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第11話:軍内の動揺:オスマンの葛藤
登場人物
トントン:書記長
グルッペン:WrWrd軍総統
コネシマ:特攻隊長
鬱先生(大先生):情報収集担当
オスマン:外交官
シャオロン:煽り担当
本文
ひとらんらんが**「グルッペンを殺す」**と宣言して逃亡したという事実は、真夜中のWrWrd軍基地を一瞬にして凍り付かせた。
総統執務室では、トントンが険しい表情で事態を報告していた。
トントン「……ひとらんらんは、W国に極めて正確な機密情報を流出させた後、ゾムとコネシマの追撃を振り切り、逃亡しました。現在は、総統暗殺の意図を持っている模様です」
グルッペンは、目の前のチェス盤のキングを指で弾き、静かに笑った。
グルッペン「フフッ……とうとうやったか。彼が選んだ道だ。トントン、全軍に緊急配備を敷け。そして、**『ひとらんらんはスパイとして確定した』**という事実を、彼の関わった全ての情報と共に開示しろ」
トントン「! 彼の過去の隠し事も含めて、ですか?」
グルッペン「ああ。我々が彼を信じようとした経緯も含めてだ。我々だに、隠し事は通用しないということを、全員に思い知らせてやれ」
この発表は、軍全体に大きな動揺を広げた。特に、ひとらんらんと親しかったシャオロンや、彼に秘密を打ち明けられたショッピは、衝撃を隠せない。
シャオロン「嘘だろ、ひとらんが……。あの、いつも穏やかな奴が、グルッペンを殺そうとするなんて」
鬱先生「あの肥料の暗号はマジだったんか……チーノの推理通り、二重の裏切りや。自分の家族と、WrWrd軍のどっちも裏切りたくなかったんやろな」
しかし、最も葛藤していたのは、同じように家族を人質に取られていたオスマンだった。
オスマンは自室で、ひとらんらんが逃亡する際に言った言葉を反芻していた。
ひとらんらん(回想)「僕の最後の目的は、僕を裏切らせようとしたグルッペンを、殺すことだ」
オスマンにとって、ひとらんらんの行動は、自分自身の取るべきだった行動に見えた。グルッペンは、彼らの最も大切なものを脅かすことで、彼らを裏切りの道へと誘導したのだ。家族を守るという使命と、WrWrd軍への忠誠心が、彼の心の中で激しく衝突する。
オスマン「(僕の家族も危ないメウ。グルッペンは、僕の家族を解放するどころか、僕たちの過去を武器に、僕たちを裏切り者に仕立て上げた!)」
その時、コネシマがオスマンの部屋に飛び込んできた。彼の顔は怒りに燃えていた。
コネシマ「オスマン! お前、知っとったんちゃうんか! ひとらんがスパイで、グルッペンを狙っとるって!」
オスマン「コネシマ……僕は……」
オスマンは、自分もスパイ行為を行っていたことを知られるのを恐れ、言葉に詰まる。
コネシマ「グルッペンの指示や。お前は外交担当として、W国にいるひとらんらんの家族の所在を掴め! お前も、この軍の一員やろが!」
オスマンの心臓は締め付けられた。WrWrd軍の命令に従えば、自分の家族と、ひとらんらんの家族がWrWrd軍の人質となる。しかし、命令を拒否すれば、自分が裏切り者と確定し、家族の命はさらに危うくなる。
オスマン「(僕にはもう、選択肢はないメウ。家族を守るために、グルッペンを殺すしかない……!)」
オスマンは、コネシマに背を向け、静かに自分の部屋の隠し金庫を開けた。中には、W国への機密情報送信用の通信機ではなく、彼が肌身離さず持っていたW国軍の機密シンボルの装飾品が収められていた。
オスマンは、その装飾品を握りしめた。それは、彼が外交官としてではなく、家族を守る一族の長として、WrWrd軍総統であるグルッペンを討つという、最後の決意を固めた瞬間だった。
ここまでの隠し事の状況(11話終了時点)
ひとらんらんがスパイとして完全に露呈し、グルッペン暗殺を宣言して逃亡。(隠し事の終結)
オスマンが、家族を守るため、グルッペンを殺害する決意を固めた。(物語の終結に向けた最終行動)