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××┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈××
ruがrbに合鍵を渡す話。
自宅に関する捏造注意⚠︎
××┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈××
「ほい、これ。」
何気ない打ち合わせの帰り。恋人である小柳に時間あるかと聞かれあれよあれよという間に連れ込まれた事務所の人気の無い廊下で渡された金属のそれ。どこをどう見てもただの鍵だ。なにこれ?と疑問符を浮かべ掌の上の金属を見つめていれば合鍵、と端的に告げられる。
合鍵。合鍵って、もしかして⎯⎯
「うちの。」
「うちのって…小柳くんの家?」
「そうに決まってるだろ。…要らないなら返せ」
おら、とガラの悪く掌を差し出してくる小柳に、いや返しませんけど、と強く掌で包みギュッと握った。
合鍵なんて渡されても、そもそも星導は小柳の家すら知らない。辺鄙な山辺りにある、とは聞いた覚えがあるがそれだけ。会うのはいつも星導の家で、小柳の家には一度も訪ねたことが無かった。
もともとパーソナルスペースが広く、自宅に他人を招く事が無いとは聞いていたし、誘うご飯だって滅多に⎯⎯最近はかなり丸くなった方だとは思うが。来なかったから、そういう人だし、まあいいかと思っていたのだ。
「え、俺これ使っていいの?」
「今度家教えるから、その…使いたいとき、使って」
「…使いたいときって」
「………俺に会いたいなぁって思ったとき?」
教えてくれるんだ、という衝撃と、合鍵までくれるんだ、という衝撃がぶつかり合って打ち消された気がする。
「あ、あとお前にだけだから。家教えるの。誰にも言うなよ」
「…俺にだけ」
「そう、お前にだけ。」
この狼は自分が何を言っているのか理解しているのだろうか。お前にだけ、なんて、お前は特別だと告白しているようなものだが。
まあ、たしかに特別だし?小柳くんが好きなのは俺だし?なんて考えてみて、自分だけが小柳ロウの家を知り、勝手に入ることまで許されている事実に口角が上がるのを止められない。
ああ、この事実を誰かに言いふらしたい。あの小柳ロウが星導を信頼して、星導だけを特別視し許しているという事実を広めたい。けれど我慢だ。これは星導と小柳だけの秘密なのだから。
「えへ、えへへ」
「キショ。やめろ、それ。」
「だぁって嬉しいんだもん!俺も合鍵つくる、まってて」
「は、いいって、無理やり渡したみたいなもんだし。お前まで無理につくらなくても…」
「無理にじゃないもん!」
子どもみたいにむっと頬をふくらませる星導を見て、小柳は一瞬だけ目を丸くした。その反応があまりに素直で、可愛いと思ってしまったのか⎯⎯あるいは照れたのか。
ほんの一拍ののち、ふいっと視線を逸らし眉間に皺を寄せてぶっきらぼうに言う。
「…じゃあ、勝手にしろ。俺は知らん」
「うん!勝手にする!!」
即答で返ってきた声が、嬉しさで弾んでいるのが丸わかりで、小柳はつい肩をすくめた。人気のない廊下に、二人の温度だけがぽつんと浮かび上がる。
星導はまだ、ぎゅっと合鍵を握りしめたまま。たったひとつの金属片が、手の中で熱を帯びてゆくように思えた。
「………ねえ、小柳くん」
急に呼ばれて顔を向ければ、星導の表情はさっきとは少し違った。照れも興奮もあるけれど、それだけじゃない。なんというか⎯⎯じんわり胸の奥が満たされていくような、噛みしめるような笑み。
「ありがと」
ぽつり。
短い言葉なのに、やけにまっすぐで、温度が強い。
小柳は不意打ちをくらったみたいに一瞬固まり、
次の瞬間にはそっぽを向いて、耳の先を赤くした。
「……別に、たいしたことじゃねぇよ」
「たいしたことですけど?すんごいたいしたことだけど自覚ないマジ??だって小柳くんの家の鍵だよ?俺だけの!」
「うるせぇッ、声でけぇ…!」
ばしんと肩を叩かれる。痛くはないけれど、照れ隠しが露骨すぎて星導は笑いを堪えられない。
「……で。使うのか、鍵。」
小柳が低い声で問う。
どうせ来るんだろ?とでも言いたげな、どこか不安を隠すような声音。
星導は、迷うことなく答えた。
「使うよ。教えてもらった瞬間行く」
その言い方があまりにも真っ直ぐで、小柳は一瞬だけ目を伏せる。
そして⎯⎯小さく、小さく息を吐いた。
「……じゃあ、待ってる。」
その声は、誰にも聞かれたくないほど優しい響きだった。
星導の胸の奥が、きゅう、と熱くなる。こんな声を向けられるのは自分だけだ、という確信が、心の底から幸福だった。
「うん。何回でも行きます」
言えば、小柳は照れたように眉を寄せ、そしてわずかに微笑む。ほんの少しだが、星導には十分だった。
廊下にふたりきり。
渡された鍵の重さは、ただの金属よりずっと重くて、ずっと温かい。
星導はたった今宝物になった鍵をポケットにしまい、目の前の少し顔が赤くなった恋人をぎゅ、と抱き締めた。腕の中で本当はさ、と言葉を紡ぐ彼の声に耳を澄まして、うん、と相槌を打つ。
「本当は一緒に住めたら良かったんだけど。防音室ふたつつくれる部屋探すの大変だし。俺も今の家手放すの難しいし。」
職業柄、配信中に他人の気配はあまり無い方がいいのは明確で、小柳の家は代々継がれてきた歴史ある建物。現実的に考えて、今のどちらかの家に泊まる半同棲システムが一番都合が良かった。
「だから、これがギリかなって。俺もお前も、ひとりの時間欲しいタイプでもあるし。お前はまあ、ルベイエがあるかもしれんけど。」
星導は小柳の言葉を聞きながら、そっと腕の力をゆるめて彼の顔をのぞき込んだ。きちんと考えて、悩んで、それでも“星導が不安にならないように”と言葉を選んだ気配がある。
…もう、この男は本当にずるい。
「小柳くん」
「…なんだよ」
「好き」
「ッ……は!? 今言う!?」
ばっ、と小柳が星導の胸を押して距離を取ろうとするがもちろん星導は離さない。むしろ逆に引き寄せ距離を縮めた。
「だって今めちゃくちゃ言いたくなっちゃって」
「タイミング考えろバカ……!」
声は怒っているのに、耳まで真っ赤。そのギャップがたまらなく可愛い。
星導は額を小柳の額にそっと合わせ、ふ、と息を吐いた。
「ねぇ小柳くん、俺さ。こうやって鍵もらって、家も教えてもらって、来いって言ってもらえて…」
「…………うん」
「なんかもう、一緒に住んでるくね?って思っちゃった」
「……はぁ?」
小柳が完全にキャパオーバーの顔をする。
星導は笑いながら続けた。
「や、だって俺の中ではもう“帰る場所が二つある”みたいな感じなんだよね」
「……まあ、実質そうなんじゃね。」
いいんだ、それで。お前の中でも俺の家を家だと思ってくれてるんだ。
内心で頷いて、ふーん、と零す。なんだよ、と顔を顰めた小柳になんでも、と濁すとかなり強く睨まれた。その顔もかわいい。
「小柳くんもさぁ、今と変わらずうちにおいでね。」
なんならもっと来てくれてもいいよ、と付け加えて伝えてみた。すると小柳は「まあ…行きたくなったら行くわ」と俯くものだからあ、これ結構来るなと察する。
ふへ、と笑うとだからやめろって、と怒られた。
✦︎✧︎✧✦
「そろそろ帰らなきゃ」
「それな、居座りすぎた」
ぎゅっと抱き締めていた腕を離して歩き始める。横を歩く存在をチラ見して、ふと思ったことを口にしてみた。
「あのさ」
「なん」
「これ、お互いがお互いの家に行ってすれ違ったら面白いよね。」
「有り得そうで笑えねぇのヤバい。お前ちゃんと連絡しろよ」
「いや俺よりお前でしょ。マジで。これフリじゃないからね?」
星導の言葉にハッハ!と笑う小柳にコイツ一回はやらかすだろうなと確信する。…まあ、その時はその時で。やったわ、とふたりして笑い合うのも想像してみると楽しい。きっとコイツとならどんなくだらないことでも笑えてしまうんだろうなと少し悔しくなった。
自然と指を絡めて今日は俺んちね、と呟いてみるとすれ違わずに済んだやん、なんてほざくものだからアホ、と肘で小突いてみた。
きっとこれからは、連絡頻度がより増えるであろう。
終
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現在はrbruのみ。全年齢対象でお願い致します。
詳しく詳細いただけるとより早く仕上げられるかもです。
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