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キレルの旅路は困難を極めた。
イボ痔の村イボジールではイボジトールと呼ばれる獣人の討伐を依頼され、半ば強制的に討伐部隊に組み込まれた。イボジトールはふわふわの毛並みにプリッとセクシーなケツを持つ巨大な怪物だった。巨大な斧をまるでフランスパンのように軽々と振り回す。結果討伐部隊のほとんどは即死し、辛うじて生き残った者達も小便をまき散らして逃げ出した。つまりキレルが結局一人で倒すこととなったのだ。
「おいなんで報酬は討伐部隊50人で分けるんだよ!? ほぼ動いてたの俺だけだし! 途中まで戦ってた奴はともかく秒速で死んだイキリ野郎に渡す金は無いだろ!?」
キレルの口は悪いように見えたが、比較的正論寄りの考えとなっている。
というのも討伐部隊の一部は「俺は痔士団最強である」「俺はこの世のハーレム王」「俺はお前らとは違う」などと豪語してすぐに臓器を露出させてあの世へと旅立ったのだ。自分より強い敵に挑むのは馬鹿でしかない。多くの痔・エンド・モンスターを狩ってきたキレルですら脅されるまでは嫌がっていたのだ。言霊もジセキも使えないヤリチンが挑んでいい相手ではないことぐらい分かる筈。ちなみに報酬は3000KG**である。
「貴様ぁッ! 死者を愚弄するのかなぁッ!」
キレルは村長に胸ぐらを掴まれ、キス寸前まで顔を近づけられる。この匂いはニンニクパンケーキを10個食べたときの匂いだ。何故ならキレルは一度嗅いだことがある。あの時は失神したが今は耐性がついたようだ。
「馬鹿にする意図はねぇ! 俺だって助けられるなら助けたかった! でも、お前の助けなどいらんよ不細工童貞が! はっはっは今日の夜は街の女と楽しくって言ってる連中なんて守れねーから!」
悪口を言ってくる相手を助ける理由などどこにもなく、かつ彼は戦闘中に妄想に勤しんでいた。これで死んだというのだから死者を敬えは通用しないだろう。
「黙れ黙れ黙れェィッ! イケメンは死んではならぬのだ! ならぬのだぁぁぁぁッ!」
「なんでだよ!?」
「イケメンであるだけでこの世の理の外側にいるのだ! 貴様ら不細工童貞はイケメンの盾になるために存在しているのだぁッ! そのために依頼したのだぁツ」
「うそんっ!?」
まさか性格が終わっている人間を守るためだけにハンターに依頼するとは。キレルですらこの意図は読み解けなかった。この村長は海パン一丁だがホモなのだろうか。
「そうよ! あなたみたいなのはイケメンの盾になることと彼らに報酬を納めるためだけの存在なのよぉッ!」
村娘たちがこぞってキレルの悪口を言っている。気づけば村の女は全員周りでキレルを罵倒していた。鋼のメンタルを自称するキレルも流石にこれ以上は涙がぽろぽろと流れてきそうだ。
「でも! ぶっ殺したのは俺! その分は寄越せ!」
仮に村人全員から見下されていたとしても、命を懸けた分だけは受け取らねば許せない。誰が何を言おうとイボジトールの斧を粉砕し脚を切断し命を狩ったのはキレルなのだ。他の者は残っていてもおもらしをして泣いていただけ。
「……」
村の外に投げ出されたキレル。一番の功労者への扱いがひどすぎる。振り返ると、おもらしをして泣いていた男は村娘にキスされている。家からは真っ最中の声も駄々漏れ。どういう扱いだ。
「ふざけんなよ……30だと……3000を50で割ってなんでこうなんだよ。計算できる奴いねぇのかこの村」
キレルは30KGしか貰えなかった。彼は村娘を怖がらせたという理由だった。意味不明である。寧ろ怖がったのはキレルだ。
「……死ね」
キレルは村を壊滅させようかとも思った。
しかし倫理的に駄目だと思った。キレルは他者を想える心優しい人間だ。
だから少し先で一人の痔士と戦っていたティア4の痔・エンド・モンスターを誘導して村を襲わせた。
村長たちは皆痔に侵され、日夜絶叫が木霊する荒れ地となった。
ちなみに痔士は気絶させて村に投げ捨てたので、彼は起きた後壊滅状態の村で痔・エンド・モンスターと戦うはめになった。もちろん上司にもその失態は報告されている。