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ミンミンミン………

蝉の鳴き声を音楽に、本を読んでいた。

……

さっき完走したばかりの本を、また最初から読み直している。

……

ずっと長い間、この暑い空間にいる。

……

どこのページを読んでいるかすら曖昧だった。

……

『う、うわー!ち、遅刻だー!』

…!

その声で、ふと我に帰る。

…?

声のする方を見ると、水色の服を着た、小さな女の子が走り去って行くのが見えた

…あっ

懐中時計が落ちていることに気づく。

……

おそらく、さっきの女の子が持っていたものだ。

……

もしかしたら、懐中時計はあの女の子にとって無ければならないものなのではないだろうか。

……

なぜか、そう思ってしまい

………

懐中時計を持って走り出した。

はぁ、はぁ…

ここ数ヶ月、運動なんかまともにしてこなかったので、すぐに息が切れる。

はぁ、はぁ、はぁ

足が痛い。でも、絶対に懐中時計を女の子に渡さなければ。

はぁ、はぁ、はぁ

女の子が走っていく方向に、私も走る。

ぜぇ、はぁ、ぜぇ、はぁ

どんどん息が苦しくなり、意識が朦朧とする。

………

それでも、女の子に懐中時計を渡すために、走らなければ。

ぜぇ、はぁ、ぜぇ、はぁ

………

………

正直、自分がなんの為に走っているのか分からなくなった頃。

…?

視界に入ったのは、綺麗な花畑、青なのかすら分からなくなるほどに青い空、きっと暖かい家族が沢山住んでいるのであろう住宅街

……

不思議な国だった。

……

そんなとき

……?!

持っていたはずの懐中時計が無いことに気がつく

……?

どこで落としたのだろうか。

……

しかし、前よりも苦しくなくなっている。

……

この爽やかな感じ。なにも痛まない、苦しくならない感じ。

……

この水色の服を着ているにも関わらず、自分が自由に動いている。

走ると、さっきとは段違いに走りやすい。

あはは、あはは

足が軽い。息も切れない。

…あ

気づいてしまった。

………

………

………

『完全に遅刻してしまった。』

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