晴「」
学『』
晴と学以外は「」
学園長と話す度、
学園長は何かを思い出したかのように、黙り込んでしまう。
すぐに分かった。
学園長は、僕と御先祖様を重ねて見ている…と。
「学園長?体調が悪かったりします?」
一度はそう聞いてみたものの、やはり、
『…っ、いえ、なんでもありません。』
そう誤魔化される。
学園長と僕は、恋人ではない。
だから隠し事など、僕はあまり気にならない方だった。
けど…御先祖様と僕を重ねて見ているのは、やめてほしい。
何かが心に刺さるように、モヤが突っかかっているような感じがしてくるのだ。
この思い、なんと呼べば良いのだろうか。
授業も終わり生徒達を見送った後、職員室に戻る。
仕事がまだ残っていた。
ふと、時計の針を見ると午後19時を上回っている。
早く仕事を終わらせないと。
この職員室に居るのは、神酒先生と僕だけ。
「ほな、お先に〜。 」
今日は早く仕事が終わったらしく、るんるんと職員室を出ていった。
「お疲れ様でした!」
職員室には、僕だけになった。
唯一聞こえてくるのは、時計の針の音。
チッ、チッ、と針が動いている。
ガチャ、と職員室の引き戸の音が鳴る。
『おや、晴明君まだいらしたのですか。』
学園長だった。
「学園長!」
そう言うと、またあの顔をする。
お面を外しているから、よく顔が見える。
この顔をすると、胸の奥が締め付けられるような気がする。
もう、言ってしまおうか。
そう心に決めつけた頃には、
学園長は僕の横を通り過ぎてしまいそうだった。
「あのっ、学園長!」
『どうしたんですか?晴明君。』
にっこりと笑うその下には、何かを隠しているようだった。
「えっと、その…」
声が出ない。
言いたいけれど、勇気が出ない。
「、学園長。」
「僕と、御先祖様を重ねて見るのは辞めてください…」
言えた。
心が気を抜いた瞬間、学園長は言う。
『は?そんな事、思う訳ないだろ。』
『大体、彼奴の事なんて大嫌いだから。』
『晴明君と彼奴の事を重ねて見たことなんて、一回もないです。』
次々と続くその声に、僕は衝撃を受けた。
思っていなかったんだ。
「でも、っ僕と居る時にする顔は何でなんですか…」
話す度に、どんどん声が小さくなる。
僕がそっぽを向いた時、学園長は両手で僕を顔を掴んできた。
俺を見ろ、と言わんばかりに、無理矢理目を合わせる。
ふに、と唇が触れる。
すぐに顔を離して、真っ直ぐ見つめた。
『これで…っ分かったか…!』
頬を少し赤らめて、鋭い目でこちらを見る。
意味が分かった時、僕も顔を真っ赤にしながら学園長を見た。
「は…はい、!」
夜は冷たくて、酷く寒く感じる。
でも、今夜の百鬼学園の職員室は何故か、暖かく感じた。
END
何も考えずに書いた
びみょい
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