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風鈴高校の敷地からちょっと離れた空き地――
ボウフウリンの“巡回任務”という名の町内見回り。
「なんで俺が……っ、梅宮と一緒なんだよ……っ」
不満そうに頬を膨らませるのは、もちろん我らが桜 遥。
(ぷく顔かわいい)
「へへ、桜が一番空いてたからな〜♪」
と笑うのは、梅宮 一。
柔らかくて、でも一歩踏み込めば鋼みたいに硬い。そんな背中。
「チッ、ふざけんなよ……オレひとりでも十分だっつーの」
「でも、俺と組むの初めてだろ?オレのこと、ちょっとくらい知ってもらわないとなぁ〜?」
「知る気ねぇっつってんだろ!!」
(でも実はちょっと気になってる)(自覚ナシ)
――そんな時だった。
「おい、あれ見ろよ。あのガキ……」
通りすがりの柄悪そうな男たちが、子供連れの母親に絡んでいた。
「おいコラァ!!てめぇら、今すぐその手ぇ離せや!!」
誰よりも早く動いたのは――桜だった。
小さな身体をものともせず、突っ込んでいく。
鋭い蹴りが一発、男の膝に入る!
「クソガキがぁッ!!」
「桜ッ!!」
梅宮が一瞬で走る!だが――
「来んなよ!!……オレひとりでやれるって言ってんだろッ!!」
でも、敵は思った以上に数が多い。
次の瞬間、桜の体が吹き飛ばされた。
――その身体を、梅宮が受け止める。
「言ったろ。“ふたりで”って。お前のこと、守るって。」
「……っ、なんで……」
震える声で問いかける桜。
「お前が俺の大事な仲間だからだよ。」
ぽかん、と桜の目が大きく開く。
その頬に、涙のような汗が一筋。
「な、なっ……!ば、ばかっ……」
「ちゃんと、俺の手、掴んどけって言っただろ。」
その手は、大きくて、あったかかった。
小さな手を包み込むように、優しく――でも、絶対に離さないって強さで。
「……うるせぇよ……ほんとバカだよ……」
顔を真っ赤にして、でも手をぎゅっと握り返す桜。
――ふたりの距離は、確かに、ひとつ近づいた。