めは……泰輝に付いていたもの。
『私がもっと、似合うモノをプレゼントするよ泰輝…』
せいぜい探し回ればいい…
絶対に、
『泰輝は渡さないからな…』
end