テラーノベル
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花崎の本家から、三人が住むマンションに戻った夜。麗奈はまたもや圭一に関係を迫った。
「ねぇ、圭一さん…あのお爺さん、私か優香を圭一さんの妻にしろって言ってたでしょ?」
「ああ…それは確かに…。」
「それに、子供を作れって…。」
「ああ、優香とも麗奈ともとね…。」
「私は全然OKよ?」
「悪いけど、俺は優香と……。」
「そうよね……圭一さんからすれば、私は不合格なのよね……。」
麗奈は誰の目にもわかるように、がっかりした様子だった。
「…………。」
優香はただ黙って二人を見ていた。
麗奈はその後も、圭一と肉体関係を持つことを迫るが、圭一は応じようとしなかった。
ついに麗奈は痺れを切らした。
「圭一さん、どうしても私じゃダメなの…?」
「ああ……。」
「…そう……なら、私出ていくわ。」
「え?」
「…………私、ここまで圭一さんに振り向いてもらえるように、喜んでもらえるように色々してきた。掃除も、洗濯も、食事も……全部、圭一さんのためにやってきた。」
「麗奈……。」
確かに、麗奈はよく尽くしてくれていた。
これまでの人生で人任せだった家事を一生懸命やってきた。
慣れないことを手探りでやってきた。
「そうすれば、圭一さんも少しは私のことを……愛してくれると思ったのに……。でも、結局私のことなんかこれっぽっちも思ってなかったのね…、。」
「いや、麗奈は確かに頑張ってくれた……。」
「もういい!圭一さんの子供を産むのはいい。でも、愛してくれないなら、一緒にいる意味ないから!」
麗奈は涙を流して叫んだ。
「…………。」
「何も言ってくれないのね……。」
麗奈は涙を流し、手を震わせていた。
それまで静観していた優香が、口を開いた。
「…………圭一、麗奈と結婚してあげて。」
「……え?」
「……え?優香…………あなた本気で言ってるの?」
「私からの条件を必ず守ると誓えるなら……。」
「優香っ!」
優香は手を伸ばして圭一を制止すると、麗奈に条件を述べだした。
「一つ目……今後もずっと三人で暮らすこと。」
「二つ目……私と圭一の子供も、麗奈と圭一の子供も、三人協力して、大切に育てること。」
「三つ目……必ず圭一のために尽くすこと。」
「……出来る?……誓える?」
「優香…………一体何考えてんだっ?」
「…………圭一、落ち着いて。私の気持ちわかってない。」
「優香!」
「…………いいの?私が圭一さんと結婚できるの?……やったぁーっ!」
涙を流しながら喜ぶ麗奈。
「…………優香、お前……。」
「…………。」
「ちょっと待てよ、どうして……優香?」
「……圭一、女心わかってない。」
「え?」
「……いいから、麗奈と入籍すればいい。」
「優香……誓う、誓うから!圭一さん、私と結婚してね?」
圭一はしばし逡巡した後、
「…………ああ、わかったよ。」
「やったー!」
麗奈は圭一に抱き着いた。
優香は立ち上がると、寝室に入った。
「ちょっと待っててくれ、麗奈。」
圭一はすぐに優香の後を追う。
寝室の扉を閉めると、優香は背を向けたままだった。
「優香、どうしてあんなこと言ったんだ?」
優香は振り向くと、圭一に抱き着いてキスした。
「……圭一、愛してる。」
「俺もだ!……じゃあ、なぜ?」
「……圭一、前の圭一はどこに行ったの?九頭竜晶と名乗ってた時の圭一は……。」
「え?」
「…………圭一、あなたの復讐は終わったの?完成したの?」
「いや、それは……。」
「まだわからない?私が麗奈もついて来るのを認めたのは、あなたが、パパ……春山剛蔵への復讐を完成させるため。」
「……ああ。」
「今、私と結婚したら、間違いなく麗奈は圭一に協力しなくなる。」
「そうだろうな……。」
「そして、一度は圭一達を見捨てた花崎家の人達に復讐……見返したいなら、あなたは分家の人間として戻るべき。」
「………そうか、そういうことか……ごめん、優香。」
「結婚してくれなくてもいい。私が圭一を愛している気持は変わらない……。」
「優香、それは俺も同じだ。」
「私は圭一の側にいれればいい。」
「優香!」
「…………圭一、やっぱり詰めが甘い。」
「……ははっ!優香がしっかり者だから、甘えちゃったよ。」
「……馬鹿。」
二人は微笑み合うと、再びキスした。
「ちょっとぉ、圭一さん、何してるの?」
麗奈がドアをノックする。
圭一はドアを開ける。
「ああ……すまん。」
「もう……じゃあ、早速、明日は婚姻届け出しに行かなきゃね!」
麗奈は満足した顔で、優香をチラりと見た。
「そうだな……。」
「じゃあ、圭一さん、今夜は私と一緒に寝てくれるわね?」
「…………ああ。」
圭一と優香は目で語り合うと、圭一は麗奈の寝室に入っていった。
翌日、麗奈は婚姻届けを用意し、圭一と麗奈は入籍することとなった。
婚姻届の証人欄には、優香と、NightFlowerのバーテンダーが署名した。
麗奈との結婚という、急な話に最初こそ困惑していたバーテンダーだったが、分家復帰の話をすると、涙を流して喜んでいた。
入籍後、圭一は結婚指輪を作った。
圭一がプラチナ、麗奈は金の指輪だった。
圭一曰く、「月と太陽のようにお互いを引き立て合う。」というメッセージを込めたとのこと。
圭一なりの麗奈への誠意であった。
つづく
#『彼』の行く末
鐘寺 実昼
375
#オリキャラ
霰❄️
61
79
#短編
QuartoMew
105
コメント
1件
第12話めっちゃ胸熱だった…!優香が麗奈の結婚を認める場面、一見驚いたけど「復讐を完成させるため」って種明かしで全部納得。優香の冷静さと圭一への想いの強さが両立しててグッときた。最後の指輪の「月と太陽」のメッセージも、圭一なりの誠意が伝わってきたよ。続きが気になる展開だった!