「涼ちゃーん。」「なに〜?」
「えいっ。」
くるくるくるくる。
最近、僕を回すのにハマってるらしくて、暇があれば近付いてきて、僕をくるくる回す元貴。
普段、めちゃくちゃしっかりしてるのに、元貴って急に子供みたいなことしてくるんだよね。
まあ、そこが可愛いとこでもあり、だからこそ憎めないとこでもあるんだけど。
「ねえ、これ楽しいの?」
「うん、おもろい。」
いいんだよ?別に。
元貴が楽しんでくれるならさ。
でも、これたまにやられすぎると気持ち悪くなるんだよぉ。
「涼ちゃん、涼ちゃん。」
「また〜?」
ほんと好きね。
はいはい。元貴が楽しいならいくらでも回されますよ。
くるくるくるくるくる。
あ〜、今日は長いやつだ。
待って、わ〜、目が回ってきたかも。
「わわわ、ちょ、元貴ストップ!」
「あははっ、ごめん、やり過ぎた。」
「うわぁ〜、めちゃくちゃ目ぇ回る〜。」
僕は、とりあえず近くにあったソファーに座ろうと、歪んだ視界でふらふらしながら歩いていく。
僕がふらふらしてるのを見て、元貴がケラケラ笑っている声が聞こえる。
もぉー。ひどいよぉ。
「うぅ…真っ直ぐ歩けない〜……ぁ、うわぁっ!」
あと少しでソファーに辿り着くというところで、見えてはないけど、何かに躓いた僕は、そのまま前に倒れ込んでしまった。
「ちょ、涼ちゃん大丈夫?」
「わあ〜、若井ごめん〜。」
ヤバい!と思ったけど、僕はソファーに座っていた若井の上に丁度倒れ込み、若井が僕を受け止めてくれた。
「…ちょっと、若井。涼ちゃんはぼくのなんだけど。」
「ふぇ?」
「涼ちゃんも!なんでぼくじゃなくて、若井に抱きつくんだよっ。」
「えぇ〜。」
さっきまで笑ってたのに、急に不機嫌になった元貴が、若井から僕を引き剥がすと、ぷりぷりしながら僕にそう言ってきた。
そんなぁ、そもそも元貴のせいじゃんか…とは言えず、困っていると、後ろから若井の声が聞こえてきた。
「はぁ、ハグして欲しいなら素直にそう言えばいいじゃん。」
「え?」
「わざわざそんな回りくどい事しないでさ。」
「えぇ?!それで僕の事をくるくるしてたの?」
目が回した僕が抱きついてくれると思って?
こんな事しなくても言ってくれたらいつでもぎゅってするのに。
てか、それは流石に分かりずらすぎるよぉ。
「うるさいっ。別にそう言う訳じゃないしっ。」
もう、目は回ってないから元貴の表情はしっかり見えるけど、その顔はどう見たって図星の顔してるよ?元貴さん。
もぉ、本当元貴って変なところで素直じゃないと言うかなんと言うか。
まぁ、そこが可愛いとこでもあり、いじらしくて好きなんだけどさぁ。
「はいはい、そうだよねぇ。」
「…そうだよっ。」
「はいはい、ほら、ぎゅー。」
「…。」
わぁ、元貴の顔、真っ赤だ。
背中に回せばいいのに、それは恥ずかしいのか、僕のお洋服の裾をぎゅっと握ってるのが、また可愛らしい。
「元貴くん、かわいいねぇ。」
「うるさい。」
「…ねえ、仲良いのはいいけど、イチャつくなら家でしてもらっていいですか?」
-fin-
コメント
5件

2980さんが書くryoちゃん、温かくて優しくて本当に大好きです🥹💛

かわいいいいい😇朝から癒されました🤤
若井さん…そこ変わってもらっていいですか?