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聖魔神研究部にはありとあらゆる聖魔神の資料があった。ただし、名前や顔の載っている資料はない。そのことにフィールとリイは安心するが、正体がばれないか、内心焦っていた。
「聖魔神の皆さんの活躍は素晴らしいんだ!」
部長が二人に聖魔神の活躍を熱弁する。二人はあまり褒められるのになれていなく、聴きながらずっとムズムズしていた。しかも、部長の熱弁は長かった。そんな部長の話地獄から救ってくれたのはルウゼスだった。
「部長、先生とリイが困ってるぜ。」
二人は同時に『救世主☆』と目をキラキラさせる。
「助かった。」
「ありがとうだぞ~!」
やっと自分が話に夢中になっていたことに気がつく。
「これはすみません。つい、話し過ぎてしまった。」
「大丈夫だぞ!」
「 部長、まずは聖魔神のメンバーをいわないと誰のことかわからないじゃねえか。」
「そうだよな。」
『???』
天国にやっといけると思ったのに地獄にまた落とされた気分だった。後にフィールとリイはこう語った。
『救世主も敵だった!!』
そして、二人は日が暮れるまで聖魔神オタクたちの推しトークを聴かされたのであった。
「疲れたぞ。」
「そうだな。」
二人とももうヘトヘトになっていたが、まだ一つ見ていない部があった。それはフィールが顧問の部だった。
「入るぞ。」
フィールがドアを開けると、その部室はたくさんの物が置かれていた。部室というより物置部屋だった。物が置かれていないところに上手に座っている者が二名いた。一名は明らかに人ではない姿で、一言でいうとスライムが人の形をしている姿だった。もう一名は薄黄緑色の髪で、こめかみに動物の耳のような形のものがある美形の者だった。
「フィール、お帰り。」
「ずいぶん遅かったですね、フィール。」
「!」
この二名は先生ではなく、フィールと呼んだ。つまり、フィールが聖魔神ということを知っているのだ。
その二名はリイも知っていた。知っていたというか、仲間と使い魔だった。
「キツキ、マージュ!」
「リイ!」
「リイ様!」
キツキは聖魔神の一人で、生徒としてこの学園に通っているので(潜入)部室にいてもおかしくないが、マージュは生徒でもないのになぜか部室にいる。しかも、いつもの姿(30㎝くらい)ではなく、本来の姿(160㎝くらい)でいるのである。
「マージュ、何でいるのだぞ?」
「実はですね、……。」
「……うむ。」
「退屈だったのです。」
「……」
「……」
フィールはあきれており、キツキはジト目でマージュを見た。リイは……
「そうか、それは仕方ないぞ!」
「ありがとうございます、リイ様!!」
マージュと同類だった。いや、マージュがリイに似たのかもしれない。
「リイ……」
「リイ、僕がいうのもあれだけどもっとマージュに厳しくしたほうがいいよ。」
そう言いながらもキツキは、まあ無理だろうなあと思っていた。
「ところでここってなに部なんだぞ?」
「ここは、異界研究部だ。」
「ちなみに入部してるのは僕だけ。」
聴くからに怪しい部・異界研究部はその名の通り聖魔界以外の世界、異界を研究する部だ。ちゃんとした部ではあるが名前が怪しいので誰も入ろうとしないらしい。
「リイ様!この部だったら、魔界の門の研究も出来ますよ。」
リイたちは魔界の門を開くのを止めるためにこの学園にきたので、この部に入ると魔界の門のことも研究することが出来る。
ただ、マージュにとってはそれはリイと一緒にいるための建前だった。本音は、この部だとキツキとフィールしかいないので自分がいても大丈夫なのでリイとも学校で会うことが出来るからだった。
そして、リイはマージュの策略にまんまと引っ掛かった。
「そうだな。我、この部にするぞ!」
マージュは嬉しそうにしている。そして、フィールまでも嬉しそうにしていた。
フィールはマージュの策略に気づいていたが、自分もリイと一緒にいたかったのでなにも言わなかったのだ。
「じゃあ、俺はリイの入部届けを出してくるが、お前らは先に帰っててくれ。」
「うむ。」
「わかった。」
辺りはすっかり暗くなっており、リイとキツキ以外の生徒は全員帰っていた。
「キツキは、教室には来ないのか?」
「うん。僕、見た目があれだし……」
キツキは見た目が人のようなものではないので、気持ち悪がられるのだ。
リイは「すまないぞ」と申し訳なさそうに顔をシュンとさせる。
「気にしなくてもいいよ。それに授業中は医務室でディーテと一緒にいるし」
「キツキはディーテが好きなんだな。」
「えっ、……な、なんでっ!!」
「だって、ディーテの話をするキツキはすっごく嬉しそうだぞ!」
キツキはその水色の肌を真っ赤に染める。リイはその様子を心配そうに見つめた。
「大丈夫か?我もディーテ大好きだぞ!」
リイは恋がよくわからなかった。なので、『好き』の違いがわからないのである。
キツキはディーテへの想いが恋心だと気づかれていないことに安心した。
(リイは本当に感が鋭いなあ、悪意には鈍感なのに……)
これで聖魔神全員が登場しました。
〈聖魔神〉
・レイアル
・リイ
・フィール
・ディーテ
・キツキ
リイが見つけられていないのは、あとレイアルだけです。