人生初めての学校。それだけで心の中は高揚していた。
ガチャ
「おはようございます…。」
「柚!?良かった、柚…。」
部屋から出てきた劉磨さんに、いきなり抱きつかれた。
突然のことで頭の中は困惑状態。
「どこに行ってたんだよ。探したんだぞ…。」
「あ、あの…劉磨さん?」
「あ……悪い。」
私だとわかるとゆっくりと彼が離れていく。
「何かあったんですか…?」
「お前には関係ない…いきなり抱きついて悪かったな。そんな無防備な格好をしていると、男が寄ってくる。気を付け……」
目の前で倒れる劉磨さんをあわてて抱き起こす。
顔色が悪く、かなりつらそう……
「劉磨さん、大丈夫ですか…!?」
「ただの貧血だ……ハア…大丈夫だ…離せ…。」
ガチャ
「ん?何かあった…大丈夫か、劉磨。」
物音に気が付いたのか、部屋から出てきた聖さんが私から彼の身体を引き離した。
自分の無力感に悲しくなる……
「俺がこいつ見るから、花月は部屋に戻ってろ。」
「え、でも………。」
「安心しろ、ちゃんと俺が運んどくから。」
「はい…。」
劉磨さんを聖さんに預け、自分の部屋のドアノブに手をかける。
でもドアを閉めるとき、うっすら聞こえてしまった。
「昨晩も血を吸いに行かなかったのか?」
「もう死人を出したくない…もうあんな思いは…。」
「でもこのままだとお前死ぬぞ。柚の時みたいになりたくないのは分かるけど、もっと自分の体のことも考えろ。」
「その名前は…もう出すな。」
彼らの会話が…
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