コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
『日本…寒い…』
『まぁ今日は昨日よりも寒いですしね〜』
私がそう言うと、ロシアさんはモゾモゾと私を抱き締めた。
『子供体温ってやっぱり良いな』
『…私こう見えて貴方より遥かに歳上ですが?』
背が低い事や性格で子供のように接される事は少なくない。
私がムッとしてそう言うと、ロシアさんはフッと笑って私の頭をクシャッと撫でた。
『すまない、つい口が滑った』
『余計嫌です!口が滑ってでもこれからは言わないでくださいね!』
私が口止めをすると、はいはいとあしらわれてしまった。
『そう言えば日本、これから昼食を取ろうと思うんだが一緒にどうだ?』
『良いですよ!丁度お昼ですもんね』
『じゃあ新しく出来た店があるんだ、そこに行ってみよう』
『はい!』
ーー…そう、和気藹々といる二人の様子を、訝しげに見ている男がいた。
『あの野郎…日本を独り占めしやがって…日本は俺のものなのに…!』
『それではロシアさん、また明日』
『ああ、日本も気を付けて帰れよ』
『あはは、分かってますよ!』
午後5時半。
私はロシアさんと家が逆方向という事もあり、また明日と別れ、1人帰路についた。
普段誰も通らない近道。
私はそこをよく通って帰っていた。
だけど今日は珍しく人の気配がする。
『…』
正直気配がするのに誰がいるのか分からないこの状況が昔から嫌いだ。
本当は誰なのか振り返って見たい所だけど、今はとりあえず家に着く事だけを考えようー…
『んっ⁈んんっ…!』
そう思った瞬間、誰かが私の口を塞いだ。
恐らく私が感じ取った気配の持ち主だろう。
私の口を塞ぐ力がググッと増す。
…あ、不味い、意識が飛ぶ…
息が吸えなく意識が遠のこうとする私の耳に、聞き覚えのある人の声が聞こえた。
『ははっ、これからは俺と一緒にいような、日本』
…何故、貴方が、
『アメリカさん…』
私は彼の名前を口にした途端に意識を手放した。
end