テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
1,022
#いるなつ
3e1
3,634
588
62,033
赤は固まった
すると、その子は言った
「暇乃くんだよね?」
なんで、俺の名前を知っているのか
「……、そうだけど?」
その子は言う
「同じクラスの瑞!!わかんない?」
赫は思い出す
まぁ、そんなやつもいたような、いなかったような……
「一人?」
そう瑞は聞いてきた
「見ればわかるだろ?」
瑞は少し考えてから言った
「じゃあ、一緒だ!」
意味がわからなかった
「はぁ?」
「瑞も同じ!一人!」
そう言って笑った
赫はますます意味がわかなかった
なんで笑ってられるのか
普通なら気まずくなる
ほぼ初対面だし
でも、瑞は違った
「暇乃くんも帰り?」
「……うん」
「瑞もだよ!」
「あっそ……」
適当に話していた
すると、瑞が言った
「一緒に帰る?」
赫は思わず顔をしかめた
なんで。
なんでそんなことをいうのか
友達じゃないのに
仲良くもないのに
でも、瑞は返事を待っていた
当然のように
赫は断ろうとした
その時。
ぐぅ
瑞のお腹が鳴った
「あ」
瑞の顔が真っ赤になった
赫は思わず吹き出した
「ふっ……」
「あ!笑った!!」
「いや、だって……」
久しぶりだった
こんな風に笑ったのは
瑞は嬉しそうに笑った
「やっと笑ったね!」
赫はその言葉に固まった
やっと。
そう言われたのは、初めてだった
夕焼けが二人を照らしていた
公園の砂場
ブランコ
滑り台
子供達の笑い声
その中で
赫は初めて、自分に向けられた優しい笑顔を見た気がした
まだ夕方だが、空には一番星が光り始めていた
それが物語の始まりだった
コメント
1件
ああ、もう、この2話めちゃくちゃ好きでした……! 第1話で見せた赫くんの孤高な感じが、瑞ちゃんの「やっと笑ったね!」って一言でふわっとほどける瞬間、こっちまで胸が熱くなりました。お腹が鳴って赤くなるギャップも可愛くて、すごく自然に距離が縮まる感じがいいですね。夕焼けと一番星の描写も、何かが始まる予感にぴったりでした。続き、すごく気になります!