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面白かったです! 舞台ってSMですか?
待ってました~~~!!!! 続きが読めてすごく嬉しいです!!(((o(*゚▽゚*)o)))
※この話は、ポケモン×カンヒュのクロスオーバーです。
あらすじ必読。
登場国: 江戸幕府、アメリカ、日帝、エーテル財団、数多のポケモン達、日本
「やってみろ、小童。」
どす黒い悪意が織り成す罵りあいの後、
江戸幕府は蔑む様な笑みを浮かべながら刀をクルクル回して腰に納めた。
刀は使わないらしい。エーテル財団は不思議そうに眉を顰めた後、まずクレッフィに向けて指示をする。
「きんぞくおん。」
耳をつんざく異音が江戸達に襲いかかる。しかしここで何かが彼らの前に立ちはだかり、
しろいきりで防いだ。
霧の効果は5ターン。ようやく晴れる頃には、江戸たちの姿は消えていた。
「……コレハ…….逃亡シタノダロウカ…..?」
罠にせよ何にせよ追うしか無い。クレッフィ達に注意を促し、エーテル財団は敵地・日本家の廊下を走っていったのだった。
一方その頃、外では…
「キリキザン進め!!つじぎり・アイアンクロー以外考えるな!!!」
「ザッキィ!!!!」
久しぶりの楽しい戦闘で絶好調の大日本帝国は、兎に角攻撃の手を緩めない。
華麗な太刀筋が通過した後、各所で真っ赤な血飛沫やら悲鳴やらが飛び交う。ご近所迷惑にも程がある。
「うーわ、日帝の奴楽しそー….これ後で日本に怒られるんじゃ……」
呆れた口調だが、そう言う本人であるアメリカも直後には立ち尽くす敵5名を同時に回し蹴りで1発KOさせている。
彼も決して人のことを言えないだろう。
「日帝!!あらかた片付きそうだが、近隣住民のPeopleはどうするんだい!?
ここまでの騒ぎ、流石に彼らだってひとたまりもないんじゃ──────」
「米国。貴様、我が国民を何と心得ている?」
3人一斉に倒した日帝が、血塗れた顔を此方に向けてニヤッと笑う。
「貴様ら欧州の三番煎じと違って、
我が国に “ポケモンに関する弱者” は一人もいないぞ?」
言うが早いか、アメリカ達の周りにいた敵が全員倒れる。
一瞬の出来事に立ち尽くすアメリカだったが、四方から感じる明確な殺意に身が震えてしまう。まさか、強いのは日本家だけじゃなくて─────
「騒がせて済まないな、ご近所の皆々方。
事態を収拾すべく、もう暫く御力添えをお頼み申す。」
プリンの歌声にマシェードの『キノコのほうし』、ゴース・ゲンガーのあくむ。
キャタピーのいとをはく、ブースターのおにび、
そして極めつけは各家庭のスマホロトムから転移したウォッシュロトムのハイドロポンプ….
日本家を囲む一般市民すら、敵達にとっては大きな驚異になりうる。
ゆえに、日の丸の化身の “子供たち” は声を揃えてこう言った。
「「「「「「YES、ゼンリョクでぶっ飛ばしてやりましょう祖国様。」」」」」」
日出づる此処は修羅の国、日本。
頂点の国に、弱者など存在しないのである。
「チッ….外ノ奴ラモ壊滅寸前デスカ……
コレダカラ使エナイ捨テ駒ハ嫌イデス…」
エーフィのテレパシーによって外の惨状を察知したエーテル財団は、忌々しげに舌打ちした後に出口の方を睨みつける。
1人くらいは残ってくれると良いのだが。どうせ財団の人間ではない訳だし、いざ逃げる時の囮要員にしても構わないというのに…
いや、その前に先ずは。
「アノ野郎、何処へ消エマシタ…..?」
散々煽り散らかしてきたジジイの姿が見えないことに、エーテル財団はフッと笑った。
「負ケヲ認メマスカ?
今ナラ勇者様ノ居場所ヲ教エ、泣イテ謝レバ許シテアゲマスヨ?」
返事は無い。
少し苛立って、近くの障子をれいとうビームで吹っ飛ばすと何処からか歯車の音が響き渡ってきた。
「…………?ナニ──────」
次の瞬間。
バゴンッッッ!!!!!!
部屋の中に飾ってあった屏風が捲り上がり、空いていた穴から計10本の矢が噴出される。
咄嗟に避けるが少し掠ってしまった。エーテル財団の右頬と右足首に切り傷ができる。
「…………ソコデスカ」
忌々しげに睨みつけた視線の先には、弓を構えた江戸がニヒルな笑みを浮かべながら此方を見ていた。
「避けおったか」
「ヤッテクレマスネ…トレーナーヘノ攻撃ハ
ルール違反デハ?」
「はっ、我が孫を連れ去ろうとする不届き者には言われたくないのう?
貴様なんぞに手間かけてられるか。こんな茶番、とっとと終わらせてやろう」
そう言った江戸が天井をチラリと盗み見ると、そこから何かが畳の上に舞い降りた。
そこにいたのは……
「…………!!何故、ココニ……?」
「さぁ行ってこい。”ご主人” を狙う不届き者ぞ?」
赤い目を光らせる蛙の忍者。
水を操るポケモンの中でも最上級の強さを誇り、屈指の人気で人々から支持を得ている “日本の第2のパートナー”。
その名も──────。
「ゲッコウガと言ったか。お主は奴らを倒せるかな?」
江戸の問いに、ゲッコウガはやる気満々の表情で頷く。その様子に江戸はご機嫌そうに微笑んで告げた。
「勿論、お主1人では無い。
……もうそろそろやってくる頃か」
その瞬間、エーテル財団は横からの殺気を感じて一歩後ずさった。
「父上、ご無事で何よりです。」
「ヒーローは遅れて登場だぜ!!」
アメリカと日帝も追いついてきたようだ。2人もエーテル財団を見るやいなや、スッと目のハイライトが消えて不敵に微笑む。
「父上から聞いたが、我が息子に手を出そうとしているのは貴様だな?
度胸だけは賞賛に値するぞ、全く…」
「HAHAHA!日本を狙うなんて馬鹿な奴だな。
お前如きじゃ、面拝むのも烏滸がましいレベルだぜ(笑)」
2人の心の中は烈火の如く燃え盛る怒りでいっぱいだ。
こんな奴に、大事な身内を傷付けられてたまるかよ。
「米国は下がって父上と一緒に居ろ。
ゲッコウガと私でこの野郎を片付けてやる」
「OK!」
それと、ボソッとアメリカは呟いた。
“近くの警察署にリザードンを飛ばした。なるたけ長く足止めしろよ。”
本当、嫌になるほど狡猾な奴だ。
「よい、しょっ……これはここで良いですか?」
「はい!祖国様に手伝わせてしまい誠にすみません……!」
その頃、何も知らない日本は仕事の合間に研究所の手伝いをしていた。
最近はポケモンの出現により、上司からの仕事の無茶振りもだいぶ少なくなってきた。
代わりに、いつもの仕事よりも研究所やポケモン関連用品に関する案件の方が増加傾向にある。
「いえこちらこそ、いつもありがとうございます…貴方方が居なければスマホロトムも図鑑も完成できなかったのですから」
「私どもはほぼ趣味のようにやっておりますから….そんなに褒めて頂かなくても」
えへへ、と照れる研究員に少し心が温かくなる。本当、商品開発とかって大変なんだよなぁ…..
「では、ここの資料もまとめておきますね」
「助かります本当、終わったら彼処の棚に……」
その時、部屋のドアがノックされた。
「あ、他の研究員の方でしょうか…?はーい、今開けますね!」
ペタペタとスリッパの音を響かせ、日本がドアを開けた先に居たのは……
「──────え….?」
「ゲッコウガ!!かげぶんしん!!」
「コウガッ!」
まず最初はかげぶんしんで撹乱。ポリゴンZとクレッフィは注意深く分身を見回す。
「クレッフィ、ラスターカノン。」
指示を受けたクレッフィは、たちまち鋼の光線をかげぶんしんに向けて放出。
分身が一掃される。
「チッ、何処二……ッ!?!?
クレッフィ上デス!!!」
高く飛び上がったゲッコウガは、ポリゴンZとクレッフィのちょうど真上で技の準備をしていた。そして……
「みずしゅりけん!!!」
「れいとうビームデ凍ラセテ下サイ!!」
手裏剣と氷がぶつかり合う。しかし最後に爆発して、その余波がトレーナー達に襲いかかる。
「ぐっ……日帝、江戸!!」
「何も見えんぞ…!ゲッコウガ!!つじぎり!!」
忍び故、気配を読み取れるゲッコウガは日帝と赤い瞳を交差させ、音も無く床を蹴った。
そして──────。
「行くぞ、ゲッコウガーーーーーー!!!!!」
「コウガァァアアアアァァァッ!!!!!!」
突如、ゲッコウガの体をうずしおが包み込み、そのまま彼の体を変形させた。
エーテル財団はその光景を一目見て、大きく目を見開く。
「マサカ……!!」
水を操る忍びは、絆によって変化する。
このゲームを作り上げた会社は、
最強格のメガシンカ、フォルムチェンジ、ゲンシカイキ、ダイマックス、テラスタルの他に
『ゲッコウガだけが出せる唯一の特性』に名を附けた。
その名も──────!
「ヤッテキマシタネ、”きずなへんげ”!!」
忌々しげに表情を歪めるエーテル財団に、日帝は静かな眼差しで目の前の敵を見据える。
そして一言。
「”みずしゅりけん”。」
予備動作ほぼ無しで放たれた巨大水手裏剣が、目にも止まらぬ速さでクレッフィとポリゴンZを撃ち砕く。
即瀕死であった。
「….やれやれ、警察が来るまでも無いレベルの敵とやらだったなァ?」
「まぁやると思ったぜ。
木造家屋とリザードンは相性悪ィからとっととボールに閉まっとくべきだったかもな」
「全く、こやつらときたら….
いや “まだ” かのぅ?」
みずしゅりけんによって倒れた2匹をボールに戻したエーテル財団の脇には、フーディンが佇んでいた。
まだやる気かと三国が闘志をみなぎらせたが…
「今日ノトコロハ引キマス。デモ諦メナイ、
イツカ我ラガ勇者様ヲ取リ戻シテミセマショウ」
「あ゛ぁ゛?テメェは此処で終わりだぜ?
訴訟大国舐めんなよ、法廷でかっさばいてやるからな。」
リザードンの炎を避けたことで自信がついているアメリカにとって、脇のフーディンなど気にする価値も無い。
見た感じエスパータイプなのは見え見えだ。
技が発動されると厄介なら、やられる前に殴るだけ。単純なことだ。
「逃げられるとお思いか。我が国の警察は優秀だぞ?」
「わしの座右の銘を教えてやろうか。
“身内に手出すはたたっ斬る” とな」
チャキン、と刀の音が響く。
全ては一瞬だった。
「本当に狙った奴が悪かったな。
──────さぁて、刑務所送りにされる準備はできたかよ!?」
ギガインパクトも霞む勢いでアメリカが彼らに向かって突進する。
手に持つはアメリカンポリス達もご愛用のテーザー銃だ。
だがアメリカにとってそれは保険だ。
「…………。」
「覇権国の拳をお見舞いしてやるよ、
Inverter(侵略者)?」
拳を構えたアメリカだったが、突如目の前に見えない壁が立ちはだかった。
気配で何となく察したアメリカは、拳をやめて足に力を込める。そうして思いっきりハイキックをかますと壁は粉々に散らばった。
「……ひかりのかべヲ破ルトハ、ヤハリ化ケ物ヵ。
マタ会エル日ヲ待ッテイマスヨ。
──────アメリカ、合衆国。」
それだけ言い残すと、フーディンのテレポートで彼らの姿は完全に消えうせてしまった。
後に残されたものは、戦いの後の静けさであった……
「はぁ….何だったんだよあのファッキン野郎」
「全くだ。玄関の修理代は誰が負担すると思ってるんだか」
「日帝、お前がユキメノコに命じて壊したのは分かっとるんじゃぞ。
早く修理してきなさい。」
そんな会話を繰り広げながら玄関に向かう廊下を歩いていると…
バタバタバタッ!
「父さん、江戸さんっ!!….って、ぇええええ!?!?」
「おっ、日本!」
アメリカが嬉しそうな声を上げるが、帰ってきた日本は家の周りの酷い有様に呆然としている。
….それもそうだろう、アメリカと日帝がバーサーカーになった気分でことごとく好き勝手に暴れ回ったのだから。
そしてその後ろからもう一人。
「Hey, My boss.
日本ちゃんはこの国の警察機関と協力してしっかりお守りしましたよ」
ひょこっと顔を出したのはアメリカ合衆国連邦捜査局….通称FBIだ。
ビシッと敬礼をするアメリカンポリスに、アメリカも一応敬礼で返す。
「ご苦労だったなFBI。
日本守ってくれてThank you♪」
「ハハッ、貴方のお頼みとあればいつでも駆けつけますよ」
「….米国。リザードンを飛ばしたのもこの為か?」
「嗚呼!保険は掛けておくに越したことは無いぜ。
それプラス、CIAにも連絡してあの不気味な勘違い野郎の素性を調べ上げさせてる。
その内解析結果が出るさ」
日帝とアメリカが話している間、日本はふと空を見上げてみた。
「….」
「日本?どうしたんじゃ?」
「あの…FBIさんから聞きましたが、私を狙ったのは “エーテル財団” と名乗る人だったんですよね?」
「あぁ。お前を勇者だと言って此方に引き渡せなどと抜かしたが、私とゲッコウガで返り討ちにしてやった」
「そう、ですか……」
国連から聞かれた古文書の内容が脳裏に蘇る。
エーテル財団が探しているのが英雄だとしたら、自分は本当に….
「とにかく、皆さんにケガがなくて良かったです。守ってくれてありがとうございます」
「フン。自分の息子も守れないような腑抜けに帝国軍人は務まらないからな」
「可愛い孫を狙う不届き者に灸を据えてやっただけじゃよ。
お前は何も心配せんで良いからな」
二人の言葉に日本は少しばかり笑顔を見せた。
アメリカはそんな日本家を横目に、何処へ消え去ったかも分からない “未知の敵” 打倒を掲げて空を睨んだ。
To be continued….