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キレルが輝くパンツに手を触れようとした瞬間、圧倒的な禍々しさが伝わってきた。この世にはびこる社会の闇が凝縮し形を成したかのように不気味なオーラが滲み出ている。これを履いたら何かが終わりそうだとし、キレルは触れる事を躊躇した。
「えっと」
「無理か。では貴様は薬を持っているか」
「薬?」
当たり前だが今のキレルは特に薬など持っていない。だがすぐ手に入るものであれば問題ないと考えることもでき、この場の打開に繋がるならと相手の返答を待つことに決める。警察は腕を組んでしかめっ面をキレルに見せた。
「痔に効く薬だ。よく宣伝されてるだろう。痔にはボ」
「言うな」
キレルは真顔で言葉を静止させた。世の中には言霊というものがある。安易に音を漏らしてはならぬ決まりがあるのだ。
だが警察はあからさまに不機嫌な態度になる。
「なんだと貴様。痔を舐めているのか」
「滅相もございません」
痔を舐めている人間がいるのであれば是非ともお目にかかりたいものである。痔はとても苦しいものだ。それはキレルが身をもって実感している。だが警察は何故か怒り狂っている。
「この野郎舐めた真似しやがって! 後悔させてやるぞ!」
胸倉を掴まれ眉間に銃口を押し付けられる。
「ちょっお許しを!」
「もう許さん貴様はここで死刑にする!」
引き金にも手を触れる。本当に殺す気のようで緊迫感が辺り一面を覆い尽くしていく。キレルはこの場の打開策を探るも彼らを殺す以外に方法が見つからない。
「痔に塗れ抗う者我への讃」
音と共に足元の土埃が舞った。キレルは何が起きたか悟り瞬時に口を引き結ぶ。
「次ジセキを使おうとしたら脳みそぶちまけさせるぞ?」
警察が地面へ向け銃弾を一発発射していたのだ。再度キレルに突きつけ脅しの声を漏らす。だがキレルは怖気づくことなく訂正の言葉を返した。
「俺のはジセキじゃねぇ。痔狩りの言霊っつう古代ジニマミレ文明で生まれた秘術だ」
ジセキは無から有を生み出す奇跡。キレルの術はあらかじめ定められた言葉を放つことで奇跡の一片を借りるものである。前者は選ばれし者、後者はハンターであればだれでもある程度覚えている。フランスパンを召喚する効果は無い。
「知ったことか! 奇跡の力は全て教団以外に認められん!」
「教団?」
警察がふと漏らした一言にキレルは眉をひそめる。警察はそんな彼に対し赤子をあやすかのような表情で言った。彼はキレルが乳飲み子に見えるほど疲れているらしい。仕事よりママのお乳を飲むのに注力すべきだ。
「教団を知らないのか? はっはっは、これだから嘴の黄色いガキは嫌いだぜ」
「黄色いのは認めてもいいが俺はガキではない」
「中身がガキなんだよ! 大人ならだれでも教団を知っている! はっはっはっはっは!」
「痔を嘆く者」
銃弾が額を掠める。
「甘美なる時へと」
放たれる連撃を受け流す。
「穿つ理を示せ!」
後方へジャンプし同時に指を向けた。淡い光が警察を包み込む。
「あぁん……ッ!」
警察が甘く切ない声をあげた。
お尻を抑え膝から崩れ落ちる。
「あん……あ……あぁん……」
警察は皆陸へ投げ出された魚のように、ぴちぴちと跳ねたままただひたすらに喘ぎ続けた。その姿は最早子供には見せられない。
「俺を舐めた罰だクソ共」
キレルは吐き捨てるように言うと、人間の尊厳を失った葉っぱ警察を通り抜け村から出た。お金は諦めた。汚物塗れの服は寄付したと思おう。