テラーノベル
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「いらっしゃ……ってあんた達かい!よく来たね!」
朝も早く、また昨日まで店が休みだったせいあり、他の客は誰もいない。フィニス達が店に入るや否や、店内に店主の声が大きく響き渡った。
「うっす!」
「おはようございます」
先に店に入ったフィニスとニティアが軽く挨拶をすると、店の奥のテーブルで勉強をしていたリヴもみんなに気づき、大きく手を振っていた。
アルテア、ルシオと続き、最後にエラリスがお腹を抑えながら店に入ると、それに気づいた店主が驚いた顔でエラリスを見つめた。
「精霊術師のお嬢ちゃん!もう大丈夫なのかい!?」
「うん……おかげさまで……」
店主が驚くのも無理はない。数日前まで重度の魔変症で寝込んでいると聞いていた人物が、もう普通に歩き、なんなら食事処のここに来ているのだ。
「それよりも……ご飯……肉……食べたい……」
軽い症状であればまだ分かる。だが、静波の葉を使うほどの症状。精霊術師とは言え、流石の回復力。そしてその食欲に店主は驚きを隠せなかった。
エラリスの言葉に大きな声で笑った店主は、あいよ!任せな!と大きな声で返事をし、そのまま厨房へと消えていく。
そのままリヴの隣のテーブルに着く5人。
リヴは嬉しそうにアルテア達とおしゃべりをしていたが、すぐさま店主に手伝いを催促され、渋々テーブルに広げていた文具を片付けた後、厨房まで歩いていってしまった。
「さてと……まずはエラリスの身体の回復を優先するとは言え、その後はどうする?」
ニティアが頬杖をついてみんなに尋ねる。
「……私は大丈夫。肉さえ食べられれば……」
相当空腹なのだろう。お腹をぐーぐー鳴らしながら、身体がプルプルと小さく震えていた。
「それについてなんだけど……」
ルシオがテーブルの上に1枚の手紙を広げる。
「なんだこれ?」
首を傾げるフィニス。
「この印は……アクリム……ティアシャ様からですか?」
一瞬間を置いた後、ゆっくりと頷くルシオ。
「ティアシャの名前だが、実際書いているのはカエデだろうな。伝書鳩を使って情報共有をしていたんだが、これは今朝届いたやつなんだ」
皆が手紙の文字を目で追っていく。
「へぇ〜……ヴェスパさん達がアクリムに来て正式な協定を結んだんだ」
ニティアが上機嫌に文章を読む。
「それもそうだけど、今のうちらにとって重要なのはその先だな」
ルシオがそう言うと、皆がその先の文章に視線を移した。そこに記された一文。
【先日、アマテラス国においても魔女による襲撃が発生しております。国を動かしていた大王及びその側近達がことごとく殺害され、現在においても魔族の目撃情報が絶えない様子です。一応、現在は別の一族が国を再建すべく取りまとめているようですが、その辺の詳細は不明です。
また、国が混乱している状況の為、先々代の時の断交についても、気にしている余裕もないらしく、後日こちらから支援物資及び復旧のための人員を送ることになっており、その旨アマテラス国も承諾をしております。】
「まぁ、この文章はカエデだろうな」
「そうね。それにしても……アマテラスにまで魔女が……」
「目的は何なのでしょうね……」
手紙を読み終えたのち、皆が眉間に皺を寄せていた。
「まぁ、とりあえず一度アクリムに戻って……この辺話を詳しく聞いたほうがいいな」
「炎の精霊……」
机に突っ伏したエラリスがぼそっと呟く。
「まだいるかどうかは分からないけど……魔女の調査もあるし。とりあえず一度アクリムにもどりましょうか」
「そうですね」
4人は視線を合わせ、大きく頷いた。
「お……なか……すい……た……」
そんな中ただ1人、空腹の限界を超えたエラリスは、額を机に突っ伏して項垂れていた。
⸻
フィニス達が捕まえたサンドボアの燻製肉。オアシスで獲れるようになり、新商品に加わった魚料理を加え、食べきれないほどの量の料理を店主が持ってきたのにも関わらず、ペロリと平らげたエラリス。
改めて店主やリヴに挨拶を交わし、体調が戻ったと言うエラリスの言葉を信じて、5人はオシスを後にし、アクリムへ戻ることにした。
「本当に……もう大丈夫なんですか?」
心配そうにエラリスの顔を覗き込むアルテア。そんなアルテアの心配を他所に、エラリスは歩きながら人差し指をかざした。
「うん。大丈夫。むしろ逆に今までより調子がいいくらい」
人差し指に魔力を込めると、指先が小さく輝き始める。
「げっ……」
指先の魔力を感じ取ったのか、露骨に嫌そうな顔をするニティア。その反応から、エラリスが何をしているのかがすぐにわかり、フィニスは苦笑いをしていた。
ポン!
指先の光の中に現れた小さな影。
「エラリス大丈夫?!って暑っ!!」
砂漠の中に響き渡る甲高い声。エラリスの指先にはゼフィリアが現れていた。
「何よここ……砂漠のど真ん中じゃない……って、エラリス大丈夫だった?!ここ暫く音沙汰がなかったから心配したわよ!!」
「ごめんね。魔変症で倒れてたの。でももう大丈夫」
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花月夜れん
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「魔変症……?もしかしてライナと契約も?」
先ほどの心配そうな顔から、急に真面目な顔つきになるゼフィリアに、皆が首を傾げた。
「うん。無事に契約できたよ」
「そう……おめでとう。これでエリシアと並んだわね」
ニコリと笑うゼフィリア。
「って事は……」
「うん。あとは炎の精霊」
「そっか……仕方がないとは言え、よりによって……」
「ん?」
ゼフィリアの反応に、ふとニティアが口を挟む。
「次はあんたと属性相性が悪い炎だもんね。会いたくないとかそういうのでもあるのかしら?」
またギャーギャー言われると思い、ニティアは両耳に手を当てる準備をしていたのだが、予想外にも、ゼフィリアはいつもより落ち着いた様子でニティアの問いに答え始めた。
「よく知ってるじゃん。まぁ、それもあるんだけど……。もし会うことがあったら、あんたらも気をつけなさい」
そう言い残すと、ゼフィリアはエレノアとアオの様子をエラリスに伝え、そのまま消えていってしまった。
「……いつもと様子が違ったな」
「あぁ。これは……次の精霊も大変そうだ」
「撫でられるといいんですけどね」
「炎の精霊よ?火傷しないかしら……」
エラリスの後ろを歩く4人。消えゆくゼフィリアを眺めながら、各々がため息をひとつつき、アクリムへ向けて歩を進めていくのであった。
コメント
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おお、エラリス復活おめでとう!🔥 魔変症から無事回復してよかった…っつーか肉への執念がすごかった(笑)でもあの食欲こそ回復の証だよな! アマテラス国にも魔女の影響が出てるのか…大王ごとやられてるって相当ヤバい状況だわ。ゼフィリアの「気をつけなさい」が意味深すぎて逆に気になる。炎の精霊、何か裏がありそうで次が楽しみ!🔥